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自動運転と地図──人間に代わって「働くロボット」を調べてみた
自動改札、セルフレジ、スマホの音声認識、Siriなどのバーチャルアシスタント──。
AIやロボットが日常に溶け込みはじめている昨今。業務・サービスロボットの技術革新・市場投入のスピードが加速していることは、読者のみなさんも体感されているのではないでしょうか。
ロボットと聞いて、専門外の私がぱっと思い浮かんだものを並べだけでも、2000年以降、さまざまなロボットが登場していることがわかります。
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2000年、ホンダが二足歩行ロボット「ASIMO」を発表。
2002年、アメリカで「ルンバ」が誕生。
2012年、OriHimeの開発を手がけるオリィ研究所設立。
2015年、世界初のロボットホテルとして、ハウステンボスに「変なホテル」がオープンし、ソフトバンクのペッパー君の販売が開始。同年、首相官邸にドローンが墜落。
2016年、ドローン規制法が施行。
2017年、Google Home、アマゾンエコーが日本での発売を開始。
2000年代以降、ビックデータの活用が広がり、AIブームが再来したことも影響しているのでしょうか。ここ20年でロボットが身近なものになったのは間違いなさそうです。
拡大するロボット市場
では、実際、ロボット市場は今後どのように成長すると考えられているのでしょうか。
アメリカの調査会社Report Oceanは、次のように予測を発表しています(太字は筆者、以下同)。
2021年の産業用ロボットの世界市場規模は42345.3百万米ドルでした。産業用ロボットの世界市場規模は、2022年から2030年までの予測期間において年平均成長率(CAGR)11.8%で推移し、2030年には116,848.7万米ドルに達すると予測されます。
また、富士経済は、2030年には、デリバリロボット分野では23倍強(2021年比)の市場規模になると発表。
・業務・サービスロボットの世界市場 5兆7,628億円(2.1倍)
・業務用セキュリティロボット 245億円(17.5倍)
・デリバリーロボット(屋外用) 1,010億円(23.5倍)
調査結果の概要に書いてあるように、コロナといった感染症の「予防策の観点」以外にも、超高齢化・人口減がもたらす「人手不足」、さらにはロボットの「高機能化」もあいまって、ロボットの需要はますます高まるであろうことは想像に難くありません。
生活に溶け込み、人間を助けるロボットたち
そして、2030年を待つことなく、すでに多くのロボットが私たちの生活に溶け込むように活動しています。「①調理ロボット」「②配膳ロボット」「③宅配ロボット」の3つのジャンルに分けて、具体例を見ていきましょう。
【①調理ロボット】丸ビルでロボットがパスタをつくる!
ニュースでも度々取り上げられているのが、丸ビルに、2022年6月にオープンしたパスタ屋さんの「パスタを料理するロボット」。
ロボットを手がけたTechMagic社は、「熟練の調理技術」の再現を意識したそうです。
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TechMagicは日本初のロボットメーカーで、味の素、日清食品、キューピーといった大手食品メーカーとも協業しています。
海外の調理ロボット例でいえば、2018年、「全自動レストラン」が中国に誕生したそうです。
来店客は自身のスマートフォンで、テーブル上のQRコードを読み込んで注文する。注文と同時に決済も済ませる。注文内容に応じて調理ロボットが食材や調味料をフライパンなどの調理器具に入れて調理。「著名な料理人が監修したレシピに基づき、5台の調理ロボットが中国八大料理40種を調理する」(京東集団)。調理スペースにはスタッフ1人が付き、5台の調理ロボットを管理する。
【②配膳ロボット】日本が欧州に先行!? 2021年は「配膳ロボット元年」
日本の配膳ロボットの先駆け的な存在でいえば、回転寿司のコンベアが有名ですが、そのほかにもさまざまなロボットが日本の飲食店で活躍しています。
・ガスト → ネコ型ロボット「ベラボット」
・焼肉キング → 下膳も担う「サービィ」
・花の舞 → おでこをなでると引き返す「ピーナッツ」
