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「金欠ボーイズ 笑いごとじゃない」 舞台設定とあらすじ
【舞台設定】
ここは宇田川茂男の自宅の一画にある、ガレージを改築した小屋。裏の畑で採れた野菜や生活雑貨を販売する "宇田川商店" である。この場所は、月末になると家賃の収集場所にもなる。現金に触れることに至上の喜びを感じる宇田川は、アパートの住人たちに手渡しで家賃を収めることを義務付けているのだ。
内装はデザイン性に乏しい簡素な設え。舞台奥の壁は陳列棚になっていて、野菜や生活雑貨が並んでいる。野菜はそれなりに新鮮そうだが、雑貨はほこりをかぶっているように見える。また、天井の隅には建物には不釣り合いな警報機が取り付けられている。
上手側の端が一段高くなっており、座卓がある。座卓の後ろにドアがあり、母屋に通じている。宇田川は普段、この座卓で会計をしたり家賃を受け取ったりする。卓上には帳簿、電卓、契約書類などが置かれている。座布団の横には宇田川愛用の小型金庫。一見無造作に置かれているが、これは床にがっちりと固定されている。
下手側、店の入り口はガレージの名残りがあるシャッターである。営業中は開け放しになっていて、アパートの住民たちもここから出入りする。
やよい荘の家賃の支払い期限は、28日午後3時まで。今日はその28日、時計は午後3時を回った。宇田川が集金額を数えているところへ、203号室の平山が申し訳なさそうに姿を現す。
▼やよい荘
宇田川が経営するやよい荘は、宇田川商店から目と鼻の先にある築40年のぼろアパート。漫才コンビ・ハッピーターンの平山が203号室を、我孫子が204号室を借りている。しばらく空き家だった202号室は、民泊に利用するためにリフォームが済んだばかり。
(*やよい荘は舞台とはなりませんが、すぐ近くにあるという設定です)
【あらすじ】
(あらすじは必ずしも読まなくても大丈夫です)
漫才コンビハッピーターンの平山と我孫子は、おんぼろアパートやよい荘で203号室と204号室を隣り合って借りていた。
三か月前、会場の予約日を間違えるという我孫子の大失態によって、初の単独ライブがみじめな失敗に終わって以来、二人の仲は険悪になっていた。ライブの準備に貯金を費やしてしまった二人は、金銭的にも苦しくなり、毎月の家賃の支払いも遅れていた。
守銭奴の大家・宇田川は、ろくに家賃を払えない平山と我孫子を追い出して、より儲かりそうな民泊をはじめようと画策中だった。次に支払いが遅れたら出て行くよう通告された平山と我孫子だが、二人とも意地を張って互いに協力することができない。
実は、平山は恋人のまい子にアパートを出て同棲しないかと誘われていた。まい子はピント外れの笑いのセンスを持った傍若無人な女だが、一緒にいればしばらく金の心配はしなくて済む。平山はマンションの賃貸契約書にサインしかけるが、お笑いをやめてもらうことが条件だと言われ、やはり同棲を取りやめることにする。
一方、我孫子は我孫子でこっそり新しい相方を探していた。しかし、相方候補の後輩・林田は自分勝手でセンスも合わない。おまけに、漫才ではなくコントをやろうと言い出す始末だった。
空き部屋だった202号室で一足先にはじまった民泊の第一号客は、コミケでコスプレをするのが目的で初来日した日系アメリカ人のナナだった。我孫子は、宇田川がこれ以上民泊に手を広げるのをやめさせようとナナにトラブルを起こさせることを思いつくが……。
*1話へ
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