「悪魔のリドル」の二次創作ゲームがあるんだ! 「しえなイン無人島ランド」 レビュー
2021年ゲームレビュー 5
147分=2.5時間。BADEND10個、GOODEND6個、TRUEEND1個を見つけるまで。
2014年のアニメおよびメディアミックス作品の『悪魔のリドル』を題材にした二次創作ゲーム。二次創作としての精度が非常に高く、『悪魔のリドル』ファンとしては非常に満足した。しえなちゃんはゲームでも不遇だぞ!
以下ネタバレ。
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よく見るとタイトルのしえなちゃんは服がボロボロ
1. 不遇のしえなちゃん
「10年黒組」の暗殺ゲームで敗退した「剣持 しえな」ちゃんが無人島から脱出する物語。本作の話をするためには、まず『悪魔のリドル』の説明から行わねばならないだろう。
まずは筆者が2014年に書いた悪魔のリドルのレビューを見て欲しい。
……読み直したけど、よく分かんないな。その時のテンションみたいなものは見えるけど。
さすがにこれでは悪いので、概要はウィキペディアから引用させてもらおう。
ミョウジョウ学園に存在する、特別な時期にしか開講されないクラス・10年黒組。そこに、1人の女子高生を暗殺するべく12人の女子高生が刺客として集められた。10年黒組へ編入した一人の暗殺者・東兎角は、暗殺対象と伺える一人の女子高生・一ノ瀬晴に心を惹かれ、暗殺者として編入してきたのにも関わらず守護者として彼女を守り、暗殺者11人と対峙する決意を固める。一人一人の暗殺者と対峙していく毎に”一ノ瀬晴”に自分にない”何か”に心を惹かれていった。そして、その過程の中で”東兎角”の過去や”一ノ瀬晴”の一族についても触れられていく…。
筆者はこのアニメが大好きで、逆に何をどう説明すれば良く伝わるのかわからない。晴が兎角に抱きつくシーンと、兎角が晴を殺す理由がめちゃくちゃエモいから、せめて11話の最後まで見てほしい。決して3話で切らないでほしい。
さて、これからレビューする本作「しえなイン無人島ランド」で主人公を務めるしえなちゃんは、一言で言えば不遇キャラである。
10年黒組のルールでは、暗殺者は一人ずつ「予告票」を出し、晴を守る兎角と対決していくのだが、しえなちゃんは予告票を出す前に同じ10年黒組の「桐ヶ谷 柩」に殺されてしまった。
ええっ! しえなちゃんの活躍は速攻で暗殺を開始したルームメイトの乙哉にドン引きしたり、学園祭の劇で演技指導したりしたことだけ?! 漫画版でも救済はないの?!
こんなにカッコいいのに!
アニメでは「負けたらCDデビュー」と言われ、毎回暗殺に失敗して退場するキャラのキャラソンとそれに合わせた特殊エンディングが流れていた。しかし、あろうことか唯一しえなちゃんには専用EDが無い(しえなちゃんが退場した回は千足と柩のEDだったから)。さらに、それらのキャラソンと合唱曲を集めたCDである「黒組曲 序・破・急」にも、しえなちゃんのソロ曲は収録されていない! なんて不遇なんだ。
しえなちゃんは何だかんだ生きていて、アニメのエピローグではネカフェからミョウジョウ学園にハッキングをしかける場面が描かれる。本作はその場面から始まり、ミョウジョウ学園に拉致され無人島に送り込まれたしえなちゃんには、さらなる不遇の日々が待っているのだった。
「主人公になれるよ!」
「やったね しえなちゃん。」
2. 精度の高い二次創作
無人島では、しえなちゃんを連れてきた「走り 鳰」の他に、10年黒組の生徒だった車椅子のお嬢様「英 純恋子」、シリアルキラーでしえなちゃんのルームメイト「武智 乙哉」、そしてしえなちゃんを殺したエンゼルトランペット「桐ヶ谷 柩」が生活している。うわあ、しえなちゃん的には全員会いたくない。
不倶戴天の仇敵
