ものづくり職人の在り方(2)
技能を身に着けるために
前回からの続き
結局のところ 職人として技能を身に着けるためには 誰かに教えて貰うのが 1番効率が良いので誰かに師事する事になるのだが、職場環境によっては 上司が「頑固職人」なんて事になる場合も考えられる。
そこで
「あの上司じゃしょーがねーな!」
と仕事に対してネガティブに方向転換してしまうと 心がネガティブな間は 自身の技能の成長スピードも極端に遅くなるので 自分の人生の中で 無駄に費やしてしまった時間を産み出してしまう事になる。
こんな場合は 問題上司のもっと上 出来れば経営陣に話ができる位のレベルの人間に相談するのが効率的だろう。
昨今の ものづくり 製造業の世界では 若い人材が不足している事と 本当に製造業の世界で仕事がしたくて入社してくる人が少ない事等で これから仕事を覚えたい ましてや職人になりたいなんて人は超貴重な存在であり そんな人材を大切に出来ない会社の将来など推して知るべしである。
従って、通常の考え方よりも ちょっとだけワガママかもしれないが、
少し偉い人に相談して 会社の経営陣の考え方の確認をすると言う方法も有効な選択肢になるかもしれない。
上司に対してネガティブになっても 仕事に対してはポジティブな思考はキープしなければいけない 技能の習得の為に絶対的に必要なのは技能に対しての興味関心であって ネガティブな思考から産み出されるモノでは無いので、その部分については真正面を向いて取り組む必要がある。
単能工から多能工へ
1種類の仕事しか出来ない「単能工」よりも 何種類もの仕事を完璧にこなす「多能工」の方が会社で必要とされる事は誰が考えても当然理解できるだろう。
「単能工」を続ける人達の言う
「1種類の仕事を極めるためにやっている」
「会社に指示されていないからやらない」
「多工程に手を出す程の待遇を受けていないから」
等の自分が「単能工」である理由は全て詭弁である。
ものづくり職人にとって 色々な工程の理解無くして1種類の仕事を極める事など出来ない。
「他の事なんか全然知らなくても出来るよ」
と言い切る人は 真実を理解できていない 自分の思い上がりに気付いていない人だ。
「指示されていないから」
の人は やる気をアピールして自分の方に仕事の流れを呼び寄せる事が出来ない人 要するに「指示待ち」で「人のせい」にする習慣の沁みついた人。
「待遇のせい」にする人は 会社に対して
「出来るか出来ないかもわからない私に先行投資してくれたら動くかもしれない」
と言っているわけで、将来的にその人が多工程の仕事をするのに満足する待遇を受けられる可能性は非常に低い。
「多能工」になる為には まず 「多能工になりたい」と言う自分の意志をアピールする必要がある。
やりたいかやりたくないかわからないような人に教えて 後から
「会社に言われたから仕方ない」
「俺は本当はやりたくなかった」
なんて 子供の言い訳みたいな事を言える状態には 会社だってしたくないのだ。
「自分がやる」と言う選択肢
社員の中に「評論家」は居ないだろうか?
「評論家」の思考を身に着けて人生を送って来た人達は
「これはこうした方がいい」
「これはあの人がやるべきだ」
「こうするべきだけれど自分はそれをする立場ではない」
「これはあの部署の仕事だから私は責任が取れない」
等々言う事が多い。
これらの言葉に一貫して言える事は
「自分がやる」
と言う選択肢を最初から削除した上での意見であることだ。
要は 仕事に対する意見は言うのだが 自分でそれを実行しない言い訳を常に併設させて、「言うだけでやらない(出来ない?)人」と言うレッテルを貼られない様な保険もかけている人達だ。
「評論家」タイプの人達の意見は一見 仕事に対してポジティブな発言に聞こえたりするので その意見に賛同する人達も出て来るのだが
「自分がやる」
と言う選択肢を排除している時点で全てネガティブな意見であることに気付くべきだろう。
会社に「評論家」ばかりが増殖しても業務は滞るばかりになるので、経営陣にとっては要注意な事柄だろう。
ものづくり職人を目指す人へ
昨今 ものづくり職人を希望する人達はとても少なくなっているだろう。
大学で専門の分野の勉強をして卒業後に就職先でその知識を ものづくりに活かして活躍していく人達もいるのだが
高卒 専門卒位で 「手に職をつけたいから」という理由でものづくりの世界に飛び込んでくる人達も沢山いる。
ものづくり職人になる為には まず最初に技能を身に着けなければならないのだが、技能を習得する為に最も必要な事は
覚えるべき技能に興味を持って理解し勉強する事
に尽きると思う
会社がどうとか上司がどうとか給料がどうとかその時点では関係ないのだ。
身に着けた技能はどこの会社に行っても通用するし 技能を習得すれば、収入もそれに従ってついてくる。
技能は自分の身体に覚えさせるものなので、会社が手に入れる物では無い。
会社は 技能を習得した人間を雇用することで人間と一緒に技能を手に入れる事になる。
どこで覚えたかよりも 何ができるのかの方が重要であるし、
出来る と言う定義も
やったことがある 程度なのか 熟練した技能を使う事が出来る
レベルなのかで 待遇の差は歴然と存在する事は認識すべきだろう。
自分が手に入れた技能を武器に
ものづくり職人の世界で活躍していって欲しい
日本はまだまだ中小企業大国なのだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?