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アメリカ発の「サービィ」の販売を手がけるソフトバンクロボティクスグループの坂田大常務執行役員兼CBOは「配膳を含むサービス・ロボットの潜在的な国内の市場規模を数千億円と試算し、2021年を『配膳ロボット元年』と位置付け」ているとのこと。
また、記事内では、日本や中国は、欧米に比べても、サビース・ロボットの浸透が早いとも指摘されています。
【③宅配ロボット】ウォルマート、アマゾン……、世界的大企業が相次いで参入
道交法、航空法などが関連する宅配ロボット分野では、実証実験が重ねられています。
地上での宅配サービスでいえば、三菱地所、スターバックス、楽天グループ、パナソニックホールディングス、西友など、大手企業が参入。(記事内に「3Dマップ」というワードが出てきますが、ロボットが配送を行なう際、「地図」の技術は不可欠なものになります!)。
「空」の宅配サービスにおいても、ドローン配送実用化に向け、複数の企業が実証実験を行なっています。たとえば、日本郵政は2023年の実用化を目指し、2016年以降さまざまな実験を実施。
同じく2016年にドローンプロジェクトを開始したANAは、セブン-イレブンなどと連携して、実証実験を進めています。
世界に目を向けると、世界一のスーパーマーケットチェーン「ウォルマート」は、これまでも試験的に導入していた「ドローン商品配達サービスの対象地域を拡大し、2022年中に6つの州の400万世帯で利用可能にすると発表」。計画では、年内に400万世帯、将来的には年間100万回以上の配達を目指しているようです。
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また、eコマース市場の巨人・アマゾンも、これまで「20以上の試作機を開発、衝突・墜落も経験」したそうですが、「米カリフォルニア州で2022年内にドローン(無人機)による商品配達を始める」と発表。
そう遠くない将来、ドローン配送が一般化している可能性は十分にありそうです。
「ヒト」を無人で運ぶ1995年開業の「ゆりかもめ」
ここまでは①調理、②配膳、③宅配の3つのジャンルで、「モノ」に対して力を発揮するロボットを紹介してきました。ここからは「ヒト」を運ぶロボットについて考えていきたいと思います。
無人で「ヒト」を運ぶ事例として真っ先に思い浮かぶのは、新交通ゆりかもめではないでしょうか。
今では多くの方が安全性を疑うことなく利用しているゆりかもめですが、開発当初はきっとさまざまな苦労があったに違いありません。
ゆりかもめの「自動運転」については、公式サイトで詳しく説明されています。
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ちなみに、日本の鉄道の自動運転の歴史はもっと長いようで、1960年に「名古屋市営地下鉄で走行実験」、1970年に「日本万国博覧会のモノレールで実用化」、1981に「神戸新交通ポートアイランド線は世界初の無人運転システムを採用」という記事を見つけました。
無人で「ヒト」を運ぶチャレンジには、試行錯誤が積み重ねられてきた歴史があるようです。
実用化が進む「自動車」の自動運転技術
そんな「鉄道」以外で、「ヒト」を運ぶ乗り物として、実用化に向けて世界中で開発が進んでいるのが、「車」の自動運転技術です。
まず、そもそも「自動運転とは何か」については、国土交通省による「自動運転のレベル分けについて」という資料が参考になります。
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私たちが「自動運転」と聞いて思い浮かべるような「未来の自動車」はレベル5「完全自動運転」であり、日本では2021年にホンダが世界に先駆けて「自動運転レベル3」の「ホンダ・レジェンド」を発売。さらに、2022年には「レベル4」の実用化を視野に、法改正案が閣議決定しています(現在、参院を通過し、衆院に送付されている状況のようです)。
自動運転は、さまざまな分野の技術が関わっており、私自身勉強中なのですが、わかりやすく「自動運転の現状と未来」を解説した記事を発見しましたので、みなさんにも共有したいと思います。
ざっくりというと、自動運転を実現するには、「レーザー光線を使うLiDAR(レーザーレーダー)」「周囲の画像を撮影するカメラ」「電波を使うミリ波レーダー」の3つのセンサーに加え、「走行する周囲の空間を詳細に記録した自動運転用地図」という「第4のセンサー」が必要であると指摘されています。
