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ただのサービス

こんばんは。
おはようございます。
こんにちは。

さて、今日の出来事だ。

ご夫婦と小さいお子さんのご来店があった。僕はその場に居合わせておらず退店された直後に店内に入った。

するとスタッフから報告が。
お子さんが商品を乱暴に扱いその行動に対してもご夫婦が制止に入ることが無かったので「商品なので扱いにはご注意ください」とお伝えしたとのこと。

このような事案に対して何も言わずに我慢するお店もあるだろうが、あまりにその行為が繰り返される場合には弊社では注意を促す。
それにより「すみませんでした」とお子さんをコントロールしてくださる方がほとんどだが、極たまに怪訝な表情で退店される方もいる。

しかし今日伝えたいのは別の話。そのご家族の話に戻そう。
退店された後に奥様がカメラを首から下げて店舗の看板を撮影し始めた。その後も車道を越えて外観も撮影している。
正直カメラが趣味で常にカメラを首から下げている若者なら撮られても、趣味で撮っているのかな?と思うし、スマホのカメラで撮っていてもInstagramなどに投稿するのかな?としか思わない。

しかしその方は一旦車に戻りカメラを取り出して来て撮影するという様子に違和感を覚え不自然に感じた。いつもならスルーするのだが今日は店を出て声を掛けた。やり取りは要約するとこんな感じ。

僕「すみません。なんの撮影ですか?」

女性「お店のディスプレイの提案で使いたくて。」

僕「ディスプレイ?内装や外観のデザインではなくてですか?」

女性「あ、そうです。お店のデザインの依頼があって岐阜県のお店を撮影しているんです。」

僕「(よく分かんないけど...)うちのスタッフにお声掛けいただきましたか?」

女性「いえ、してないです。すみません。使うか分からないので使う際にはご連絡します。」

僕「.....(それ以前にまずあなたは誰ですか?)」

女性「お店のロゴも消しますんで。」

僕「.....(やっぱり使う気だよね?)」

そんなとっ散らかったやり取りを繰り返し、、、

僕「お店のデザインや内装もお金を掛けてやっているので、それをお仕事に活用されるのならまず撮影する前に声を掛けて頂きたかったです。」

女性「あ、じゃあ今から消しますんで。(カメラの液晶部分をこちらに見せて写真を消すような仕草)」

僕「いえ。別に消さなくても大丈夫ですよ。もし何かでご使用される際はご連絡ください。(誰だか知らないけど...)」

こんな感じで不毛なやり取りを終えた。
いろいろと言いたいことはあるがまずは、うちは行政でも公共施設でもない。不特定多数の方が訪れる店舗ではあるが、公共物ではなく一法人の私有物だ。あなたの自宅を知らない人が断りもなくパシャパシャとカメラを向けて撮影されたら何も思わないだろうか。

そして、デザインを生業としている者が他人のデザインに対して何の断りもなく搾取することに違和感を覚えないのか。今の時代軽くググればある程度の情報や画像は簡単に検索可能だ。僕が疑問に思うのは撮影した女性が僕らにどう思われるかなどは全く意に介さず撮影したことだ。悪びれることなく、ある意味での太々しさというか無神経さにたじろいた。

そして画像データを消すんだからもう良いでしょ?みたいな開き直りにも驚いた。TVでよく見るスーパーの万引きGメンを思い出した。返すんだからもう良いでしょ?的な。えっ、それで良いのか?


僕はいつも外食する際に気をつけていることがある。
それは 招かれざる客 にならないことだ。大声で騒いで他のお客さんの迷惑になるような飲み方は嫌いだし、そのお店を2時間ほど席を占有させてもらうならそれなりに食べて飲んでお金を使おうと思っている。
しかし僕らのようなセレクトショップはそうはいかない。好みのアイテムが無かったり、あってもサイズやカラーが無かったり買わない理由は山程ある。だからご購入いただくことへの感謝は尽きないが、ご購入されないことに対して特別ネガティブに捉えることもない。大切に思っていることはお店側の僕らとお客様側のあなたとの間に相互にリスペクトし合える関係性があるかどうかだ。

公共施設は税金で成り立っているし、お店は個人や会社の資金で成り立っている。
家賃を支払い物件を借り、内装費を掛けてお店を作り、商品を現金で買取り仕入れて、スタッフを雇用して日々営業している。好きじゃないとなかなか出来ない。
弊社は柳ヶ瀬商店街という岐阜市に古くからある商店街にも小さなお店を構えている。この商店街の客層は主婦やご高齢の女性が多くを占める。以前は何度か店頭にも立ったがその際には「ちょっと覗かせてもらってもいい?」や「買えないと思うけど見させてもらっていいかな?」などと声をかけてもらったことがある。僕はその言葉にいたく感動した。すごく新鮮にも感じたが、きっと昔はこういったお店側とお客様側とが相互に尊重し合える関係性が当たり前にあったのかなと思った。

スマホ一台あればアプリをダウンロードしてSNSを無料で楽しめる。無料ではないがサブスクなどは安価で多くのサービスを受け取ることが出来る。
無料だったり安価なサービスが当たり前のように世に出回ることで、本来持ち合わせるべき他人への配慮や想像力に欠けた行動が生まれやすくなったのかなと思う。

今日のようなやり取りを経験するたびに、僕らのことをいつも大切に思い支えてくださるお客様に対して更に感謝と愛情が沸き起こるのだ。そしてこんなにも長い文章を読んでくださったあなたにも感謝しています。ありがとうございます。