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【長身美女】彼女に力で敵いません。【腕相撲】

水野勘太には、悩みがある。

力で、彼女に勝てるのか、わからないのだ。

勘太は現在中学3年生。野球部に所属している。

今日は6月1日。

中1から気になっていた女子と、中3の5月から付き合い始めた。

彼女の名前は水崎美咲。

学年のマドンナ的存在で、ソフトボール部のエースで4番だ。

美咲は中1から頭角を現し、中3の現在に至るまで絶対的エースとして存在感を放っている。

勘太は入学してすぐに美咲に惹かれ、中1の夏、美咲への好意を自覚した。

野球部とソフト部は、隣り合わせのグラウンドを使っている。

半袖半ズボンのウェアで練習に励む美咲の姿に、勘太は射抜かれた。

美咲が放つ、中学生にしては桁違いに速い速球は、勘太の肌感では野球部のエースより速かった。

腕まくりした時に見える、ほんのり焼けた二の腕は、逞しさと女性らしさを両立していた。

曲げてもいないのに、上腕二頭筋はうっすらと盛り上がり、ゆるやかな力瘤を形成している。

太ももは、前後に大きく張り出している。

ふくらはぎは、靴下で隠れた部分は細く引き締まっているが、そこから太ももにかけて急速に太くなっている。

勘太は練習中にも関わらず、下半身の熱を抑え切れず、何度もトイレに駆け込んだ。

そして、トイレから練習に戻る際、勘太は、トイレに向かう美咲とすれ違ったのだ。

その時、勘太は、美咲より少し、身長が低いことを悟った。

そして同時に、美咲の身体から放たれる圧力を感じた。

もし肩がぶつかっていたら、と考えると、勘太は居ても立っても居られなかった。

勘太「(もしかしたら、俺は美咲に体格で負けて、ぶっ飛ばされたかもしれない。いや、しかし、男女差があるから、逆に勝ってたかも…。でも…美咲の肉付きからして…。)」

その夜から、勘太は自身の太ももや腕を見ながら、それと比較して太くて大きい美咲の身体を想い、毎日のように耽るようになった…。



勘太は、中2から中3にかけて成長期を迎えた。

声も低くなり、背も高くなった。

勘太「(中1のあの頃は美咲の方が大きかったけど、今は逆転して、勝てるかもしれない。)」

そして、中3の4月8日。

クラス替えの日。

勘太は美咲と初めてクラスメイトになった。

座席は、番号順で既に決まっていた。

勘太は美咲の1つ後ろの席に座った。

勘太からは、男子から美咲への視線が嫌でも目についた。

勘太は、もし美咲に告白して付き合うことになったら有名人になってしまいそうだ、などと妄想していた。

勘太は、美咲の1つ後ろの席であることを心底喜んだ。

というのも、美咲を見られる特等席だからだ。

黒板を見る時も、辺りを見回す時も、美咲が視界に入る。

誰からも咎められることなく、美咲を見ることができるのだ!

勘太は、床の正方形のタイルを基準に、自身と美咲の座っている椅子の横幅が同じであることを確認した。

その上で、自身の臀部の椅子からはみ出ている幅と、美咲のそれが椅子からはみ出ている幅を比較した。

そして勘太は、美咲の方が臀部の横幅が大きいことをクラス替え初日で確信した。

それからというもの、勘太は自身の下半身の熱を感じ続けていた…。

勘太「(ま、まぁ、女性の臀部が大きいのは普通のことだからな…。)」

勘太は自身に言い聞かせた。

次に、勘太は美咲の肩幅に注目した。

美咲の肩幅は、臀部より少し広い。

勘太は自身の肩幅と臀部の幅を比較してみたが、あまり変わらないように見えた。

勘太「(美咲の方が、肩幅も大きいかもしれない…。いやでも、俺も成長期でデカくなった。筋肉量や身長では、圧倒できるかもしれない。俺も、男だからな。)」

美咲は、手鏡を持って顔をチェックするなど、女性らしい一面も持ち合わせていた。

勘太は、逞しさと美しさを両立している美咲から、目が離せなくなっていた…。

勘太はクラスのお調子者で、クラスの男子とよく話していた。

美咲にその存在を認識してもらうため、勘太はわざと大きな声を張り上げ、クラスで一番笑いを取っていた。

勘太はクラスメイトを媒介にして、美咲へアピールしていたのだ。


5月のある日。

勘太はじゃんけんで負け、女子の誰かに告白することになった。

友達A「お前、誰に告白すんの!?」
勘太「う、うるせぇよ…。」
友達B「水崎は?お前、アイツのこと好きだろ?」
勘太「好きじゃねえよ!!!!」
友達A「顔、真っ赤だぞ?決まりだ、水崎に告白してこい!」
勘太「断る!」

一連のやり取りを聞いていたのか、勘太を含む男子グループの方に、美咲は目を向けた。

友達A「ほら、水崎こっちみたぞ!脈ありだって脈あり!両想い!」
勘太「…。」
友達B「お前、ガチで行くの?」
勘太「放課後、行ってくる。」
友達A「お前、ガチ?」

