Fermi Level 2
Previously, Fermi Level | LinkedIn
Before going to the talk about the transient response under the reversely-biased Schottky contact, this can be the help to image the picture of the interface (O2 adsorbates can form a Schottky contact, by the way.):
More O2 molecules at the surface
⇔ Denser O2 adsorbates (and thus deeper surface O2 acceptor levels)
⇔ More negatively-biaesd.
In reality, the near-the-surface region can have a finite thickness.
As a result, the dynamic narrow depletion can happen.
The prerequisite is the existence of shallowly and deeply allocated carrier-occupied states (e.g., electron-occupied states for n-type semiconductors).
References
さて、こいつは三つ目の会社にいたとき(2001年)に連中が「緩和電流の原因がわからん」と言っていたので、「あんな実験して、こんな解析したらわかっちゃうな。ま、論文出せる機会が来たら書いてやって、教えてやるか!」って思ってました -- どんな結果になるかまでは未知数だったけど。同じことを新入社員の時(1993年)にも聞いていてやっぱり同じこと考えたんだが、その時は「焼き物」だったのでやる気がせず、薄膜をやっていた2001年にやっとやる気になった。ま、会社変わってからやって論文出したんだが(笑) -- 成膜装置がちょっと違ったんだな、同じスパッタとは言えど(ま、わからんでよし(笑)。)。
さて、分野が変わるが、俺の論文から5年後に出た電気化学分野の邦文論文を一つ:今西哲士, 分極曲線・サイクリックボルタンメトリ-(10)光電気化学, Electrochemistry No.12 (2009) 1043-1049
1 はじめに “光電気化学”とは光が関与する電気化学であるから,広義な意味では光応答する材料や分子が電極に載っていればそう呼べるのかもしれない.しかし,一般的な教科書ではSiやTiO2をはじめとする半導体電極を用いた電気化学を指すことが多い.一つの理由として,これから述べる半導体電極の特殊性が挙げられる.これらの電極は,通常の金属電極とは異なり,光という外部エネルギーを外から直接取り込むことによって駆動することが出来る.そのため,光触媒や太陽電池など様々な形で光エネルギー変換デバイスへ応用されている.一方で,電極付近での電場やこれに伴う分子の挙動などは金属電極とは大きく異なる.しかし,残念ながら多くの電気化学の教科書には,この半導体電極に関する記述が非常に少なく,金属性の電極を用いた電気化学に比べると半導体電極を用いた電気化学の解説に遭遇する機会は意外に少ない.ここでは,定常分極曲線(電流-電位曲線)の話を中心に,半導体電極で起こる様々な現象を概説する.
2 半導体電極におけるキャリア移動 半導体電極系の電流-電位曲線を理解するには,まずは半導体電極内あるいは電極/電解液界面での現象を理解しておかなければならない.半導体は大きく分けてn型とp型に分類される.n 型では電子が majority carrier,ホールがminority carrierとなり,p型ではその逆である.例えばSiの場合,電子が過剰にあるPを少量ドープすることによりn型になり,逆に電子が欠乏しているBをドープすることによりp型になる.ただし,半導体電極として使用するための十分なキャリア密度を得るのに必ずしもドーパントが必要であるとは限らない.例えば,TiO2の場合,水素気流中でアニールすることにより,酸素が抜け(酸素欠陥の生成)n型半導体になることが知られている.むろん,Nbなどの不純物をドープすることによってもn型半導体にすることが出来る.ちなみに,こういったキャリアドープをしていない状態を“真性半導体”と呼び“i型”と記述することもある.ここでは,比較的扱うことが多いと思われるn型を中心に解説するが,p型においてもキャリアの役割が反転するだけで,考え方は同じである.n 型半導体の場合,暗条件下においては,圧倒的にキャリア数の多い電子が電流-電位曲線の形を支配する.半導体電極を水溶液中に浸漬させると,金属と半導体の界面に形成されるのと同様のSchottky型のポテンシャル障壁を形成する.このために,明らかな整流作用が生じる.実際に,n型TiO2電極を水溶液中で掃引すると,負側ではすぐに水素発生の還元電位の鋭い立ち上がりが観察されるのに対して,正側はかなり高電位になるまで,電流は観察されない.この時のn型半導体のバンド構造変化の様子をFig. 1に示す.まず半導体電極を電解液中に入れることによって,界面でのバンド準位はそのままに(ピニングと呼ぶ),半導体のフェルミレベルεfは,溶液側のレドックス準位φredoxと一致するように動く(Fig. 1(A, B)).これによって電極のバンドに曲がりが生じる.これに負の電位を加えると,半導体側のフェルミレベルが上方へシフトする結果,バンドの曲がりがゆるやかになる(Fig. 1(C)).さらに電位を印可すると,やがてバンドの曲がりはなくなる.このときの電位をフラットバンド電位(Efb)と呼ぶ.さらに負にふることによって,バンドは逆方向に曲がるが,この時の電位を蓄積領域と呼ぶ(Fig. 1(D)).一方,p型では,n型とは異なり,フェルミレベルが valence band のすぐ上にくる.このため,溶液と接触させた際のバンドの曲がりが逆方向となり(Fig.2(B)参照),そこから正の電位を印可することによってフラットバンド電位に近づいていく.・・・
