【FX】アウトサイドバー(包み線、包み足)の実践的な使い方とは?勝率の高い手法も
今回はプライスアクションの一つ「アウトサイドバー」についてお話ししていきたいと思います。
アウトサイドバーは包み線や包み足とも呼ばれており、様々な場面で出現する実践的なプライスアクションの一つです。
株や先物取引におけるアウトサイドバー、包み線・包み足というのは左のローソク足の始値・終値が右のローソク足の始値・終値の中にすっぽり包まれているものを正確なアウトサイドバー(包み線)と定義しております。
これが
「1本目のローソク足の始値と終値が2本目のローソク足の始値と終値の間にすっぽり包まれている状態」
ですね。
2本目のローソク足の方がボラティリティが大きくなって1本目の高安を勢い良く更新していることからトレンド反転を示唆しています。
ただしFX・為替市場におけるアウトサイドバーの定義は少し違います。
株や先物取引というのは取引可能な時間が平日の朝9時から11時30分までの前場と12時30分から15時までの後場に限られているので、取引所が閉場している間に企業決算などの材料によって当日の終値と翌日の始値に乖離が生まれるというのはよくあることです。
そのため、定義通りのアウトサイドバーが出現する頻度も多くなると言えます。
しかし、為替市場というのは基本的に24時間世界のどこかで取引をされていて流動性が大きく「終値と始値が乖離する」という現象はほとんど起こりません。
土日は為替市場の取引がないので、週をまたいだ月曜日に始値が飛ぶことがあるくらいです。
そのため、株や先物取引のような狭義のアウトサイドバーが出現する時を待っていてもほとんどお目にかかることがありません。
なので、FXにおけるアウトサイドバーはより実践的なものとして
「1本目の終値と2本目の始値が同じ場合」であってもアウトサイドバーの条件を満たすものと見なします。
例えばこちらは 下降 → 上昇 への反転を示唆するアウトサイドバーですが、1本目の終値と2本目の始値が連続しています。
また、1本目の下ヒゲの最安値を2本目の下ヒゲの安値の方は更新してはいないのですが特に問題はありません。
ただし、1本目の高値or安値(ヒゲ先)を2本目の実体部分で更新していることは絶対条件です。
上昇 → 下降 へと反転する際のアウトサイドバーはこれとは逆ですね。
まあ、そもそもアウトサイドバーの認識で重要なのは
「定義通りのアウトサイドバーかどうか」
よりも
「アウトサイドバーの中で具体的に何が起こっているのかを知ること」
にありますので、そちらについても詳しくお話ししていきたいと思います。
アウトサイドバー(包み足)の中で何が起こっているのか
アウトサイドバーがなぜトレンド反転のサインになるのかというと、これはテクニカル分析の始祖であるダウ理論で考えると分かりやすいです。
アウトサイドバーのローソク足2本分の値動きを表すとこのようになっているはずです。
1本目のローソク足の高値というのは下降トレンド中に作ったラストの戻り高値であり、2本目のローソク足はそれを抜き返して終値でブレイクした形になっているはずです。
つまりこれはダウ理論のラス戻り高値をブレイクしたことによるトレンド反転と全く同じ話なわけですね。
例えば15分足でアウトサイドバーが出現したとしたら、5分足チャートや1分足チャートにダウンサイジングして見るとこのような形になっているはずです。
また、安値を更新できていない2本目の下ヒゲというのも「安値の切り上げ」で結局は上昇へのトレンド反転を示唆する材料の一つになっています。
だからFXにおいてアウトサイドバーは株や先物のように定義通りに考えることにあまり本質的な意味がないわけです。
これは下降 → 上昇 の反転を見極めるアウトサイドバーなので、上昇 → 下降 のアウトサイドバーなら逆にラス押し安値を下にブレイクしています。
通常であればこういったダウ理論で定義する「ラス戻り高値」「ラス押し安値」のブレイクというのは損切り幅が大きく、すでにある程度トレンドが進行してしまってもう伸びる余地があまりないというトレードになりがちです。
あるいはこういう形もあります。
この場合はダウ理論のラス戻り高値ではありませんが、右肩上がりのダブルボトムのネックラインブレイクになります。
ダブルボトムやダブルトップのネックラインブレイクでのエントリーというのも、ダウ理論と同じように実践的なFXを考えるとエントリータイミングが遅かったりダマシになったりすることが多いですね。
私はアウトサイドバーの中身がダウ理論のラス押し・ラス戻りブレイクのパターンでもダブルボトム・ダブルトップネックのパターンでも、どちらでも大差ないと思っています。
なぜなら、どちらもそのままではトレンド反転を掴むには遅すぎることには変わらないからです。
しかし、アウトサイドバーという2本のローソク足にダウンサイジングすることで有利なポイントでのエントリーが可能なプライスアクションに変わるということですね。
