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5文型に代わる新文型!? SFPA #0 軌跡|英文法
【最終更新:2022/03/12/2200】
先日,自分の英文解釈を体系化した SFPA文型について,紹介編と称して記事を出しました.今回からは,数回にわたってより詳細に解説していこうと思います.まだ紹介編を読んでいない方は,是非そちらから読んでいただけると幸いです.
今回は SFPA文型誕生までの経緯について,基本5文型やその他の文型の考え方と比較しながらまとめていきます.
はじめに
▍注意
本当は他の文型についての詳細も紹介しながら比較したいところですが…長文になってしまうので気になった方は各自で調べてください.
私が文型に求めているものが皆さんと異なる可能性があります.
用語や解釈が正確ではない可能性があります.
文中の「助動詞」は must, shall, will, can, may のことを指しています.
特定の考え方・指導方法について批判をするつもりは一切ございません.世の中には様々な考えをもって文型について発信している方が沢山います.私もそのうちの一人ということです.過激な表現が見えたとしたら全て幻覚です.眼科に行ってらっしゃい.
▍目的
SFPA文型の新規性,位置づけ,開発思想などを明らかにすること.
SFPA文型 誕生の歴史
▍基本5文型
まずはみなさんご存知のやつです.様々な人が解説しています.5文型派の人が多いようです.かくいう私も最初は 5文型(正確には文型という考え方自体ですが)を重要視していて,生徒にも「まずは SVOC を知れ!」と言っていたほどです.今は当然, SFPA を布教中ですが.
詳細は他の人の記事を参考にしてください.私の代わりに 5文型派の人が熱く語ってくれるはずです.ここでは比較のために軽く情報整理をしておきます.
”S, V, O, C, M” とは
S(Subject):主語
V(Verb):述語動詞(動詞)
O(Object):目的語
C(Complement):補語
M(Modifier):修飾語
文型パターン
第 1 文型 【SV】
第 2 文型 【SVC】
第 3 文型 【SVO】
第 4 文型 【SVOO】
第 5 文型 【SVOC】
なんだか怪しい香りがしてきませんか?
動詞だけ品詞名だったり,目的語って名前だけど動作の目的や理由のことではなく,動作の対象だったり.そして何やら覚えろと言わんばかりに順番が決められていますね…
▍5文型の課題
5文型には限界を感じています.個人的にね?
例えば,
動詞(V)がよくわからん.
目的語(O)と思ってたのに裏切られる.
補語(C)と思ってたのに裏切られる.
修飾語(M)が軽視され過ぎている.
修飾語(M)と思っていたのに裏切られる.
こんな感じですかね.
もっとあるかもしれないです.いや,はじめは 5文型好きだったんですよ,とっても.でも勉強していくうちにどんどん嫌なところばっか気になるようになっちゃって…
こうして,私は 5文型と別れることにしました.
・・・
▍8文型
次に出会うのは 8文型です.(7文型派もいます)
ここでは新たに A 君が登場します.
A(Adjunct):付加詞
文型パターン
【SV】
【SVA】( New!! )
【SVC】
【SVCA】( New!! )(<- 7文型にはない)
【SVO】
【SVOA】( New!! )
【SVOO】
【SVOC】
A 君はこんなやつです.
▪ I (S) live (V) in Japan (A).
(私は住んでるよ,東京に)
この文,実は5文型では【SV】扱いで,in Japan は ”M” として「文型には関係のない修飾語」だって言うんですよ.ありえなくないですか?「I => in Japan」の【SVC】じゃないの?
A 君により,修飾語軽視されすぎ問題は解消されました.ただ,記号とパターンが増えた割に,解決できた課題は 1 つだけ…(そもそも【SVA】じゃなくて【SVC】で良くないですか…?)
しばらくして, 8文型ともお別れしました.
・・・
▍1文型
理想の文型を求め彷徨った挙句,私は素晴らしいことに気付きました.それは全パターンにおいて SV が共通しているということです.(遅い)
そして私は【S + V + その他】という文型を考え始めました.定義も自分好みに決めました.これが SFPA文型のベースです.
S(Subject):主語
基本5文型の S に相当.主語への限定詞や修飾語なども含んでよし.
V(Verb のようなもの):動詞(仮)
以下の条件を満たすもの.
・主語の後ろにある
・文の核を決める
・時制や人称によって変化することがある
・否定文で not が付く
・疑問文で主語の前に移動する
その他
V の対象となる語や文章の詳細(いつ・どこで・だれと・なんで)などが該当.なんか目的語とか言われていたやつが来ることがある.前置詞を使うことで文をどんどん長くできるぞ.