そもそも自動運転技術が完成すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
その点については、『自動運転 ライフスタイルから電気自動車まで、すべてを変える破壊的イノベーション』(鶴原吉郎・仲森智博著、逢坂哲彌監修、日経BP社刊)で次のように列挙されています。
・交通事故の激減
・交通渋滞の解消
・電気自動車(EV)の普及によるCO2排出量の大幅な減少
・少子高齢化社会への対応
・物流コストの大幅な低減と人手不足への対応
・駐車場の多くが不要になることによる土地利用の効率化
・緊急時、災害時の対応の迅速化
また、せっかくの機会ですので、地図業界の宣伝も兼ねて、「自動運転用地図に関わるプレイヤー」がまとめられている下記サイトもご紹介しておきたいと思います。
記事内に登場する「ダイナミックマップ」(内閣府)の図では、「自動運転」を実現するためには、膨大な量の情報を「地図」にプロットしなければならないことがわかりやすく表現されています。
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上記、サイトにも登場する「HDマップ(高精度3次元地図)」を作成するために設立されたダイナミック基盤は、地図大手のゼンリンやジオテクノロジーズ(旧インクリメントP)の他、自動車業界からは、いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ、トヨタ自動車、日産自動車、日野自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車というように、オールジャパン的な自動車会社が出資している企業です。
ちなみに、自動運転に必要な「HDマップ(高精度3次元地図)」の作成に必要なデータ収集手法は以下のサイトで紹介されています。
自動運転と地図──マップボックスの取り組み
ここまで、さまざまな分野で活躍するロボットの紹介、さらには「自動運転と地図」について、個人的に調べたことをまとめました。
あらためて、地図サービス開発のプラットフォームを提供するマップボックス・ジャパンのCEOとして、私たちの取り組みをご紹介したいと思います。
実は、すでに「持続可能な公共交通を社会実装する」ことを目指しているソフトバンクグループのBOLDLYの活動を支援する形で、地図情報の提供を開始しています。
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BOLDLYの取り組みの詳細については、近日中に佐治友基CEOとの対談を企画しておりますのでそちらに譲りますが、簡単に説明するとBOLDLYが現在メインで手がけているのは「自動運転バス」になります。
なぜ、バスから始めたかといえば、バスはルート走行するため、現在の技術レベルとの相性がよいことに加え、コスト面のハードルが低いためです。
たとえば、一般的な乗用車に自動運転技術を搭載した場合、一度に運べる「ヒト」の数は4〜5人程度ですが、バスの場合はもっと多くの「ヒト」を運べるため、コスト面で折り合いがつきやすいという特徴があります。
名古屋のARMAは赤と白のラッピングがかっこいいですね☺ #自動運転バス境町ARMA は3台あり、ラッピングも3種類あります! https://t.co/W3r4CaJR1Y pic.twitter.com/Rh6aQyuMhF
— 境町自動運転バス(ARMA)運行情報 (@abi_sakai) August 10, 2022
そして、バスが安全に走るためには、走行ルートの正確な地図が必要ですし、今後、一度に多くのバスを走らせることになれば、運行を管理するためのプラットフォームが必須になります。
先述したゆりかもめでは「中央指令所」という名前がつけられていましたが、自動運転バスにおいても、ルート走行するバスがそれぞれ今どの場所にいて、遅延等のトラベルが発生していないかどうか、安全に走行できているかを把握しなければなりません。
そのシステムには地図情報が不可欠であり、BOLDLYの実証実験段階から、マップボックスの技術を提供することで、早期の実用化の支援を行なっているのです。
冒頭で紹介したサービスロボットを開発している企業がそうであるように、マップボックス・ジャパンも、現在存在する課題を解決できる「将来の技術」開発に携われることを会社の使命の1つと考えて活動しています。
そのあたりについても、佐治CEOとお話しできればと思っています。ぜひ対談記事を楽しみにお待ちいただけると幸いです!