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外国人から教わったことVol.13:How to win?
こんにちは、DeepJapanの木立(きだち)です。
日本を元気にするために、インバウンドや観光DXの支援をしています。
日本でマーケティングエージェンシーをしているインド人社長のRさんから教わったこと。
日本の商習慣と海外の商習慣(ここでは欧米を相手にしている人達)の違いについて書いてみます。
1.どうやって勝つの?
その会社とは小さい取引をいくつかしていて良好な関係でした。次の年にクライアントから同じプロジェクトの続きで、かなり予算規模も増えたコンペのお知らせが来て、協力してもらえないと戦えないコンペなので商談に行きました。
ちなみにこういう時に、発注側に下請け側を呼びつけるというのがコロナ前にありましたが、私は『お願いしたい側が足を運ぶ』か、定期的な打ち合わせは交互に開催するというスタイルを取っています。もちろんクライアントの自治体には足を運びます。
私が外出好きだったり、制作会社のオフィスに行ってわかることや、そこのスタッフとコミュニケーションできるのも楽しいですしね。ともかく自ら動くスタイルをとってます。
まあそんなこんなで訪問して状況の説明をしました。どうも予算が3倍になってコンペになるらしい。そして大手広告代理店との一騎打ちになる。と状況を説明したところIさんから出てきた言葉が
How to win? Why can you win? (どうやって勝つん?何で勝てるって思うん?)
だった。えっ!!これまで取引してきて恩義のある代理店の担当者がわざわざ足を運んでるんだからお付き合いってものがあるでしょ!しかも予算増えてるし、ここは二つ返事の場面でしょ!下請けポジションとしての教育ができてないなぁ
とは思っては、外国人の仕事ができません。
代理店ポジションだろうが下請けポジションだろうが、ディールをするためには冷静に勝利へのプランの説明が求められます。それが彼等の商習慣。
日本だから外国だから、というステレオタイプではないですが傾向として、日本の方がお付き合いで判断をする事が多く、欧米は企業間はあくまで対等でディールするか、ディールしないは個別判断の方が多いなと思ってます。程度は違うでしょうが、判断基準が明確に違います。
2.熱量を持って説得する。
これは多くの日本人ビジネスマンがこの力がつくと全然仕事の質が変わってくると思うこと。立場のある側が熱意を持って説得することによって責任が生じてしまうことを避けちゃうんですかね。実際そうかどうか知らんけど、外国人から見るとそう見えるそうです。相手(特に力が弱い側)にやりたいと言わせる説得技術を実は駆使をしていたり、そもそも仕事が面白くなくて熱が入らないだけなのかもしれないけど、『やりたい事をやりたいと言う』文化圏の人が見ると不思議ですよね。
熱量持って説得しないのって
私は事前にI社長の部下の帰国子女日本人からこの辺りの説得が必要であること、お前達と仕事がしたい。プロジェクトにはあなた達が必要だ。一緒にビジネスを拡大したいと口説かないと、心は動かないと、聞いていました。
それなのでこの商談においては
『このコンペは番外戦術で、大手が有利になるように案件規模がデカくなり仕込まれている。また競い合わずに和合するオファーももらった。状況を見ると勝ち目はないのか?いや、競合が番外戦術をとってくるということは、本番でガチンコでぶつかったら負ける可能性があるから、ぶつからないようにしている。なのでこの不利に見える状況を彼等が意図的につくっていることが、私たちが勝てる理由だ。どうやって勝つかは、この仕様書要求事項1、2、3、4に対して、2、3、4はそろえてきたので、一番バジェットの大きい御社がやる気になれば勝てる。そうでなければ勝ち目がないので私は大手の軍門にくだる。そうなると御社のバジェットは0だ』と
こうして文字にすると日本人同士だと傲慢なヤツに見えてしまいますが、実際これ私は英語で説得してますからね。日本人が3人集まっても商売で叶わないのが中国人で、その中国人が3人集まっても敵わないのがインド人と言われてるくらいなので、交渉のテーブルは真剣勝負ですよ。
3.結果どうなったかと言うと
無事協力も取り付け、コンペでは勝利をおさめました。
確実に仕事を発注できる場合は大きくでていいと思いますが、私の場合勝てるか勝てないかわからないコンペにおいて、戦にパートナー企業を出陣させるわけですから、指揮官の熱量と戦略や戦のプランがないと傭兵部隊の隊長は乗ってこないでしょという気持ちで話をしています。
実力者は、実力者であるが故に、引く手数多なのです。逆にアゴで使ってホイホイついてくるところは、あまり仕事がないのか、マジでガッツがあるのか、恩義に厚いのかどれかです。なので実力者をチームに入ってもらえるか?そこから勝負は始まっています。
本音を言えば合理性と人情両方持ってるのがいいのですが、乾坤一擲の戦いにおいて勝ちにいくなら合理性が強い人と組みたいです。人情優先の方は尚更、負け戦には巻き込みたくないのです。長く仕事するなら人情ももちろん大事です。
フランクリンコヴィーさんの七つの習慣の中に、Win-Win or No Dealの原則がありますが、これマジでやろうとすると日本のBtoBの商習慣ではやりにくいんです。一度お付き合いが発生すると、長い目で見たお付き合いになるので、断ると次の仕事が止まるんじゃないか、という恐怖もあってWin-Loseの関係になってもNo Dealよりマシって判断になることの方が多いです。私の周りだけかも知らないですけど
そこでいくとIさんの仕事は、Win-Win or No Dealを実践してます。DeepJapanも基本この原則を踏襲しているのですが、それはコンペ主体の営業をしているので一見非効率で(実態も非効率なのですが)泥試合になりそうな仕事は応札しなければ回避できるので、そこは救われております。
会社は企業ではなく、家業。下請けと元請けはビジネスではなく家族。という考え方で、家長が甲斐性があればとても素晴らしいシステムなのですが、そうでなかった場合にDVのようになっちゃうところが、この『家』システムの欠点ですよね。
外国人と仕事をしていると、日本企業がどういう思想・哲学で運営されているのか思い知らされます。何か枠組みが変わってきてる今だからこそ、どっちが良いではなく、外国人からいいやり方は学んで取り入れていきたいものです。
外国人の学びを糧に、日本を元気に!
そんじゃーね