しえなちゃんを含めて登場キャラクターは5人だが、各キャラの行動はきちんと「アニメのエピローグ後」となっている。例えばエピローグで料理を始めようと言っていた英さんが本当に料理人の修行をしていたり、乙哉は未だに警察に追われていたりする。千足をけなすと柩が激昂するのも、アーコレコレって感じ。
英さんの特殊EDもカッコよくて良いんですよ。大好き。
ユニークな点として、鳰と乙哉には好感度が設定されている。
鳰の好感度を上げきると、そのままGOOD ENDの一つに到達できる他、TRUE ENDにたどり着くためには乙哉の好感度を上げて宝石をもらわなければならない。しかし高感度を上げすぎると乙哉はしえなちゃんの寝込みを襲って殺してしまう。すごく乙哉っぽい。
極めつけは「悪魔のリドル」クイズがあるところ。乙哉が出すクイズに正解するとしえなちゃんの知能が上がるのだが、これがほとんど「悪魔のリドル カルトクイズ」とでも呼ぶべき高難易度になっている。答えはだいたいアニヲタwikiに書いてあるが、正直そんなの覚えてるわけ無いでしょという問題も多く、割とプレイヤーに『挑んで』きている。
知らんわw
3. 知能を上げて無人島から脱出しよう
本作はしえなちゃんを無人島から脱出させるゲーム。食料の確保といったサバイバルや、探索・脱出方法の模索など基本的なところが抑えられているし、しえなちゃんの行動でエンディングが複数に分岐するのは相当の作り込みを感じる。
子供の頃このゲームも好きでした。本作はここまで本格的ではないが、脱出方法やトゥルーエンドの条件などに影響が見られる。
本作で特徴的なのは、しえなちゃんに「知能」というステータスが設定されているところ。具体的には本を読んだり「知能パン」を食べたり、頭が良い選択肢を選ぶと知能が上昇し、ふざけた選択肢を選ぶと知能が下がる。落ちている物を拾うだけで知能が上がる理由は謎。
「知能パン」を食べてしえなちゃんの知能が爆上がり。筆者もこういう賢くてバカっぽいテキストを書けるようになりたい。
知能が上がったしえなちゃんは秘密の抜け穴を見つけたり古い資料を読み解いたりと、要所要所で知能が低いままでは気づけなかったことに気づいていく。TRPGのダイスロールに成功するようなイメージだろうか。
知能が足りないときは緑の文字で表示される。
その他の要素も親切で、かゆいところに手が届いている。特に体力を探索の時限要素として使っているのに対し、その体力が左上の花びらで常時表示されているのは分かりやすい。
謎解きは良心的で、同梱テキストを読めば攻略に詰まることもない。食料も豊富に採取することができ、「タフ度」を始めとしたステータスアップの恩恵も大きく、そもそもの難易度が低いので気楽に遊べる。登場キャラの絵やドットがしっかりしているのも魅力的だ。
本作は不遇のしえなちゃんにスポットを当てた、おそらく唯一の、そして高品質な同人ゲームである。廉価でもあり、プレイ時間も3時間はかからないので、悪魔のリドルが好きなら一度は触ることをオススメする。
4. エンディング攻略
同梱の「攻略のヒント.txt」を見れば、だいたいの内容は分かる。そのため、本レビューでは筆者がプレイ中に見つけたED条件を書いていこう。
全てのEDを埋めることはできなかったので、他のEDがあればコメントで教えて欲しい。
BAD END
1 ?
2 海底トンネルで銃撃された
3 餓死
4 桐ヶ谷に悪口を言ったら毒殺された
5 食べ過ぎ
6 島の秘密を知ってしまったので鳰に殺された
7 ?
8 蜂に刺された
9 ?
10 ?
11 台風に飛ばされた (しえなちゃんのメガネだけが飛んでるの面白いw)
12 スライムにぐちゃぐちゃにされてお嫁に行けなくなった
GOOD END
1 ゴミ拾いポイントが既定値に到達
2 乙哉に殺された (これグッドエンドかよ!)
3 鳰に気に入られた
4 盗んだ船で走り出す
5 無人島に永住
6 いかだで生還!
TRUE END
しえなちゃん大勝利! 希望の未来へレディ・ゴーッ!!