【英国LLM留学】英国法弁護士への道#7 │SQE1受験レポ
こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。
ぼくは、イギリスに留学中の弁護士です。
2023年にロンドンのロースクール(LLM)を修了し、現在は、ロンドンの法律事務所に出向中です。
引き続き、ぼくが英国法弁護士に登録されるまでを振り返っていきます。もしかしたら、聞きなれない略語が出てくるかもしれません。よければ、第1回の分からお読みいただけると分かりやすいかと思います。
※ 最近、SQE2の免除を受けた人がSRAに登録する際の英語要件に変更がありました。かなり重要な変更なので、詳しくは第1回をお読みください。
前回は、SQE1の学習について書きました。今回は、ぼくが2023年初めにSQE1を受けた際の受験記を書きたいと思います。
なお、英国法弁護士で大変なのは、試験勉強ではなく事務手続です。各手続に関する要件等については、できるだけ確実な情報に基づいて話を進めていきますが、最終的には、ご自身で確認頂くようお願いします。
2023年1月26日:FLK1
試験会場へ
ぼくが受けた会場は、ExCeL Londonという展示場でした。カナリーワーフの少し東のウォーターフロントにあり、日本で言うならまさに国際展示場といった感じです。
試験開始は午前9時で、その1時間前の午前8時までに受付を済ませる必要がありました。この辺りの情報は、試験の少し前にSRAから登録したメールアドレスに連絡が来ます。
受付開始は午前7時からだったので、ぼくは7時30分に着くように家を出ました。会場に着くと既にそこそこ人が集まっていました。写真を撮っておけばよかったですね。
列に並んでから30分ほどで受付を済ませました。その後は、割り振られた番号に従って受験する部屋に案内されます。
部屋に入る前にパスポートを提示して、指紋などを取られます。また、部屋に入るとカバンの中から荷物を取り出せなくなることから、試験前にノートを見直せる最後のタイミングがここになります。
教室の環境
指定された席に座って、試験開始を待ちます。
ご存じのとおり、SQE1はコンピューターベースの試験で、目の前にはモニターとキーボード、ヘッドホン、マウスが置かれます。
また、試験問題を読んでいるときに図を書いて整理したいときがあると思うのですが、ぼくの会場では、小さなホワイトボードとマジックが置かれていました。それと、耳栓も用意されていました。
あと、時計については、試験画面に残り時間が表示されるので心配いりません。また、電卓のアプリも試験のアプリケーションにくっ付いており、例えばTaxの問題などは、この電卓を利用することになります。
午前の試験開始
日本の試験だと、試験監督官が手元の時計を見ながら、定刻になったら「始めてください!」と号令をかけて受験生が一斉に書き始めるという感じですが、SQE1のときはそうではありませんでした。
一応、開始の合図はありましたが、画面に映る指示を読んでいき、準備が整ったら、自分のタイミングでスタートボタンを押して始める仕組みです。なので、受験生によって開始時刻はバラバラ、ゆえに終了時刻もバラバラになります。
そうこうしているうちに定刻となり、ぼくも試験を始めます。
フリーズしまくるパソコン
試験が始まるまで、QELTSchoolのMock Testと同じような問題が出るのか心配だったのですが、実際に本試験を解き進めていると、概ね同じような方向性の問題だったので、回答に悩んで時間だけが過ぎていく、、みたいな事態には陥りませんでした。
その点は良かったのですが、とにかくパソコンの挙動がおかしかったです。ポインタがマウスの移動に沿って滑らかに動かず、選択肢のAからBに移動しようとしてタブキーを押すも反応せずにもう一回押すと少し時間を置いて一気にCまで移動するみたいなことがしばらく続きました。
そして、30分ほど経過したところで、急に画面がフリーズします。
スタッフを呼ぶため急いで手を挙げると、周りの数人も同様に手を挙げていました。もしかしたら、ぼく周辺一帯のパソコンがおかしかったのかもしれません。
スタッフの人に再ログイン(?)のようなことをしてもらい試験を再開します。幸い、フリーズしている時間中は試験の時計は進んでいないようです。
、、と問題を読み直していたのもつかの間、再び、画面がフリーズします。
もう一度手を挙げると、はす向かいに座っていた若い女性も手を挙げています。あんまりジロジロ見るわけにもいかなかったのですが、過呼吸のようになっていました。
退室していく女性
まあ、気持ちは分かります。試験中って極度の緊張状態ですし、ただでさえ問題文を必死に読み込んで神経をとがらせているのに、パソコンがフリーズしたら動転しますよね。
結局、その女性は泣き出して嗚咽が止まらなくなり、スタッフに肩を抱かれて退室していきました。彼女は試験終了まで戻ってこず、残されていた荷物はスタッフが後で取りに来ていたので、おそらく棄権したのだと思います。
かなり気の毒でしたが、だからといって不幸を被った代わりにSQE1に合格させてもらえるわけでもないので、皆さまも、不測のトラブルが起こっても、気持ちを強く持たれるのが良いと思います!