さて、ここで、今西哲士, 分極曲線・サイクリックボルタンメトリ-(10)光電気化学, Electrochemistry No.12 (2009) 1043-1049と、Fermi Level | LinkedInで参照したT. Hara, "Electron-detrapping from localized states in the band gap of (Ba,Sr)TiO3", Solid State Commun. 132 (2004) 109.との相違点について考えてみる。
前者Fig. 1/後者Fig. 3: 前者は半導体側に「一様に」負の電位をかけているが、後者は半導体のPt電極側(紫外線照射面と反対側)には正の電位をかけており、Pt電極と反対側の露出面に負の電位をかけている。ちなみに、後者のようなmidgap statesによって強くpinningされた(Ba,Sr)TiO3-δのSchottky障壁は小さな電位をかけても高さが変わらず、したがってカソード側から半導体内への電子流入が起こらず、その結果、半導体内のmidgap statesからデトラップされた電子だけがアノード側へ流れ、その電流量は時間とともに減っていく緩和電流が観測される(したがってFig. 1のようにはならない。Fig. 1はあくまでそのような強いpinningを考慮していない議論なのである。)
前者Fig. 2/後者Fig. 3: 前者が溶液中に浸漬したn-型半導体(例えばn-TiO2-δ)にTiO2-δのバンドギャップを超える紫外線を照射したものであるのに対し、後者はPt電極上に成膜した(Ba,Sr)TiO3-δに徐々に波長を変えながら(エネルギーを高くしながら)紫外線を照射したものである。したがってPt電極の仕事関数が光電効果の基準点となっている。
前者Fig. 2/後者Fig. 3: 前者は特にn-型半導体(例えばn-TiO2-δだが特に限定はしていない)のMidgap statesに言及していないのに対し、後者の場合は以下のようになっている:①(Ba,Sr)TiO3-δのバンドギャップ内のshallow donor levelの電子は吸着した酸素に電子移動して見えなくなっているが、照射する紫外線のエネルギーが低いうちは吸着酸素の表面アクセプターレベルより低いところに有るdeep donor levelはまだ電子をトラップしており、②これが照射する紫外線のエネルギーを上げていくに従いdeep donor levelから吸着酸素に電子移動し、これが正電位をかけた(Ba,Sr)TiO3-δ/Ptから空間をはさんで設置されたカソードに捕集された際の電流を見ている。③Deep donor levelからデトラップされたlevelが非平衡状態において擬フェルミレベルになるので後者の場合は(一見すると前者のε*f,pと同じように見えるが)ε*f,nなのである。
障壁内の正電荷は増えていくので障壁は薄くなり、あるところでトンネリングを起こす。これがDynamic Narrow Depletionである:Fermi Level (2018).
T. Hara, "Electrical characteristics of (Ba,Sr)TiO3 films accounted by partially depleted model", Microelectron. Eng. 75 (2004) 316.のFig. 1にこれを示した。これはPt/(Ba,Sr)TiO3-δ/PtのCurrent density - Electric Field曲線である。T. Hara, "Electron-detrapping from localized states in the band gap of (Ba,Sr)TiO3", Solid State Commun. 132 (2004) 109.
の実験条件(O2/(Ba,Sr)TiO3-δ/Pt)では表面のmidgap statesの電子は吸着酸素に捕集され空間をはさんだアノードに運ばれていくが、T. Hara, "Electrical characteristics of (Ba,Sr)TiO3 films accounted by partially depleted model", Microelectron. Eng. 75 (2004) 316.のPt/(Ba,Sr)TiO3-δ/Ptではアノード側のPt電極に運ばれていき外部回路へと流れる。
Pt/(Ba,Sr)TiO3-δ界面の酸素欠陥密度を上げてやると電流の立ち上がりがもう少しはっきり見える: T. Hara, "Intentionally Inserted Oxygen Depleted (Ba0:5Sr0:5)TiO3 Layers as a Model of DC-Electrical Degradation," IEEE Trans. Deveice and Materials Reliab. 4 (2004) 670.
