オスマン語 母音の役割をする文字
1⃣、日本語はすごい言葉です。かな文字の文字名と 読み方が全く同じなのです。これはすごい!ことですよね!
オスマン文字のばあいは、一文字が違った読み方をすることがあります。
とくに
オスマン語の文字の中にでokutucu文字というのがありまして、
これらは母音の役割を果たします。4つです。
ところが
トルコ語の母音は8あります。
(現代トルコ語は母音を一対一対応してあるので、文字通り読めば間違って発音することは少ないと思います)
オスマン語では母音に相当する文字は4つなので、一文字で2つ以上の母音の役割をしています。
そう考えるとやっぱ日本語の仮名文字ってすごい!でしょう?
なんたって文字の読み方と発音が同じで、一通りしか読み方がない!のですから、読み間違えることがありません。
オスマン語のばあい
クイズみたいにどちらの母音かをあてっこするので面白いですが、初めは間違うことも多いです。
1、Okutucu harfler
それでは母音の役割をしてくれる4文字を見てみましょう。
文字
ی ه
و ا
読み方 ı i
e a
o ö ü u e a
文字名 イェー ヘー ヴァーヴ エリフ
これらの文字は母音の役割を果たすと同時に、本来の読み方でも使われます。
2 elif
ا の文字は
ا آ أ ء
の形で現れます。a と e の音を表します。
آ あ
を表します。
トルコ語由来の言葉であを書きたいときは、medが付いているelifを使います。(medとはチルダ記号に似た形の記号)
آت 馬 at
آو 狩り av
آی 月 ay
でもここでちょこっと迷うことがあります。
母音を伸ばすのにも、このmedの記号を使う時があります。アラビア語やペルシャ語由来の単語のばあい伸ばして読みます。
そのため単語がどの国の言葉に由来しているかを見極めることがとても大事になってきます。
ちなみにオスマン語はアラビア語由来の言葉が40%、ペルシャ語由来の言葉が20%ととも言われています。
さらにアラビア語とペルシャ語由来の言葉は、読み方を変えることなく、そのまま取り入れました。ですので、トルコ語の読み方の規則には合わないばあいがでてきます。(アラビア語で med の 記号は伸ばすことを意味します。)
お話がそれてしまいましたね。今はただ、外来語はそれらの言語特有の読み方をするんだなあと頭のどこかにおいていただけるだけでありがたいです。
それではエリフの読み方にもどりましょう。
اまたはأ え
と読みます。
ال 手 el
او 家 ev
ار 男 er
母音の役割をするelifは
بابا 父 baba (ب+ا)
پاشا パシャ paşa( پ+ ا+ ش+ا)
です。
2⃣、エリフの音は 前の文字につけてa か e の音を出すと申し上げました。
例えば
日本語のア段を見てみましょう。
آ a あ
کا ka か
سا sa さ
تا ta た
نا na な
ها ha は
ما ma ま
یا ya や
را ra ら
وا va わ
日本語のに山、川、浜、 柔(やわら)、棚、傘、をおすまんごでかいてみると
یاما 山
کاوا 川
هاما浜
یاوارا やわら
تانا 棚
کاسا 傘
いかがですか?
何となくエリフの位置がわかっていただけたでしょうか?
エリフは後に来る文字とくっつかないので、見やすいと思います。
ちょうど日本語の文字(あ、か、さ、た、な・・・)が2文字で書かれているパターンになりますね。
オスマン語は右から左に読みます。
トルコ語にはWがないので、わは唇を軽くかむ vの子音で表します。
not:
オスマン語(現代トルコ語も同じ)の文字を読むときに日本語にはない母音は3つです。
それは
ö オとエの真ん中 少し丸めたオの口の形でエと言います。
ü 丸めた口での形でイと言いいます。 ウとイのまんなか
ı イの口の形でウと言いいます イとウのまんなか
日本語のアイウエオとほぼ同じ音aiueoと上の三つの文字を合わせて全部で8文字が、トルコ語の母音です。
ه3⃣もエリフと同じで後に来る文字とくっつきません。
エと発音します
はじめにかな文字のエ段を見てみましょう。
أ e エ
که ke ケ
سه se セ
ته te テ
نه ne ネ
ههhe ヘ
مه me メ
یه ye イェ
ره re レ
وه ve ヴェ
日本語をオスマン語で書いてみると
هاته 果て hate
کاته 糧 kate
کامه 亀 kame
کن 剣 ken
تن 天 ten
トルコ語の単語で見てみるとこんな感じです。
ده ده dede 祖父 デデ
به به bebe 赤ん坊 ベベ
ده وه deve らくだ デヴェ
نانه nane ミント ナーネ
次の3つの単語はどうでしょう?
ببهک bebek 赤ん坊 ベベキ
شکر şeker 砂糖 シェケル
سرچه serçe 雀 セルチェ
いかがですか?
あれ?何か抜けてない?
へんだと気が付いた方はすばらしいです!