勘太の友人たちは、勘太の真剣な表情と声を聞き、段々とトーンダウンしていった。

放課後。

勘太は、席を立とうとする美咲に、意を決して話しかけた。

勘太「水崎。」
美咲「ん?なに?」
勘太「ちょっと話があるんだけど、いい?」
美咲「どうしたの?別に、いいけど。」
勘太「屋上にいるから、10分くらいしたら来て。」
美咲「え?わかったけど…。」

勘太は美咲とのコミュニケーションを切り上げ、急足で屋上に向かった。

美咲に10分後と指定した理由は、一緒に屋上に向かうと周りの生徒に怪しまれる恐れがあるからだ。

勘太は屋上に到着すると、告白の言葉を考えた。

勘太「(水崎は、真面目に俺の話を聞くだろう。だから、誠実に、ストレートに伝えるのが、一番響くだろう…。「好きです付き合ってください」が一番いいかな。)」

(ガチャっ)

勘太は、音がした方を見た。

美咲だ。

勘太「(そういえば、美咲と立って向き合うの、始めてだな…。)」

制服姿の美咲は、遠くから見ると、モデルのようだ。

スラッと長く見える脚。

スカートの上端は、身体の真ん中より上にある。

美咲は、勘太の至近距離に迫った。

美咲「なによ。」
勘太「いや…。その。」

勘太は驚いた。

1年生の時、トイレ前ですれ違った時と同様に、勘太は美咲に見下ろされたのだ。

薄々勘づいてはいたものの、ここまで美咲と身長差があるとは思わなかった。

美咲「なによ?これから部活なんだけど?あんたもでしょ?」
勘太「…。」

用意していた告白の言葉が出てこない。

告白する時特有の緊張感と、美咲から相変わらず見下ろされていることに対する羞恥心が、勘太を硬直させた。

美咲「あんた、呼び出しといて黙るってなんなの?男でしょ?ハッキリ言いなさいよ。」
勘太「あ、あの…その…好きです。付き合ってください。」

沈黙が流れた。

美咲「え、ええっ?」
勘太「い、いや、その、他の男子からも告られてて慣れてると思うけど、でも、本当に好きなんだ…。」
美咲「……ありがとう。」
勘太「あ、あぁっあの、えと、その、罰ゲームで、その、告ることになっちゃって…。」
美咲「はあ!?」

美咲は、勘太に近づいていく。

勘太は、美咲から後退りしていく。

美咲は、勘太に迫る。

勘太は屋上の端にある柵に背をつけた。

(ガシャっっ)

勘太「えっ」

美咲は、勘太に逆壁ドンした。

勘太「(え、逆壁ドン…?いやでも、これは柵だから、逆柵ドン…?いやいや、今はそんなことはどうでもいい…。」
美咲「ただの罰ゲームなの?それとも、本気で好きなの?どっちかハッキリしなさいよ。」

勘太は、フラれる恐怖と恥ずかしさで、罰ゲームを盾にしてしまったことを恥じた。

そして、美咲に至近距離で迫られ、自身の気持ちに正直になる覚悟を決めた。

勘太「好き…です。付き合って…ください。」
美咲「…いいよ。私も、同じ、気持ち。」

勘太は一瞬訳がわからなかった。

しかし数秒後、勘太は美咲の言葉に舞い上がった。

一年時から好きだった美咲と、付き合えるなんて!

美咲「…じゃ、私、部活行くね。」

美咲は顔を赤らめながら、早歩きで、扉の方へ歩いていった。

勘太は、自身の中で最速の早歩きで美咲を追ったが、二人の距離はどんどんと開いていった。

勘太が屋上から出た時、すでに美咲は視界から消えていた。

勘太は股間部の熱を感じた。

勘太「(早歩きでは、美咲には敵わないかもしれない…。でも、早歩きはただの脚の長さの問題であって、50メートル走などの瞬発系では勝てるに違いない。でも、早歩きももしかしたら、筋力差を反映しているかもしれない…。)」


そして、今日は6月1日。

勘太は、悶々としている。

美咲に、力で勝てるかわからないのだ。

2人が付き合っていることは、まだ、学校では誰も知らない。

しばらくの間は秘密にしよう、と2人で約束したのだ。

来週、6月10日からは、中間テストが控えている。

部活は休みだ。

クラスメイトは次々と教室から出ていく。

勘太も荷物をバッグにしまい、帰ろうとした。

その時。

美咲「勘太、ちょっと待ってよ。」
勘太「ん、なに?」
美咲「言いたいことがあるんだけど。」

勘太は、たじろいだ。

勘太「(早速、美咲にフラれるのか?他に好きな人ができたのか?)な、なんだよ。」
美咲「いや、皆が教室からいなくなるまで、待ってよ。」
勘太「え?」





美咲「私たち、どっちが強いんだろうね?」


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