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個展『New Dawn Fades』3.22-4.2(6)
動物をモチーフにすることが多かったのだけど、今のところそれもあまり関心がなくて… 例外は鹿かな。鹿は撮りたいのです。
あと鯉。鯉の退廃的な出自はやはり魅力的です。人工生命というか… 日本のデカダンスを感じるんですよね。
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ただ鯉をモチーフにしても水面のゆらめきの中で泳ぐ姿を捉えた写真(ノンフィクション)と、下の写真のように地中を泳ぐ架空の地底世界を現実世界から眺めた下の写真(フィクション)では異なるアプローチで撮影をしています。
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地底とか洞窟みたいな描写が好きなのは「グロテスク」という言葉がいつも頭にあるからだと思います。そもそもの語義とは少し離れてしまっていますし、グロテスク紋様とも無関係なのでステイトメントに書くことはないのですが、故遠藤ミチロウ氏のプロジェクトに『グロテスク・ニュー・ポップ』というのがありまして、ずいぶんと影響を受けました。
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Punkというムーブメントに最初に触れたのはスターリンでした。「先天性労働者」という曲を聴くまでマルクスなんて知りませんでしたし、時代背景とか社会と思想の変遷みたいなものに関心を持つようになった契機は間違いなくスターリン(THE STALIN)なんです。
また話が逸れまくりましたけど。岩の下で泳ぐ鯉というイメージは、グロッタ(洞窟)に棲む生きたデカダン趣味を端的に提示する写真的レトリックなのです。
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ルネサンス期の美術様式の一種で、具象(人・動物・自然物など実際に存在するもの)を密に配した過度に豪奢な装飾模様や、写実を部分的に誇張し、強調することによって生み出された異様さに美を追究する絵画表現に用いられてきた言葉です。
丹野 徹 個展『New Dawn Fedes』
会期:3月22日〜4月2日 11:00-19:00 ※土・日・祝日・最終日は17:00まで
場所:靖山画廊(東銀座)
作家在廊(予定)3月22日 ,23日 ,24日 他