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岡田耕
2023年7月29日 00:00
釈求真2023年6月23日発行「句具ネプリVol.10 夏至」所収うなぎ屋の暖簾や看板の「うなぎ」の文字。崩し字で「う」の字がうなぎの絵になっている。鮮度の良さを訴えるように、勢いよく長く描かれている。さすがにこの日ばかりは、強い日差しでぐったりしてるようだ。(岡田 耕)
2022年12月26日 00:00
磯村 光生(平成八年作、『花扇』) 東京の年の市は、十四・十五日の深川八幡から、二十五・二十六日の麹町平河天神までが六大市と称された。「二十八日は薬研堀の年の市。夜になると両国の両側にはお飾りを売る店が軒を並べて、大根締め、輪飾り、締め飾り、橙子、本俵、譲葉、昆布、串柿まで並んでいる。刺子を着て向鉢巻をした若い衆が『市ちゃまけた』と呶鳴りながら、お客を呼んでいる。横町の角では伊勢海老ば
2022年12月22日 00:00
山本御代句集『ボロ市』所収。ただでさえ多くの人でごった返す世田谷ボロ市。狭い路地を通り抜けるだけでも一苦労。そこを骨董品やら、古着やら、雑貨やら、植木やらの戦利品を携えて歩く。双手いっぱいの満足感、いやまだ戦闘態勢であるのかも。(岡田 耕)
2022年12月8日 00:00
土生 重次(昭和五十四年作、『歴巡』) 大森貝塚を発見したE・S・モースが記した滞在日記に、正月飾りなどを売る年の市の風景(明治十一年)がある。「今月(十二月)は、各所の寺院の近くで、市がひらかれる。売買される品は、新年用の藁製家庭装飾品、家の中で祭る祠、子供の玩具等である。大きな市はすでに終り、今や小さい市が、東京中いたる所で開かれる。このような野外市につどい集る人の数には驚いてしまう
2022年10月9日 00:10
【スキ御礼】「「ゆりかごのうた」を生んだ白秋の想い」前記事の「「ゆりかごのうた」を生んだ白秋の想い」を書いたあと、妻にこの歌は「カナリヤ」も「枇杷の実」も月の色と同じ黄色で揃えられていることを話した。そしたら妻からは、「私もそう思っていたわよ。キネズミもそうでしょ。」と言い返された。「キネズミ?・・・・・・黄ネズミ!」どうやら妻は、木ねずみ(リス)のことを、ピカチュウみたいに黄色いネ
2022年9月29日 03:13
高﨑 公久句集『青』(令和四年)所収。作者は昭和五十三年に「蘭」に入会。野澤節子・きくちつねこに師事。平成二十八年「蘭」主宰継承。句は、平成二十二年~二十五年の作。人は、自我を脅すものに攻撃を向ける。集団でも、その理想や主義を脅かすものに攻撃を向ける。攻撃で自我が拡大する興奮は止められなくなる。無用な殺戮をする動物は人間だけ。秋の蠅、叩くのは止めておこうと思う。(岡田 耕
2022年10月1日 00:03
磯村 光生 (平成十年作、『花扇』)「彼岸花の花はどんなに咲こうがどれ一つとして実を結ぶものはない。球根の分球によってのみ増殖する。(略)畦道という畦道を埋め尽くすように咲くその花は、わざわざ人が植えたからであり、必ずしもねずみなどの害を防ぐ為ばかりではなかったであろう。」(『鎌倉 花の四季』磯村光生) 句の丘は、たとえ人里離れていても、かつてそ
2022年9月5日 03:13
高﨑公久『青』令和四年 文學の森 俳誌「蘭」は昭和四十六年の創刊。作者は、平成二十八年より「屠蘇酌みて今年これより一誌負ふ」と主宰継承。師系は「林火忌や潮流青を深めつつ」という大野林火。福島県いわき市の出身で、野澤節子・きくちつねこに師事し、「牡丹供養赤炎青炎は二人の師」と須賀川で有名な牡丹供養を詠む。東日本大震災の年次の句も収録されているが、「想いの十分の一も表現できていない句を載
2022年8月29日 05:45
今瀬 剛一句集『甚六』(令和二年)所収。作者は、昭和四十六年「沖」創刊と共に参加、能村登四郎に師事。昭和六十二年「対岸」創刊主宰。秋の夜も更けて、いよいよ作句に身が入るところ。薪を割るような潔さがある。「カラー図説 日本大歳時記 座右版」(昭和五十八年 講談社版)は、厚さ七センチほど。百三十名に及ぶ執筆者の中に、作者の名もある。(岡田 耕)
2022年9月3日 00:13
渡辺 照子草っ原に猫じゃらしが生えていると見る人がいれば、建築工事をする更地としか見ない人もいる。人が違えば見え方も違うもの。猫じゃらしの名は、子犬の尾の意味の狗尾草というが、欧米では狐の尾(foxtail)と見るという。(岡田 耕)(俳句雑誌『風友』令和三年十二月号)