アウトサイドバーの形は
・1本目のヒゲを2本目のヒゲが更新しているもの(高安の更新のみ)
・1本目の実体部分を2本目の実体部分が更新しているもの
といった具合に色々な形があるようですが、私はこれらの広義のアウトサイドバーにはあまり意味がなく、基本的に
・1本目の高安を2本目の実体で更新しているもの
をアウトサイドバーの出現と見なします。
そもそもダウ理論の考え方を2本のローソク足にスケールダウンさせているわけですから、せめて1本目の高安を実体がブレイクするくらいの明確さと勢いがないとエントリーサインとして頼るには少々心もとないわけです。
長期足のアウトサイドバー(包み足)にはあまり意味がない
アウトサイドバーの原理がダウ理論のラス押し安値・ラス戻り高値のブレイクにあることからも分かると思うのですが、長期足でアウトサイドバーが現れたとしてもそれ自体が何か意味のあるものではありません。
例えばこちらはポンドドル4時間足チャートに出現したアウトサイドバーですが、これを1時間足チャートにすると
こういう風に、すでにある程度トレンドが伸びきっています。
もし4時間足チャートのアウトサイドバーの出現を根拠にエントリーするとしたらすでにある程度伸びきったこんなところから入るということになりますので遅すぎますね。
これを15分足や5分足チャートに落としていけばなおさらです。
つまり長期足のアウトサイドバーは「誰が見ても分かるブレイク後」に出るものでしかなく、そんなものは別にアウトサイドバーを見るまでもなく分かります。
同じような理由から「複数のローソク足を飲み込むアウトサイドバー」というのもあまり意味がありません。
要するにそれはただのレンジブレイクということですし、一番右側のローソク足が強く伸びているのは良いもののその初動を取ることはアウトサイドバーを見ても出来ないわけです。
やはりアウトサイドバーというのは長期足で見るものではなく、下位足にダウンサイジングしてエントリータイミングを計るための最後のトリガーとして使うのが実践的な使い方です。
アウトサイドバー(包み足)はどこで出現するかが大事
アウトサイドバー(包み足)はトレンド反転の際に出現するプライスアクションなので、通常はこれのみを根拠にエントリーすることはありません。
単にアウトサイドバー(包み足)が出たからと言って逆張りエントリーするのではなく、然るべき「節目」で現れた際にその効果を発揮します。
・押し目買い・戻り売り候補として見立てた節目にアウトサイドバーが出現したので上げ止まり・下げ止まりの確認
・長期足のレジサポラインに一度当たって反発してもう一度ラインを試しに行ったところでアウトサイドバーが出現して2回目の反発の確認
・前日安値にアタックしようと下に付けに行ったものの安値に届かず手前でアウトサイドバーが出現して安値の切り上げの確認
・水平線をブレイクした後に戻ってきて水平線にタッチしてアウトサイドバーが出現してレジサポ転換の確認
・天井圏でダブルトップが出現しネックラインをブレイクしたものの安値を更新できずに上方ブレイクのアウトサイドバーが出現したので戻り売り失敗の確認
と、然るべき節目でのアウトサイドバーというのはざっと挙げただけでもこんな風に上げ止まり、下げ止まり、反転、トレンドフォローの失敗、と様々な場面で色々な使い方が出来ます。
やはりローソク足二本で確認できるというのは分かりやすく、最後の一手になってくれますね。
ただ、私がトレードにおいて最も愛用しているのが
・水平線をブレイクした後にアウトサイドバーが出現しブレイクアウトダマシ確定
というパターンです。
アウトサイドバーと水平線ブレイクアウトダマシを組み合わせた手法
私はアウトサイドバー(包み足)と水平線のブレイクアウトダマシを組み合わせたものを一つの手法として度々実践のトレードで使っています。
単にライン上の反発を見て上げ止まりや下げ止まりを確認するのにアウトサイドバーを使うだけであれば、それだけでは有効なエントリーとはなりません。
しかし時として、相場というのはオーバーシュートして重要な水平線の節目をブレイクして”行き過ぎる”ことがしばしば起こります。
そして、行き過ぎた相場はブレイクアウトしたと見せかけて反転して戻って来るということも良く起こります。
このブレイクアウトのダマシを見極める際にアウトサイドバーを使うことで非常に強力なエントリーサインとなり、勝率の高いトレードが可能になります。
ただのライン際の反発であればその後レンジになったり、レンジになってから抜けるということもありますが水平線のブレイクアウトダマシに限定すれば高確率で反発が狙える勝率の高いトレードが実現可能です。
水平線のブレイクアウト失敗に特化した手法というのもお話ししていますので、よかったら参考にしてみてください。
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