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[35] 高容量急速充電リチウムイオン電池を実現する、βシリコンカーバイドの秘めた“力” 2024年09月13日 ITメディア

  1. 会員専用記事なので概略だけ。

  2. 北陸先端科学技術大学院大学の発見:β-シリコンカーバイド(SiC)(閃亜鉛鉱構造)がリチウムイオン電池の負極活物質として使えた。

  3. ところで、半導体デバイスに使われているα型(ウルツ鉱構造)は負極活物質になりません。

  4. 理論容量がシリコンの半分以下となる1,430 mAh/g。

  5. まあ、黒鉛(372 mAh/g)よりは高い。

  6. メリットは充放電による体積変化がほとんどないこと。

  7. ほー、そりゃいいな。

  8. そのため、175サイクルまで80%の容量維持率。

  9. そのわりにサイクル特性は悪い・・・。

  10. 市販のβシリコンカーバイドは表面が酸化物で覆われているため性能が出ないが、酸化物をフッ化水素(HF)処理で取り除いた後、ポリドーパミンコーティング・焼成することで使えるようになった。

  11. ここがちょっと面白いところだ。Siの表面も自然酸化膜で覆われているが、リチオ化された後(この分は不可逆容量となるが)、内部のSiは難なく充放電する。

  12. ま、SiCって電池の材料として使うにはコスト高いけどね。

  13. 高容量負極は「永遠のテーマ(笑)」になりそうな気がするんだよね・・・。

  14. それを思うと、その場形成(金属Li)負極ってのは魅力的なんだけどね。サイクル特性がまだイマイチだが・・・。これも2005年頃からずっとやってらっしゃるんだが・・・。

  15. Siもその場形成負極も全固体電池になって初めて生きてくる選択肢だが、β-SiCは体積変化がほぼ無いってのは電解液でも使える(もちろん全固体電池でも非常に有利になる)ことを意味する。その観点からは期待できるんだが。


リチウムイオン2次電池に高容量化と耐久性を容易にもたらす新型負極活物質(β-シリコンカーバイド系複合材料)の開発 令和4年2月18日

  1. ①シランカップリング剤でSiナノ粒子つくって、②ポリドーパミンコーティングおよびメラミンコーティングした後焼成してβ-SiCを合成してたわ・・・。①は時々アカデミーで見るな。企業はやらんと思う。②は炭素コーティング用にやってるのは見るな。

  2. 俺も2015年に(この時はカザフスタンにいたが)ナノシリコン粒子(ある種のPLDでつくった微粉だ。中国から購入した。同僚がシランカップリング剤を使った合成方法を検討していたがまだできていなかった。)をPAN、polyacrylonitrile、中に分散させて焼いてみたが(これもNが入った炭素と言える。)、100サイクル前後もつものの、sudden deathする -- 体積変化に耐えきれなくなったところから電子伝導性ネットワークから孤立していき、「ほぼバラバラ」になると容量は出なくなるが、この手の材料によくみられる現象だ、20世紀末から。

  3. もっとも、俺の場合は、カーボンファイバーペーパーにスラリを練りこんで電極ごと焼成してつくっている。量から言って、Siは「保護膜」なのである。まあ、当時は「その場形成(金属Li)負極」の話なんか外国人にしてはならんと思っていたのでそうは言わんが(笑)。

  4. 案の定、カザフスタンはもちろん、しつこく情報収集を試みていた韓国にもわからなかったようだ(笑)。韓国はカーボンファイバーペーパーをsol-gel SiO2でコーティングして「お前より先にAngewandteに論文を出してやりました!だから、お前のはrejectします!」と得意げだった(笑)。

  5. ところで、カーボンファイバーペーパーもPANからつくっているが、高温で焼成してグラファイト化させて純sp2炭素化されている。しかし、窒素の抜けた孔のせいか、配向がカーボンナノチューブと違ってedgeが表面にも出ているせいか、Li+がインターカレーションしてしまうようだ -- 単なる三次元集電層とはならない。充電したところでサンプルを分解して見ると、わずかに変色しており、充放電サイクルを繰り返したものもサンプル作製直後より機械的に脆くなっていた。

  6. ちなみに、実験の終わった俺のサンプルを勝手に捨てる女がカザフスタン人の中にいたので(今、こいつがassistant professorになっているが(笑)。)、この時は勝手に捨てられないようちょくちょく確認しに行っていた。

  7. Angewandteに論文をリジェクトされた後、カザフスタン人のボスが、カザフスタン国内のジャーナルならアクセプトされるから、前述の女がやった仕事ってことにして論文にさせてくれと言ってきた。まあ、大事なことは一切教えないが、サンプルをどうやって作ったかくらいは教えてやった(論文原稿に書いてはあるが、それだけではわからんらしい(笑))。後は、好きにしていいよってことだ(笑)。

  8. そんな環境下でのサバイバルだったが、まあ、俺は結構楽しんだ、カザフスタンでの生活。

  9. ダイヤモンド型構造を有するシリコンにおいては、リチウム脱挿入に伴う大幅な体積膨張・収縮は避けがたいものであるが、閃亜鉛鉱型構造の無機化合物においては、リチウム脱挿入時における体積膨張が大幅に抑制されることが知られている。その挙動にヒントを得つつ、閃亜鉛鉱型構造を有するβ-シリコンカーバイドと窒素ドープカーボン*2との複合材料を合成し、新規リチウムイオン2次電池用負極活物質として検証した。

  10. 合成法としては、(3-アミノプロポキシ)トリエトキシシランに水溶液中でアスコルビン酸ナトリウムを加え、シリコンナノ粒子分散水溶液を作製した。その後pH8.5においてドーパミンを、引き続いてメラミンを加えてから遠心分離、乾燥し、600oCもしくは1050oCの二通りの条件で焼成した(図1)。

  11. 得られた材料について、HRTEM、HAADF-STEM、XPS、XRD、Raman分光法等により構造を確認した(図2)。HRTEMからは、炭素系マトリックスにβ-シリコンカーバイドの結晶が埋め込まれている様子が観測された。HAADF-STEM HRTEMからは、β-シリコンカーバイドの(111)面に相当する0.25 nmの面間距離が観測され、マトリックス内に指紋状に分布する様子が観測された(図2(c))。

  12. 次に、合成した活物質を用いて負極を構築し、アノード型ハーフセル*3(Li/電解液/β-SiC)を作製し各種電気化学的評価を行った。サイクリックボルタモグラム*4においては、シャープなリチウムインターカレーションのピークに加えて、シリコン負極の場合と形状は異なるものの0.58 Vのブロードなリチウム脱インターカレーションのピークを共に示した。

  13. また、充放電挙動においては、1050oCの焼成処理により合成した活物質(MAD1050)を用いた系では1195 mAhg-1の放電容量を300サイクルまで示した(図3(b))。本負極活物質を用いることにより、汎用のバインダー材料を用いた系であっても高放電容量と長期サイクル耐久性を同時に発現させることが容易に可能であると示された。

  14. 本成果は、Journal of Materials Chemistry A(英国王立化学会)のオンライン版に2月16日(英国時間)に掲載された。

  15. まあ、体積エネルギー密度は低く(一応、この対策として造粒もされた形にはなっているが。)、このままでは採用されないと思うが、その場形成(金属Li)負極の保護膜として活路を見出せるかもしれない。

  16. 俺は、前から言っているようにSn合金などの薄膜のほうが保護膜としては適していると思っているが。



by T. H.


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[4] Life

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