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格安ギターをイジりましょう①

おうち時間が増えて、楽器を始めた/再開した方が増えていると聞きます。
若干厳しい昨今のご時世ではありますが、楽器は一人でも楽しめるとてもいいアイテムだと思います。
今回はエレクトリックギターの中でも『箱モノ』なんて呼ばれるギターをイジってみます。
ギター本体の改造(というか部品の交換)の記事なので、完全な初心者向けではありません。悪しからずご容赦ください。

なぜイジるか

それは今回のギターが格安だからです。
中国製のGroteというブランドのギターで、お値段なんと19,000円。
どうでしょう?箱モノがこの値段ですよ。廉価といわれるメーカー(たとえばエピフォンやスクワイアでしょうか)でも3万円は出さなくちゃならないところを、19,000円!(21/10/15時点)
一般的に楽器の値段は素材と手間と職人の腕でだいたい決まります。いい素材をいい職人が丹念に作れば高価になります。
安いギターはそのどれか、もしくはすべてが足りないから安くできるわけです。
そこで、パーツを換えればそれなりになる可能性がある、と。…まあ、どうにもならないこともありますけど。


どこをイジるか

換えても大丈夫なところ(=簡単に元に戻せるところ)を交換します。
その中でも弦に直接触るパーツ、具体的にはナット、ペグ、ブリッジを換えてみましょう。

で、もともとの音はどうだったの?

中国からはるばる届いたGroteさん。
梱包(発泡スチロールの箱にグルグル巻きテープで届いた)を解き、ざっとチューニングして音を出すと、なかなか悪くない音がします。けっこうちゃんとした「箱」の音です。
ではありますが、少々カサついた音なのが気になります。

パーツ交換-1 ペグを換えるぞ

お手軽カスタムの定石。ペグ(弦巻)を換えます。
ギターのペグっていろいろありますがGOTOH製のものを選んでおけば、まず間違いないです。で、使っていて気に入らなければ違うものを選んでみましょう。
どんなものを選ぶにしても、ポイントは操作性と精度。GROTEに元々ついていたペグはツマミを回すと「ごりごり…」と、あまりよろしくない抵抗感がありました。これはペグの中にある歯車の造りが悪いから。造りの悪い歯車は当然精度が悪いです。精度の悪い歯車はチューニングを維持できません。GOTOH製のものは安いものでもここがしっかりしています。

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GOTOHペグです。ミニマルな包装がもうグッときます。
機種は「SG381-20-L3+R3-Chrome」を選びました。オリジナルのペグと同じ半円型のツマミのモノです。
載せる機種を選ぶには、ねじ止め位置を参考にしてください。
GROTEはペグのギアボックスに対して斜めにネジの出ているタイプ。

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ヘッド裏から見ています。向かって右列はもうGOTOH製ペグに交換済み。

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作業は…
1:弦を外す
2:弦を巻き付けていたポスト(チューニングポスト)付け根にある六角ナットを外す
3:裏側のネジを外す
4:ペグ本体を外す
5:新しいペグを裏側から押し込む
6:表からナットを仮締めする(ワッシャーを忘れないように!)
7:裏のネジ穴を合わせて木ネジを締める
8:表ナットを本締め
…です。
工程が複雑に見えるかもしれませんが、やってみたらホントにすぐできます。
今回の組付け時、裏ネジ穴がちょっとずれていたとこもありましたが、無理のないように締めこんでは緩め、またちょっと締めて緩め…を繰り返して少々強引に止めちゃいました。ネットで見ると、このネジ穴が大きくずれていることもあるようです。その場合は木ネジを締めず、まずペグが正しい位置になるよう合わせてナットを締めこんでください。で、裏の木ネジを(できれば下穴を開けてから)締めます。
また、表側のナットはちゃんとレンチやスパナを使って締めましょう。こんな商品もあります。

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今回変えたペグの比較。左がGOTOH、右がオリジナルです。
あまり変わらないように見えますが、弦を巻き付ける部分のくびれ方が違うの、判ります?ここは弦を隙間なく巻き付けられるようにくびれが大きいほうがいいです。またポストそのものの仕上げも違いますね。GROTEはツヤがありません。ステン削りっぱなしなんでしょうか。

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上が交換前、下が交換後です。
違い、判ります?ツマミ基部の長さが違うので、下のほうがツマミとヘッドの間が広がっているんです。オリジナルのペグはツマミがヘッドに当たりそうなくらい近い。これは精神衛生上よろしくない。
さて、交換が終わったところで音出しです。
チューニングを合わせます。もう、操作フィーリングが雲泥の差。スベリもありません。
お、音が伸びる。スカった感じもちょっと消えたぞ。
そうなんです。ペグを変えると音が変わるんです。
GOTOHとオリジナルでは重量が違っていて、GOTOHのほうが重いんです。音色変化の大きな理由はここです。
ヘッド側をちょっと重くすると、サスティンが伸びます。また、倍音が消えづらくなります。逆に軽くするとサスティンは短くなり倍音がスッと消える傾向が出てきます。
しかし、残念ながら劇的に変わるわけでもありません。音を決める一要素には違いないんですが、あくまで「傾向」が出てくるくらいなもんで。

さて、ペグ交換が終わりました。
次回はナット交換をしてみましょう。
ナット交換も、手順を踏めば実はなんて事のない作業です。

どの作業にも言えることですが
・焦らないこと
・「おや?」と思ったら立ち止まること
・ちょっとやそっとのミスは気にしないこと
これさえ守れば、あとはケガに注意するだけでOKです。

それでは、よいギターライフを!

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