フリーズしていなかったパソコン
あまりにも周辺一帯のパソコンの調子が悪いので、スタッフの人たちは大忙しで全然人員が足りていません。
その後もフリーズは繰り返され、ぼくはその度に手を挙げてスタッフの人が来てくれるのを待ちます。
ようやくスタッフの人が来ると、「フリーズしていないよ」と不思議な顔をして言われます。画面を見ると、フリーズから回復していて、既に時計が進んでいる状態でした。
時間にして僅かだとは思いますが、それでも、ショックは大きかったです。
1問分も時間を損したなあ、と落ち込みつつ、ギリギリで90問を回答し終えて、午前の試験を終えました。
お昼休憩
先ほども言ったとおり、試験の終了時刻もバラバラになるので、終了した人は適宜教室から退出して、カバンを持ってお昼休憩に出かける仕組みです。休憩時間はおおむね1時間でした。
ただし、午後の試験開始時刻は決まっており、開始20分前には着席することを求められていました。
ぼくの周辺に座っていた受験生は、フリーズが繰り返されたこともあり、シーンとなった会場で午前の試験を続け、結局、終わった頃には、お昼休憩の時間は半分以上過ぎており、ゆっくりお昼を食べる時間もありませんでした。
もともとがっつり食べる予定は無く、Tescoで買ってきたチョコパン3つぐらいを近くのベンチで座りながら頬張って、ちゃちゃっと済ませました。午後の試験に向けての見直しもしませんでした。
午後の試験
午後のFLK1はいたって平和で、なぜかフリーズも起こらず、淡々と解き終えました。ただ、正直に言って、午前と午後を比べてどっちが出来たかと言われれば迷いますし、むしろ、午後の方が時間がなかった印象さえあります。
結局のところ、パソコンのフリーズに悩まされることなんて試験との関係では割と些細なことで、試験では動じない心が大切ですね。
FLK1を終えた当時の感想
受かっているかどうか分からないというのが正直なところでした。
6割取れていれば合格と認識していたのですが、確実にそれだけ取れているとは思えず、かといって、全くできなかったときに感じるような試験終了後の絶望感もありませんでした。
問題に関しては、おおむね想定していた内容・難易度でしたが、強いていうなら、SRA規制関連の問題は、難しく感じました。それに思ったより問題も多かったような気がします。
丸一日の試験を終えたものの、まだFLK2が残っています。ホッと一息つく間もなく、その家に帰ってFLK2の勉強を再開したことを覚えています。
2023年1月30日:FLK2
再び試験会場へ
実は、FLK2の記憶はあまり残っていません。
会場もFLK1と同じで、かつ、全ての手続が2度目で勝手も分かっていることもあり、スムーズに受付と試験教室への移動を済ませることができました。
時間が足りない
FLK2も同じく午前9時開始(少し遅れていたかも知れません)で、今回は特にパソコンのトラブルもなく、試験を進めることが出来ました。
しかし、思うように解き進められません。
本来は、1分40秒ぐらいで1問を解いていかなければいけないところ、2分弱かけてしまう問題もあり、どんどん遅れていきます。
結局、午前中の90問のうち、1~2問はサイコロを振るに等しい感じで選択肢を選ぶことになりました。
午後の部は、午前中の反省を生かして土地法や信託法の複雑そうな問題は、フラグを立てておいて後回しにして、その他の分野の解ける問題を時間切れのせいで解けないという事態を避けることを心がけました。
ただ、結果としては、午前中よりも難しいものが多く感じ、5問ぐらいはサイコロでした(笑)
FLK2を終えた当時の感想
こんな感じであまりできなかったFLK2ですが、30%ぐらいの確率で受かってるかな、ぐらいの感想でした。
つまり70%の確率で落ちているだろうと思ったわけですが、試験終了後は誰もが弱気になるものだから、あまり気にしないようにして家路につきました。
この日まで勉強し詰めだったので、しばらくゆっくりしたかったものの、すでにロースクールのTerm 2が始まっており、ずっと授業をすっぽかしていたので、その日も家に帰ってすぐに授業の予習を始めました。
2023年3月14日:結果発表
結果発表の日は事前に公表されています。
例えば、もうすぐ行われる7月のSQE1の結果は、9月10日に発表されることになっています。
そして、ぼくが受けた2023年1月のSQE1は、3月14日が発表日でした。
結果はMy SQEにアップロードされ、その通知がメールで来ます。ぼくはちょうどそのとき、ゼミでのディスカッションの時間でしたが、結果が気になって全然議論に参加できていませんでした。
おそるおそる結果を確認すると、
本当にギリギリで受かっていました!!
「Quintile」とあるのは、受験生を5つの階層に受けたときに、その受験生が何階層目に位置するかという指標です。ぼくは3階層目にいるようなので、Quintile 4, 5が、Failとなってしまうのかもしれません。
このnoteを書いているときに知ったのですが、SRAは、毎SQEごとに、統計を発表しています。結構有用な情報が載っていたので、受験生の方は見ておいた方が良いかも知れません。
ぼくが受けた2023年1月度のSQE1は、以下のとおりでした(*1)。
なお、上記の統計には、人種別の合格率や受験生の得点分布も載っていて興味深かったです。
小括
全部書ききったあとに言うのも恐縮ですが、ぼくがSQE1を受けたのが、もう1年半も前の話であることもあり、ちょっと臨場感に欠けるレポであったことは否めないですね。
ぼくはSQE1をギリギリで受かった身ですので偉そうなことは言えませんが、もし、2024年7月の試験を控えている方がいらっしゃれば、体調に気をつけつつ、頑張ってください!!
次回は、SQE2の勉強について書きたいと思います。
追記:こちらです!
このエントリーがどなたかのお役に立てば、嬉しいです。
また次回もよろしくお願いします!
【注釈】
*1 こちらのレポートを基にしています。
免責事項:
このnoteは、ぼくの個人的な意見を述べるものであり、ぼくの所属先の意見を代表するものではありません。また、法律上その他のアドバイスを目的としたものでもありません。noteの作成・管理には配慮をしていますが、その内容に関する正確性および完全性については、保証いたしかねます。あらかじめご了承ください。
X(Twitter)もやっています。
こちらから、フォローお願いします!
弁護士のイギリス留学に関するいろいろなことを書いています。
よければ、ぜひご覧ください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?