この文型のメリットは,なんといっても文型が 1 つだけであるということ.第何文型がなんだという呪縛から解放され,文型に裏切られることはありません.さぁ次の文を日本語訳してください.
▪ I go home.
「私は家に帰る」みたいな感じですかね.じゃあ文型は?基本5文型では【SV】です.「家”に”」とあるせいで【SVO】と間違えやすいことで有名(?)です.確かに自動詞・他動詞の区別(目的語を取るか否か,その行動が自分自身だけで行えるかどうか)自体は重要ですが… go は自動詞だから【SV】だと言えることに意味あるんですかねぇ.「私は行きます」だけだと(この文では)「どこに?」とか「おっ…おう…?」ってなりますよ.
文型を学ぶことと品詞を学ぶことを分けないと,パターンが増えて複雑になるか,強引でわかりにくくなると個人的には考えています.細かな品詞の理解は,文型を学んで大まかに語順と文の意味が掴めるようになってからでいいと思います.
この 1文型では品詞を重要視しません.よく「助動詞も”動詞”って入ってるから V なんじゃボケェ!」と生徒に言っていたのを思い出します.この考え方では be動詞や一般動詞の他に,助動詞,完了形の have,進行形や受動態の be,否定文や疑問文の do も全て V です.
例文を挙げます.
▪ He (S) can (V) swim.
(彼は出来るんだ,泳ぐことがね)
▪ I (S) haven't (V) finished my homework.
(私は持ってないよ,終わった状態を,宿題がね)
▪ You (S) are (V) studying English now.
(あなたは勉強中,英語を,今)
▪ She (S) doesn't (V) play tennis.
(彼女はしません,テニスを)
一方,基本5文型では V とされていた swim や play(動詞の原形),studying(動詞の現在分詞形),finished(動詞の過去分詞形).私はこいつらを V と認めません.私の解釈はこうです.
動詞っぽいけど動詞じゃない形が 3 つある.
原形は動詞の持つイメージそのもので,まだしてない状態を表す.
現在分詞形は動詞の能動的イメージで,今まさにしている状態を表す.
過去分詞形は動詞の受動的イメージで,もう終わっている状態を表す.
「出来る(can)」の直後に「泳ぐこと(swim:原形)」という内容が必要,「持っている(have)」の直後に「終わった状態(finished:過去分詞形)」という内容が必要という認識です.こう考えれば「助動詞 + 動詞の原形」や「have + 過去分詞」みたいな呪文がなくても,後ろにどんな言葉が欲しいか想像がつきませんか?
…おっと説明不足でした.
この 1文型では V の定義に「否定文で not が付く・疑問文で主語の前に移動」というものがあります.教え方を統一できるので便利です.ただ have は一般動詞として使われることもあり,その時は次のようになりますね.
▪ I (S) have (?) a pen.(肯定文)
▪ I (S) don't (V) have a pen.(否定文)
▪ Do (V) you (S) have a pen?(疑問文)
否定文と疑問文では,haven't になったり Have you にはなりませんね.急に do が現れています.なぜでしょう?
▪ I (S) do (V) have a pen.
これは今では強調の do とか言われるやつですが,いまはどうでもいいです.もしも「○○をする」といちいち一般動詞の do(~をする) を使って表現していたら,毎回ドゥドゥ言う羽目になります.動詞は山ほどありますから.そこで,「do は基本的に省略されている」と考えてください.そして普段省略されている do をあえて言うとなんか強調してる感が出るよってことです.主語の後ろに,動作の内容を表す単語おいてんだ.肯定文なら別に言わんでもわかるやろ?
なので I have a pen. の have は do が省略されている or 見た目を変えているだけと思えばよいのです.(そのため便宜上,V として扱います)
これで文型に裏切られる日々はなくなり HAPPY ‼ …のはずでしたが…新たな問題が発生しました.基本5文型がよりを戻しに来たのです.
▍1文型の課題
S, V だけでは満足できず O, C が恋しくなる.
初学者にとっては5文型が親しみやすい.
5文型を知っているから成立している.
同じ記号だと 5文型と混同する.
例えば次の文.わざとこの”1文型”通りに読むと
▪ The news (S) made (V) us happy.
(ニュースは作った,私たちに,幸せ)
▪ He (S) has (V) become captain of our team.
(彼は持ってる,なってる状態を,私たちのチームの主将)
この文を見ただけで us と happy の関係性が分かるのは脳内に【SVOO】がいるからです.has を V にしたとして,become を持つって?彼は結局何者!?…読めるがゆえに何の違和感もありませんでしたが,生徒に教えるとなると話は別でした…
とはいえ,5文型とまた付き合うわけにはいかない…私は旅に出ました.