材料が違うが、S Tongay et al.によるTuning the Schottky barrier across graphite/semiconductor junctions by bromine intercalation (2010)を参考にしてみよう:a) Band structure at the metal-semiconductor interface before the physical contact and thermal equilibrium. (b) Change in charge distribution (q(x)) in the depletion width (W) before (red) and after (blue) the bromination. (c) Charge transfer and associated band bending, i.e. Schottky barrier formation, at the interface after physical contact is made. (d) Change in Fermi level, band structure and Schottky barrier height (SBH) after the physical contact at the brominated MLG/semiconductor interface.
dのブロミンドープとは違ってreverse biasをかけるとEfの位置は電極側と半導体側でズレるが、まあイメージは似たようなものである。このときにshallow~deep donor statesが有ればどのようになるか簡単に想像できるでしょう。Dynamic Narrow depletionが起こるのです:Fermi Level | LinkedIn;T. Hara, "Electron-detrapping from localized states in the band gap of (Ba,Sr)TiO3", Solid State Commun. 132 (2004) 109;T. Hara, "Electrical characteristics of (Ba,Sr)TiO3 films accounted by partially depleted model", Microelectron. Eng. 75 (2004) 316.
酸化物半導体のmidgap statesについてはあまり知られていなかったので(と言ってもHonda-Fujishima effectの藤嶋さんが結構昔から参考になることを書いておられましたけどな。)、2004年に俺が論文を出した頃には日本ではかなりヒステリックな反応が起こったんですが(笑)(海外ではそうでもなく、「あ、こういうことだったのね♡ これですっきりしました♡」とか言われちゃいました(笑)。)、これもそういうことなのね:酸化物半導体の謎 “伝導電子が伝導しない?” 機構を解明- 金属の原子軌道と酸素の原子軌道の結合が、そのメカニズムだった -(プレスリリース) — SPring-8 Web Site (spring8.or.jp)2008年1月31日
2008年には俺は別のテーマ(Vacuum Polarization, Polaron, and Polariton (2018).)に取り組んでましたが、SrTiO3にアクセプタ入れるとホールもできるかもしれないが(たぶんできるんですね。アクセプタ入れた時の電荷保障は酸素欠陥生成によってされるんですが、酸素欠陥のせいで伝導電子もできちゃってます。ホールもできてないと電荷保障にならないんですね。)、動きにくいってのはこんな理由によるんだろうって話をしてますわ。
まあ、俺は高い装置使った分光分析はしておらず、「そのへんの草」ならぬ「そのへんの電気特性計測装置」使って、後は「理論的解釈」で済ましてますけど。
ざくっと言えばt2gとegって話です。前者のt2gが酸素と混成しやすいんですが、同じ3d系列でもligand holeが遷移金属のサイトも通して伝導しやすいものも有り、なかなかメンドいです(笑)。
ま、俺はこんな論文が出る前にやったので、過去の分光学的報告とブラジルの人がやった第一原理計算の結果を参照していました:
かつては今西哲士, 分極曲線・サイクリックボルタンメトリ-(10)光電気化学, Electrochemistry No.12 (2009) 1043-1049の言及したような分野も太陽光による水素生産の手段として研究されていたことも有った(例えば、杉本克久、材料機能の電気化学 V―半 導 体 の 電 気 化 学 ―、ま て り あ 第47巻 第1号 (2008))
現在は再エネの余剰電力で水を電気分解するという研究が主流である。
酸化物半導体も何か新しいアプリケーションを考える必要が有るんだろうねぇ。
ちょっと分野が違いますが、応用が確立されている酸化物半導体の一つにIGZOが有りますね。最近、酸化インジウムの特性が大幅に向上できるという報告が有りました:IGZOの約10倍の電界効果移動度を持つ酸化物半導体を高知工科大が開発 | TECH+(テックプラス) (mynavi.jp)
Gaが希少金属(って言うほどのことも無いですが高いですし、精製は中国がほぼ独占してますね。)ってこともあって、「Ga抜き」の研究は盛んです:多様なディスプレイに適用可能な多結晶酸化物半導体「Poly-OS」を開発 | ニュースリリース | 出光興産 (idemitsu.com)
ところで、今は「特許ゴロ」として知られる半導体エネルギー研究所という会社が有りますが、元はこんなことをやっていたらしいです:酸化物半導体 - 研究開発 | 株式会社半導体エネルギー研究所 (sel.co.jp)
by T. H.
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