暑い夏を乗り切るために必須のエアコンディショナーは、業者にお願いして設置するものだと思い込んでいた・・・
冬場は極寒のフィラデルフィアでもここ最近の夏は猛暑となる日が多くなっている・・・・・という事は聞いていた。
不動産屋によれば、今までは扇風機などで過ごしている人が多かったが、最近では夏の平均気温が上がっているのでエアコンディショナーを設置する人が増えているらしかった。
街を歩けばアパートの窓にエアコンディショナーを設置している部屋が所々に見受けられた。
暑がりの私にとってエアコンディショナーは不可欠であると思えたが、先ずは住まいの形作りを優先しようと、家具などの手配を優先することにした。
エアコンディショナーが必要になれば、設置工事含めて電気製品量販店に頼めばいつでも設置可能だろう・・・と高をくくっていた。
アパートの賃貸契約を済ませて実際に部屋に足を踏み入れると、聞いていた通りに部屋の中は熱帯状態であった。
寝室にはシーリングファンが付いていたがいくら回しても、噴き出す汗の解決にはならなかった。
こんな環境では快適に済むことは不可能だ!と咄嗟に判断してエアコンディショナーの設置を決断したのであった。
直ぐにエアコンディショナーを扱う量販店に電話を掛けまくる。
ところがその対応は日本のそれとは全く異なっていた。
電話を掛けた量販店の反応は一応に「工事は請け負っていない」という答えだった。
私が調べた限り分かったことは・・・、
アメリカのエアコンディショナーは室外機が無く一体型のものが主流。
余程大きなエアコンディショナーでない限り設置工事の請負は無くその設置は各人が行う。
そして私が考えたことは・・・、
エアコンディショナーが一体型という事は専門業者による大がかりな工事は不要。
外から見れば高層階のアパートの窓にもエアコンディショナーが設置してあるがこれをDIYで行うとするなら窓にも大きな工事は不要・・・なのだろうという推測。
そしてYouTubeでアメリカに於けるエアコンディショナーの設置法を調べて私が決断したことは・・・、
人生初となるエアコンディショナーの設置を自らの手で実行しよう!
最低限必要な器具である電気ドリル・ドライバー、窓枠の高さ調整のための木材・・・等の購入をしよう!
決断したら早速実行していく。
直ぐに量販店でエアコンディショナーを購入。
その足で、電気ドリル・ドライバー、木材、固定用のネジ・・を購入。
ここで助かったのが、厚さ2センチ弱の丁度窓枠に合う奥行きの木材が有ったことだった。
部屋に戻り、先ずは段ボールからエアコンディショナーを取り出す。
中には本体そのものと固定に必要な器具や金具とネジのみが入っていた。
本体からはそれをコンセントに刺してスイッチを入れれば動き出すコードが伸びている・・・。
一番初めにすることが、本体を窓枠に安定的に設置するための処置、、、木材の出番である。
木材を置いてみると窓枠の下からの出っ張りより背が高いので、木材の縦幅分約6.5センチが本体の安定化に貢献可能なことを確認できた。これをしないと本体を窓枠からの出っ張りの幅約2ミリで支えないといけない・・・。
この木材をしっかりと固定するために、人生初体験となる電気ドリル・ドライバーの使用が必要だ。
この木材に本体を更に強固に固定するための金具を付属のネジで取り付けるので、この邪魔にならないように木材にネジを打ち込む4箇所の位置に印を付ける。
木材の横幅は65センチ弱だから4箇所止めればガッチリと固定できるだろう・・・との素人考えだ。
購入した木材と窓枠をしっかりと固定できる長さのネジよりも少し細い穴をドリルで開けるのだ。
ドリルの電池は十分に充電してある。
マークした位置に電気ドリルの歯を当ててスイッチを入れる・・・直ぐに木くずが飛び散りながらドリルの歯が木材に穴を開けていく・・・ハズだ。できればドリルの歯は木材を貫通して窓枠に届く位まで進んでいるのが望ましい・・・。
