少数会派の都知事選/独自の「東京大改革」模索【無料公開】
【都政新報2020年6月26日号】
18日に告示された都知事選では、現職の小池百合子氏(67)に対し、新人の山本太郎氏(45)、宇都宮健児氏(73)、小野泰輔氏(46)らが挑む構図だ。都議会各会派の動きを見ると、都民ファーストの会が小池氏を支援し、共産や民主の一部が「野党共闘」で宇都宮氏を応援。一方、自民党は二階俊博幹事長が小池氏の支援を明言しつつも、都議会レベルでは動きが鈍い。こうした中、少数会派も来年の都議選に向けた対応を模索している。
3人で構成する都議会第6会派の「東京みらい」は今回、「新型コロナの対応を始めとする都政の継続性という観点から、知事を今変えるべきではない」として、実質的に小池氏を応援する方向で一致した。
同会派は2019年1月、都民ファーストの会の「不明瞭な意思決定」に疑義を呈して会派を離党した3人で結成したが、この間は一貫して、小池知事を支持する態度を取ってきた。知事提出の議案には賛成し、新型コロナ対策では学習塾やジムなど広い業種の業態転換を支援するための補助金交付などを実現させるなど会派要望も採用されている。
しかし、知事選で小池氏を応援するとの結論に至るまでには、小池都政の4年間の実績だけでなく、小池氏以外の候補の政策等についても検証し、会派で議論を重ねて結論を出したという。これまでのスタンスを踏襲するのであれば、小池氏の支援に回るのが自然にも見える。なぜ、簡単にそうはならなかったのか。
■来年の布石
念頭にあったのは、小池氏が自民党本部の二階俊博幹事長と接近し、自民党の支援を求めるかのような動きだ。幹事長の奥澤高広氏は告示前、「自民、公明で進める『東京大改革』とは何なのか」と疑問を呈していた。
最終的に小池氏は政党推薦を受けずに立候補する形に落ち着いたが、「再選のために特定の政党から支援を受けようとしたことに、東京大改革、都民ファーストの視点からぶれていないかと疑念をぬぐえなかった」(奥澤氏)と話す。
東京みらいは結成当時から、対立構造や多数派による意思決定ではなく、対話と合意形成を通した『第三の選択肢』を生み出す政治を「ミッション」として掲げてきた。同会の齋藤礼伊奈政調会長は都議会2定の討論で、「都民とともに答えを見つけていく真の『東京大改革』を目指す」と強調。都民ファも「東京大改革」に言及して小池氏の応援姿勢を鮮明にしていたが、「真の」と付け加え、独自性を強調している。
同会は10日、政治ゼミのメンバー募集を発表。奥澤氏は「私たちの取り組みに共感し、政治分野で課題解決を目指す仲間を増やしたい」と意図を語る。
「脱小池」とは言わないまでも、会派として独自路線を模索する動きは、来年の都議選に向けて会派の存在感を増すための布石でもある。(伊)