・・・
▍新たな出会い
旅先で彼に出会いました.ご紹介します.一億人の英文法さんです!
彼,すごく人気なんですよ?一度お会いしてみてくださ…えっ?忙しくて会いに行けない?しょうがないなぁ…
サイトの下の方にこんな画像があると思います.
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私もDLしました,みんなもしましょう!
この本では自分がふわふわと感じていたものが言語化,イメージ化されていて,とても感動しました.お話したいことは山ほどありますが,ここでは文型に関わる部分だけ.
この本で紹介されている基本文型(英語の設計図)はざっくり 4つです.
【自動型】:主語+動詞
【他動型】:主語+動詞+目的語
【説明型】:主語+動詞+説明語句
【授与型】:主語+動詞+目的語+目的語
そして大きな特徴が 2つ.
S, V, O, C などの記号は使わない.
C は存在せず,「後ろから説明」という考えを用いている.
小さいことかもですが,この効果は絶大です.
例えば,
▪ Gary was on duty [or fishing] [or to regret his foolish behavior].
(ギャリーは勤務中だった[魚釣りをしていた][愚かな行動を後悔することになるのだった])
基本5文型では,on duty [to regret ~]は無視(M)され【SV】扱いです.「Gary was.」…いや,非文でしょ.修飾語なめんなよ.
また fishing は was と合わせて V 扱いで【SV】扱いです.言いたいことはわかりますが,fishing(現在分詞)は状態を表す語句だと考えて be動詞があるから【SVC】とみても問題ないはずです.
これらは全て Gary(主語)の説明をしているだけのはず.だから説明語句.全部,後ろから説明しているだけ.be動詞の文は全て説明型.うん,実に素晴らしい.
他にも,他動型の亜種「目的語説明型」として【SVOC】や【SVOA】に相当する文が紹介されています.これだよこれ!!
これは生徒にも伝えなければ!!と授業していましたが,実際には,テキストで基本5文型を扱うと混乱発生です.記号がないだけで言葉は一緒.なんでこれは V なのか?しかも C がないのはどうして?となってややこしくなってしまいました.おのれ基本5文型ェ…またも邪魔しやがって…
そして決意しました.
自作してやるっ!!
▍SFPA文型の誕生
そして今に至ります.
S, F, P, A の定義は以下です.
S(Subject):主語
述語の示す動作や状態などの主体となるもの.F(Frame):構造
単体で述部の核や内容となりえないもの.助動詞,have,be,do など.P(Predicate):述語
述部の核や内容となる動作や状態を表すもの.A(Argument):項
述語とって必要不可欠な(主語以外の)要素.単語だけでなく文章なども含まれる.
▍コンセプト
紹介編のときよりも細かく説明していきますよ!
1.既存の記号 S, V, O, C と別概念のものは同じ記号を使わないこと.
A は 8文型の時に登場しましたが,「主語・述語の後ろに付加される語句」という意味では別に Adjunct でもいいんだよ.記号があるとそれっぽくなるし,説明の時に楽だから決めただけ.
2.できるだけ多くの文に適用可能なこと.
SVOC でよくね?となっては意味がありません.進行形,受動態,完了形,助動詞,前置詞句,副詞,句動詞などなど…これらが含まれた複雑な文章が出てきて,第何文型か?なんて争いも意味がありません.文型は英文読解の手助けとなるべきで,学習者の負担となってはいけません.
3.複雑にしないこと.
記号やパターンを可能な限り減らすことを心掛けました.基本5文型を超える複雑さは受け入れられにくくなるだけですからね.SFPA文型では一応【S(F)P】【S(F)PA】【S(F)PAA】の3パターンを想定していますが,要はAの数が異なるだけ.Aが何個か数えているだけです.パターン分けというほどではないですね.「分かりやすさ」と「自由さ」がウリです.
4.文法理解をサポートできること.
例えば「なんたらかんたら形はなんたらかんたらで,否定文の場合はここに not,疑問文の場合はこれを前に出します」なんて呪文を聞かされる時間ありますよね.
SFPA文型では全ての時制表現,受動態の語順に関わる説明が次の説明だけで完了します.
F は do シリーズと助動詞シリーズがあります.助動詞シリーズには「助動詞 -> have -> be」という序列があり,それぞれ1つずつ,最大3つまで組み合わせることができます.
「人称・時制により変化することがある」「疑問文で文頭に出る」「not が付く」のは F の中の1番目の語句だけとなります.F がない場合 P が人称・時制の影響を受けます.