そうなんです。への音が所々で抜けてます、でもこれは間違いではありません。
ヘーの文字を母音代わりに使う時のルールが2つあります。
1つめは初めの音節にヘーの文字がついたら省略できる
2つめは閉じられた音節では省略できる
皆様におなじみの砂糖はトルコ語ではシェケルと言いますが、これを例に見てみましょう。
şeker شکر
文字通りかくと
şe ke r شه که ر
となります。
現代トルコ語ではすべての母音を書かないといけませんが、オスマン語では最初の音節シェの文字の
هは書かないでいいんです。
それからもう一つ閉じられた音節と言う耳慣れない言葉に出くわしましたね。
これは子音で終わる音節のことです。
トルコ語kerは日本語のようにケルと2音節に
なりません。
rをkeにくっつけて一気に1音節で発音します。
個々が日本語になじんだ私たちには一番難しい発音になります。
どうしても最期を母音を入れたくなっちゃうんです。
そこで子音の文字は太文字で表してみましたのでご覧くださいませ。
太文字のある前のhe
هの文字は書きません。
これが閉じられた音節では
هを書かないという意味になります。
と言うことでかなりの文字が読めるようになってきましたね!
4⃣トルコ語の母音は全部で8あります。このVAVは最強でこのうちの半分をこのVAV文字で請け負っています。(ウとオの段)
o ö ü u の音です。
ok 矢 او+ق اوق
ördek あひる او+ر+دک اوردک
kuzu 子羊 قو+زو قوزو
ütü アイロン او+تو اوتو
او はo ö üと読めます。
قو ku
زو zu
تو tü
kの音ک ق の二通りの文字で書くことがあります。
これの使い方の違いはトルコ語特有の規則をみれば謎が解けます。
母音調和 と言う規則ですトルコ語の母音は音を出す場所で2つに分けます。
口の前の方と奥の方とで音を出す場所が違います。
前舌母音: e i ö ü
後舌母音: a ı o u
と言ってもなかなかぴんときませんよね。
前の方で出す音のばあいは、何となくぼそぼそっていう感じで話すときに似ています。
そしてうしろの方で出す音のばあいはauo は日本語のあうおとおんなじ感じで大丈夫です。
ı は気を付けて出し見ましょう。これは口の形をイのかたちにして、uの音を出そうとすると出ます。
と言うことでなぜこの母音調和を押さえておかないとだめなのかと言うと、生粋のトルコ語は前舌母音と後舌母音は一緒に一つの単語を作りません。
なので単語の最初の母音がaだったら次にこれる母音は a ı o u のみです。
とはいっても
外来語には適応できませんし、トルコ語の単語にももちろん例外はあります。
母音調和を理解したあとで、ようやくなぜkの音が2文字あるのかを説明することができるようになりました。
ک は e i ö ü と共に使います。
ق は a ı o uと共に使います。
わあ今日はかなりトルコチックな文法のお話が出てきました、
この母音調和は初めはすごく厄介に思えますが、慣れるとすごく便利です。
現代のトルコ語の文法がそのままオスマン語にも適用されているので、
いっぺんにオスマン語と現代トルコ語を覚えられるからラッキーですね!
(っていうかオスマン語はトルコ語ですものね。ただオスマン語はペルシャ語とアラビア語からの外来語がなんたっておおい!半端じゃない。)
5⃣今回で母音の役をする文字の説明が終わります。
ı i I İの母音を表すیを紹介します。
日本の音ではイです。
でもトルコ語にはもう一つイとウの真ん中の音を表すIという母音がありましたね。
これはイの口でウと言ってみると出ます。
一度やってみてくださいね。
では本題に入りましょう。
ایپ ip 糸
ایکی iki 数の2
بیلمك bilmek 知る
ایلیق ılık ぬるい
ایراق Irak イラク
قیش kış 冬
茶色い色がイェーです。
あれあれ ی
と形が違いますね。 オスマン語はアラビア文字を基本として書かれています。
アラビア文字は文字の位置で形が2つや3つに変化するものがあります。だいたいは原形にていて想像がつく感じなのですが、ی の音は少し無理ですね。
でもはじめと中間に来るときはおんなじ感じなのでぜひ覚えてみてください。
下に点が二つ付いたらこの文字です!
単語を音節で分けると以下のようになります
ای + پ
p + i
ای + کی
ki + i
بیل + مك
mek + bil
ای + لیق
lık + ı
ای + راق
rak + ı
قیش
kış
これでトルコ語由来の単語の母音はほぼ発音できるようになりました。
いよいよ次回からいろんな単語を読んでみましょう!
たくさん例外が出てきますが、それはアタビア語由来とペルシャ語由来の単語はそのまま表記されるからです。
何をいっているかよくわからないですよね。例えば
スルタン スレイマン ハン
Sultan Süleyman Han
をオスマン語で書くと
سلطان سليمان خان
سلطان
س
セー
の後に
و
ワウ
を入れて
ط ← ت
にして
سولتان
と書くのではと思いきや
アラビア語の綴り通り
と綴るのです。おもしろいですねえ
どうしてこうなるかと言うとそれには2つのことが
考えられます。
アラビア語は本来は母音に相当する文字を書きません。
なので自分でア、イ、ウの3つの母音のどれかを子音を見て判断するのです。
そのためセーの後に何も母音を表す文字がないです。
そして
ط ではなく ت なのでしょうか。
トルコ語の母音調和を思い出してみてくださいね。
セーの時はتテーが来ます。
でもこれはアラビア語由来なのでطになっているんですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?