特撮ソングの詞を見つめる-ファイブマン、愛のテーマ-
昨年5月にスタートさせた、趣味と特撮を語るポッドキャスト「DX聴合金」。その中でも何度か特集してきた、特撮ソングの詞をじっくり見るシリーズ。今回は、1990~1991年放送のこの作品!
まずは作品について
シリーズ第14作となる「地球戦隊ファイブマン」。メンバー全員が兄妹という設定は、シリーズ初の試みでした。後に、「救急戦隊ゴーゴーファイブ」「魔法戦隊マジレンジャー」などでも、この”兄弟”の設定は使われています。更に、このファイブマンとなる星川兄弟は5人とも地球で小学校の教師であるなど、子どもたちにとって身近な存在に落とし込まれているのも特徴的です。このテーマ設定は「少子化や教育の崩壊などの社会問題を反映したもの」とされています。
新機軸が多く投入された背景には、当時のスーパー戦隊シリーズの視聴率低迷も大きく影響していたのでしょう。
とは言え、私は当時生まれてもいないわけですが・・・。
エンディングテーマ
「ファイブマン、愛のテーマ」
今回取り上げるのは、そんなファイブマンのエンディングテーマ「ファイブマン、愛のテーマ」。
スーパー戦隊シリーズの場合、OPテーマは皆さんの想像するいわゆるアニソン・特ソンの真ん中のものが多いでしょう。90年代半ばになるとその様相は変化しますが、このファイブマンのOP曲「地球戦隊ファイブマン」もタイトルから分かる通り、”まさに!”と言った印象です。
一方で このエンディング曲は、ポップなメロディではあるものの、”愛”がテーマとして歌われる一曲です。
歌われる”愛””君”とは
冒頭から詞はこう綴られています。
熱い!そんな歌い出しです。「これ、子供向け作品のエンディングテーマですよね?」と思ってしまう歌い出しです。更にサビでは、
この歌詞だけを追っていると、愛する人(女性?)に対して、その人を守るヒーローとしての覚悟のように受け取れます。もしくは、”君=子どもたち”と読むこともできるでしょうか。
ただ、先程作品の紹介でも触れましたが、ファイブマンは家族・兄弟がテーマ。描かれるのは「兄弟愛」でしょうか。
それが色濃く見えるのが、サビ前のこの一節。
まさに「無償の愛」これこそが本物の”愛”。
よく、恋は求めるもの 愛は与えるものといいますが、その究極系とも言える一節です。 当時の子どもたちに伝わったかどうかはわかりませんが、大人になって聴きかえすと気づく深さでしょうか。
歌われた、鈴木けんじさんが収録当時のことをMOOK本の中でこのように語っています。
「ファイブマン」と歌わなければ
「兄弟愛」を描いた作品の、おそらく「兄弟愛」を記した歌詞。ただ、ここに「家族」「兄弟」というキーワードが入っていないことが、”愛”の解釈に余白を残しているように感じます。
そんな中でも、「ファイブマン」と名前をあえて入れ込むことで、作品と地続きで聴くと「兄弟愛」を感じられる。 にくい演出のように感じます。
スーパー戦隊ソングだからの見え方
アニソン・特ソンが今ほど市民権を得ていなかった時代ではないでしょうか。ただそんな中でも、スーパー戦隊ソングとしてのキャッチーさ・詞に込める思いの大きさ両立されている一曲。いつも感じますが、「スーパー戦隊」は基本的に子どもたちのものであるべきだと思っています。ただ、こういった咀嚼できる余韻・余白を残してくれる作品はあとから見直して、まだまだ楽しめる。当時お子さんだった、いま特撮ファンでない方にぜひ曲を聞いてあの頃を思い出してもらえれば。
【おまけ】ヒーローソング 発見!
実は、今週1月17日(火)にリリースになったback numberのアルバム「ユーモア」。
その11曲目に収録されている新曲「ヒーロースーツ」聞いてびっくり!
まさに、スーパー戦隊ファンの僕らが心のうちに持っていた思いと、恋愛をクロスさせた詞です。
特に、カーレンジャー好きとしては詞の中に登場する「ダダダン ディディディン ドゥドゥドゥン デデ どどどどうしよう」というフレーズが、「あれ?聞いたことがあるような?」と思ってしましました。気の所為ですかね?
Podcast「DX聴合金」もお楽しみください。
この内容は、ポッドキャスト「#聴合金」でもお話しています。
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