(一部例外あり.今後別記事で出します)
▍課題解決!!
最後は,5文型の課題ごとに見ていきます.
例文とかは紹介編か今後の記事を見てね!
動詞(V)がよくわからん.
動詞という概念を捨てました.文章の述部を「方向性・枠(F:構造)」と「中身・内容(P:述語)」の 2つに分けることで英文を理解します.1文につき動詞が 1つとか言ってたくせに will have been studying が動詞⁉不定詞って何⁉動詞いっぱい⁉どうしよう…なんてこともなくなります.
目的語(O)と思ってたのに裏切られる.
補語(C)と思ってたのに裏切られる.
修飾語(M)が軽視され過ぎている.
文章の核となる述語.でもそれだけじゃ意味が伝わらないから要素をつけ足す.そこに O だとか C だとか M だとかなんて区別はいらない.並んでる要素の意味が分かれば述語との関係なんて想像できます.というかしてください.言語学習で重要なのは暗記力じゃなくて想像力よ.「自動詞か他動詞かで動詞の意味が異なります」は嘘です.異なるのは動詞の後に続く要素(A:項)の意味です.前置詞付いたらそりゃ意味変わるでしょ.
修飾語(M)と思っていたのに裏切られる.
句動詞(群動詞)というやつです.基本5文型は前置詞を疎かにしがちです.なのに急に前置詞を V に含めます.
▪ He (S) laughed at (V) me (O).
(彼は笑った,私を)
▪ I (S) was laughed at (V) by him.
(私は笑われた,彼に)
laugh はその人が行為するだけの動詞(自動詞)のため,本来目的語(O)は必要ないのですが,自動詞+前置詞で他動詞として扱って受動態に書き換える場合があります.
これも SFPA文型なら何も問題はありません.
▪ He (S) laughed (P) at me.
[ or He (S) laughed at (P) me. ]
▪ I (S) was (F) laughed (P) at by him.
[ or I (S) was (F) laughed at (P) by him. ]
述語(P)はあなたの思う文の核となる部分でいいのです.そんな大差はないはずですから.at までが 1語に感じるかの違いです.因みに上の例ではあえて書きませんでしたが,at me や by him を項(A)とするかも別に自由です.述語の内容を成立させるために必要だと思えば,それが A だ.
▍VSOP?SVOP?
SFPA文型を制作した後も,色々調べていく中で VSOP英文法なるものを見つけました.このVSOP英文法に関する本を買ったりセミナーに行ったりはするつもりはありませんが,youtube で少し紹介している分は見てみました.結論からいうと,最終的な分け方は若干似ている部分もあるなぁという印象です.気になった方はそちらもどうぞ.私はもう SFPA文型で非常に満足していますし,バグがあれば修正していくまでです.
まとめ
SFPA文型は5文型や文法学習に対して個人的に感じている不満を解消すべく開発されたよ.
開発に至るまでに「8文型」「1文型(オリジナル)」「4文型(一億人の英文法)」を参考にしたよ.
SFPA文型開発に対する思いは,次の 4つ.
既存の記号 S, V, O, C と別概念のものは同じ記号を使わないこと.
できるだけ多くの文に違和感なく適用可能なこと.
複雑にしないこと.
文法理解をサポートできること.
伝えきれていない部分は今後説明していくよ.
おまけ
本編には関係のない小話です.
私は元々英語は苦手で,高校時代は平均点か下回っているくらいの成績.そんな当時の英語への印象は「暗記科目,しかも将来的に翻訳が可能になるから覚える意味なし」でした.そしてこの考えは塾講師として生徒に教える立場になってもそこまで変化はありませんでした.
英語に自信のない私は ”高校生に英語なんて教えられん!カテイホウ?なにそれ(現実逃避)" 状態だったので,中学生相手にテキスト通りに教えることで精一杯でした.
ある時 youtube の海でサーフィンをしていて,人工言語に出会いまして,自分もなんか考えてみたいなぁと思ってしまって,筆を執り,私は重大なことに気が付きました.
「日本語以外,知らないじゃん」
流石に 1 から言語を作るにはインプットが足りなすぎました…そこで手始めに英語から勉強し始めることにしました.テストの点数にこだわることを捨て,ひたすらこれまで疑問に思っていたことについて調べまくる日々.気づいたら人工言語そっちのけで生徒に熱く英語を語るマンになっていました.
英語が得意なわけではありませんが,当時の自分からしたら想像もできないほど,今は英語に熱中しています.
まぁだからその,モチベーションが一番重要だよってことです.勉強嫌いなみんなも視点を変えて頑張ろう!(テストがあるうちは難しいかもしれないけど)