スイッチを押しながら歯が木材に潜り込んでいく・・・ハズが状況は全く違っていた。
ドリルの歯は気持ち良い位に回っているのだが、一向に歯が木材に潜っていかない・・・。
「あれ?力が足りないのかな?」という事で一寸力を加えてみる。
歯は必死に唸る・・・のだが、木材の上で空しく回転するだけ・・・、と木材から焦げ臭が発生・・・。
スイッチから指を離すと、ドリルの歯の先は摩擦熱を利用した火起こし状態で焦げている。
「あれ?歯の種類を間違えたのかな?この歯は穴を開けるためのものでは無いのかな?」
「でも歯の売り場には様々な太さの歯があっただけだった・・。」
いろんな思いが交錯する。
ドリルの本体を眺め回す・・・。
すると矢印が付いた突起のあるのを発見。
その矢印は歯の回転の向きを変える突起だったのだ。
人生初の電気ドリル使用はお恥ずかしい幕開けとなってしまった。
回転の向きを直して、再度ドリルの歯を木材に当ててスイッチに指を掛ける。
勢いよくドリルの歯が回転し木くずを飛ばしながら木材の中に沈んでいく。
程良い深さまで掘り進んでスイッチから指を離して歯を抜こうとするが、歯はビクともしない・・・。
その瞬間に気付いたのが「そうか!抜く時は回転を逆にすれば良いんだ!」という事。
先ほどの学びが生きている!
穴を開けた箇所に、電気ドリルの先を歯からドライバーに変えてネジを打ち込んでいく。
気持ち良いほどにキッチリ、ガッチリと木材が窓枠にネジで固定されていく・・・。
これでエアコンディショナー本体を安定的に置くことができる基礎工事の完了だ。
次にやる作業は本体の準備だ。
本体はコンセントに繋いでスイッチを入れれば勝手に動くから、その事前準備は窓枠に上手く固定するための器具や金具を取り付ける事。
先ずは本体の上面に90度角の器具を取り付ける。
この器具が本体を固定するのに重要で、この器具に窓を下ろして窓を引っ掛けるようにすることで本体が外への落下を防ぐことができる。
ここで分かったのが、アメリカにおける住宅の窓の構造のほとんどが上下させて開け閉めするタイプであることから、窓へのエアコンディショナーの設置が可能となるのだった。
私の部屋は3階だから万一落下したら大変なことになってしまうからここは慎重に作業を進めていく。
この器具の後は、本体と土台となる木材を繋いで固定する金具を本体の両脇に取り付け、更には本体の両横にできる空間を防ぐ蛇腹を取り付ける。
ここまでくれば後は本体を窓際に持っていき、先ずは土台の木材の上に置く。
そこに窓を下ろして窓を先ほど取り付けた90度角の器具に引っ掛ける。
ここで手を離しても窓の力で外に落ちることは無い。
この状態でこれまた先ほど取り付けた金具を木材にネジで取り付ける。
この際にも電動ドライバーが大活躍だ。
エアコンディショナーの本体は、窓そのものと本体と土台の木材を繋ぐ金具で固定された。
一つだけ誤算があったのは、私の部屋の窓の大きさがエアコンディショナーとは合っていなかったらしく、蛇腹の寸法が足り無かったことだ。
まあ、この点はご愛敬という事で、本体の両脇に出来た空間は取り敢えず段ボールで埋めることにした。
本体からのコードをコンセントに差し込んで、スイッチをオンにする。
その瞬間から冷たい空気が流れ出し、極暑の部屋がみるみる極楽に近づいたのであった。
まさかDIYでエアコンディショナーを設置できるなんて思ってもみなかったのだが、暑さに我慢できずに思い切ってチャレンジして良かった!
お陰で猛暑のフィラデルフィアでの生活が昼夜に渡って快適なものとなった。
外から我が部屋を見れば、遠目からはプロの業者さんが設置したとしか思えない外観・・・。
暑さに耐えられなくてエアコンディショナーを設置せざるを得ない状況だったと言え、思い切ってトライして本当に良かった。
使いこなした道具達を見る度に、心はプロの業者になった自分がいる・・・。
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