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NICU(新生児集中治療室)の廊下にアートを展示する「Art For Today.」を企画した理由とカタチになるまでの軌跡

こんにちは、Toshiです!

2025年2月にアート作品の展示を通したファミリーケアプロジェクトである「Art For Today.」の開催が決定しましたので企画者としての想いを綴ります。

この企画は僕自身が医療的ケア児を育てる親であること、そして、息子と両親である僕たちが直面した厳しい時期が原体験となり、同じ状況下で今なお必死に毎日を乗り越える御両親のために生まれました。

今回は僕の息子が10ヶ月間入院していた埼玉県立小児医療センターで実施されることになりました。

企画背景・私の想い

2023年8月に第一子となる息子が誕生しました。
彼は呼吸障害と心疾患を誕生直後から発症していたので、約10ヶ月間、埼玉県小児医療センターのNICU・GCU・PICUを手術に伴い移動しながら過ごしました。

私と妻は入院期間中、日々頑張っている息子に精一杯で未来へ目を向けること自体が苦しい行為でした。

まだ息子の未来について何か良いことも悪いことも決まってしまったわけではない。その日その日の息子の小さな変化だけに目を向けて信じて過ごすしかない。

そう何度も言い聞かせながら毎日、車で往復2時間かけて面会をしていました。

「この子はどうなってしまうのだろう」と悲観的な未来予測になるべく気持ちを引っ張られないように、私たちは「今日は体重が何g増えたね!凄い!」「今日は酸素の値が0.1良くなった!」など、日々前進する小さな命の小さな変化だけに目を向けることでどうにか毎日を乗り越えることができました

このようなその日だけに目を向ける心の持ち方は僕らを支えてくれました。

しかし、我が子が厳しい状況下に置かれている両親は、日々やってくる今日を乗り越えることで精一杯です。
小さな変化に目を向けていても、NICUでの1時間だけの面会の帰り道や病院のロビーを過ぎる時は心が沈むことは避けられませんでした。

そんな状況にあるご家族のために何かできないだろうか。
この想いが火種となり、「Art For Today.」を企画することにしました。

前向きになれなくてもいい。前向きになれない日が多いことがあたりまえ。
ただ今日を乗り越えるためだけの小さな出来事になってくれたらという願いをアート作品に託したい。

そんな想いを込めて、「Art For Today.」という企画名にしました。


▼ 原体験となった「今日」を乗り越え続けた3ヶ月間をnoteに残しています。


決めて、動く。想いに、人が応える。

アートを明確に届けたい人がいます。NICUに通っている御両親です。

なので、企画を決めてからまず最初に連絡したのは小児医療センターでした。どこから連絡すればいいかもわかりませんでしたが、HPを調べてみたら「ボランティア活動」ページがあったのでそこから問い合わせフォームに想いをぶつけました。

問い合わせ後に届いた返事

この返事が届いた時は、何とか届けられそうだという手触りを感じて嬉しかったことを覚えています。実はこの返事が届いた後に一気に企画書は作り上げて病院側に送りました。この時、Invent on the wayという「まずは本音の想い・ゴールが先でそれが叶うまでの道のりや方法は後から生まれる」という考え方を体感しました。

その次にアート作品や開催に協賛いただける企業への連絡が必要となり、数社にアプローチをした結果、友人の新田卓が代表をしている株式会社プラスアートが二つ返事で「やろう」という返事と共に協力してくれることになりました。

そして、展示する作品を決める時にはプラスアート社からのご紹介で歯科医師で芸術家の長縄拓哉氏に打診してこちらも企画説明後、二つ返事で賛同いただけました。

お二人と小児医療センターボランティア担当の方には心から感謝申し上げます。

こうしてご協力いただける方々のおかげで、開催がスケジュールに落とし込まれ、2025年2月22,23日の実施に向けて準備を進めています。

「Art For Today.」について

改めましてこの企画では埼玉県立小児医療センターのNICU(新生児集中治療室)の廊下にアートを飾ります。当病院のNICUには専用ゲートを認証カードを照らして通過し、NICUの入り口に向かう廊下を通ります。入り口でインターホンを鳴らして名前を伝え、看護師さんに開けてもらうという流れがNICUに入るまでの一般的な動線かと思います。

その入り口付近には待機スペースや廊下が存在していて、その廊下にある壁にアートを展示します。もちろん、営利目的はなく、企画賛同者は全員がボランティアとして動いています。

作家紹介

今回作品協力いただく長縄拓哉氏は、ヘルスリテラシーを向上させるアート制作販売する芸術家であり、口腔ケアの普及啓発事業ムツー株式会社の代表取締役でもあり、歯科医師(医学博士)という特異な方でありますが、着実に医療ドメインへのART事業展開を進めています。

長縄さん

長縄拓哉(芸術家、歯科医師)
Independent Tokyo 2024にて見事、審査員特別賞を受賞。彼は、現代美術作家であり歯科医師としても活動するアーティストです。独自プロジェクト「Arp(Art to relieve pain)」を通じて、アートを用いて医療情報を広め、健康行動を促進する取り組みを行っています。美術と医療の境界を超え、健康に対する新たな視点を提供することを目指しています。

長縄拓哉アーティストインタビュー
美術手帖|長縄拓哉
Instagram | 長縄拓哉

今回の企画に賛同いただき、「Art For Today.」のために新しい作品を何点か描いていただけることになりました。本当に感謝しかありません。

開催概要

・会場名称:埼玉県立小児医療センター(NICU前の廊下)
・企画名:Art For Today.
・日 時:2025年2月22日(土)- 2025年2月23日(日)
・開場時間:病院内で展示するため、一般の方の来場はできません。
・会場:〒330-8777 埼玉県さいたま市中央区新都心1番地2


・主催:株式会社プラスアート(https://pls-art.com/
・企画:中村知嗣
・協力:ムツー株式会社(https://boc-provider.info/


▼ プラスアート社からのプレスリリース


クラウドファンディング実施のお知らせ

本企画の開催にあたり、私の想いにプラスアート社・長縄氏が共感してプロジェクトが立ち上がり、軍資金は全て持ち出しになります。そこでクラウドファンディングを実施する運びになりました。もし共感された方で支援をご希望いただける場合は以下のREADY FORをご確認いただけますと幸いです。

資金の使途としては以下の通りです。

  • 搬入出時の交通費

  • 絵画制作費 / 梱包 / 配送等

  • その他、企画実施に係る備品等の費用

リターンとしてご支援くださった方には、長縄拓哉氏がこの作品展のために描くドローイング(デッサン、下絵、練習画などのレア原画)をプレゼントします。

最後に

ここだけは誤解されたくない点について最後に改めて述べさせていただきます。この企画は辛い状況下にいる親御様たちが「その日」を乗り越える小さなキッカケになってくれたらという想いで生まれ、カタチになりました。

関係者全員がその想いに賛同いただいたということが事実であり、お金儲けの類の目的は一切ございません。

結果として長縄さんの作品を見て、気持ちが楽になったり、自宅に飾ってそれ以降も支えになって欲しいという想いが生まれて、親御様があとから作品を購入されることは起こらないことではないと思っています。それだけ長縄さんやアートの力は強いと思いますし、それはとても嬉しいことです。
しかし、それが目的ではないことを強く申し上げておきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
開催後のレポートはまた何かの形式で報告したいと思います。


「Art For Today.」企画者・中村 知嗣(ナカムラ トシツグ)


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