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BCN 視点 #12 「問われるTVコマーシャルのあり方」 (2006年11月27日)

 2006年9月に米調査会社のeマーケッター社から2010年までの米国インターネット広告市場予測が発表されている。この予測によれば、2010年の米国のネット広告市場は252億ドルに達する。05年の市場規模は125億ドルなので、5年間で2倍強に成長する見通しになっている。05年の雑誌広告市場は207億ドル、ラジオ広告市場が217億ドルなので、2010年時点ではテレビ、新聞に次ぐ広告メディアになっていると予想される。これは、驚くべきことではない。過去からメディアとしてのインターネットの成長をみている人にとっては想定内のことだ。

 eマーケッター社の発表数字の中で意外なのは、05年に651億ドルであった地上波テレビとケーブルテレビを合わせたテレビ広告市場規模が2010年には872億ドルに成長するというシナリオである。5年間で34%、年平均にして6%という成長率はかなり高い。一方、同社は06年11月に家庭におけるデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)とビデオ・オン・デマンド(VOD)普及率の予測を発表しているのだが、2010年にはDVRの普及率は35%程度、VODは42%程度に達すると予測している。

 この2つの数字は矛盾していないだろうか。DVRやVODの普及率が高くなれば、テレビコマーシャルをスキップして番組を見る視聴者が増えるのではないだろうか。実際、広告業界ではこうした現象が増加することを懸念している人が多くなっている。私自身も数年前からDVRを利用するようになって、かなりのコマーシャルをスキップして番組を見ているし、この2─3年、番組は見ているが、コマーシャルを見たことがないという知人もいる。この一見矛盾しているとしかみえない数字を説明するには、2つの仮説が考えられる。

 第一は、DVRやVODは普及するが、視聴者はDVRやVODを使ってテレビを見ないという仮説である。06年時点でDVRやVODを使ってテレビを見ている家庭はまだ4%しかないという、某調査会社の数字もある。
 もう一つの仮説は、コマーシャルがスキップできなくなるという仮説である。これは技術的にスキップできなくなるわけではなく、番組と一体化されてしまうためにスキップできなくなるのである。

 個人的には、どちらかといえば後者の仮説が正しいような気がするのだが、テレビコマーシャルも技術の進歩に適応して進化することになるのだろうか。

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