AI時代にどんなビジネスが生まれるか?
LLMの発展により、非構造化データが取り扱える状況となり、AgentライクなUX、マルチモーダル化の進展によるブラウザ操作など実現可能な領域が広がり、新しいサービス・プロダクトの展開余地が広がっている。
上記の変化による新しいサービス・プロダクトのあり方を「AIネイティブな◯◯」という修飾語を付けることで従来との違いを明確に表現し考えてみることにする。
AIネイティブなサービス
ここでいうサービスとは、労働集約的な事業(人材紹介、不動産仲介、受託開発etc…)を表現している。
AIネイティブな労働サービスとは、AIがある前提で業務フローを組み直し、従来は人が必要だった領域にコスト削減・高速化をもたらすことでサービスの付加価値を高める取り組みのことである。
AIネイティブなエンジニア派遣(SES)を例にとって説明してみる。
※すでに私の観測では数名はこのテーマで取り組んでいる起業家がいるため。
SESは、案件に対してエンジニアをアサインし(準委任契約など)、手数料をもらうビジネスモデルである。
業務の流れとしては、まず営業が案件ないし人的リソースを抱えるパートナー企業にドアノック的に挨拶営業をする。
その後、メルマガ配信リストに登録してもらうと、案件・人材の情報が定期的に配信されるようになる。
それに対して、営業がメール内容を読み取って、メールで最適な人材などを提案し、面談後にアサインといった流れとなっている。
AIで担える部分は、上記でいうと「メールの読み取り」「人材or案件のマッチング」「提案メール作成」をすべて代替することができる。
これにより大幅なコストカットとスピード提案ができるため、低いマージン率で運営したとしても採算が合うモデルを創ることができる。
従来型の営業マンを多数抱える企業では、いきなり上記のような仕組みを再現することは難しいため(人材の再配置などの難しさ)、新興企業として取り組む方がアドバンテージがあると考えている。
このように、LLMは非構造化データ(ここでいうメール)の取り扱いがうまいので、これまでできなかった(できたとしてもAIのラベル付けなど膨大なコストがかかったもの)様々な労働サービスのコスト構造の変化を引き起こす可能性がある。
AIネイティブなプロダクト
AIネイティブなプロダクトとは、SaaSにAI機能を付けるようなものではなく、LLMが使えることを前提として創るプロダクトのことを指している。
先ほども書いたように、LLMの登場により「非構造化データの活用」「AI Agentの実現」「マルチモーダルAIの活用によるブラウザ操作」などが可能となる。
従来のSaaSは抽象的に捉えるとDBのラッパーという理解もできる。これは、人がデータを入れないと役に立たないので、当然ながら人の労働があってのものである。
AIネイティブなプロダクトは、人の労働を代行してくれるイメージなので、人がデータなりを打ち込む必要なく自動的に回収したり、あるいはワークフローを実行したりしてくれるようなものになってくると考えている。
これによって変化が見込まれる例としてよく言われているのはCRMの領域である。海外だと、SEQUOIAが投資したDay.aiが有名だ。
これまでのCRM(HubspotやSalesforceなどを想像してほしい)は人が顧客データ、案件情報などを入れないと役に立たなかった。
また、電話の音声やメール、Web会議などからデータを取り込んで整理できない(ログは残るけど)ので、管理コストが異常に高い状況であり、人によって活用度合いに差が出ていた。
AIネイティブなCRMが登場すると何ができるかというと、下記のようなことができるようになると考えられる。
初期セットアップの代行
データ入力代行
メールや電話、Web会議から顧客情報を抽出し自動登録
上記から取引内容、金額なども入力
Web会議などから角度の判定、パイプラインの自動化
営業代行
追いメールの下書き自動化
次回商談で話すべきスクリプトの作成
架電スクリプトの作成
フィードバック
商談内容へのフィードバック
つまり、これまでのCRMに加えて、人様が行うはずだった「運用要素」が加わり、実際に「仕事をしてくれる」という価値も乗っかってくるのである。
ソフトウェアが「仕事をしてくれる」ということを海外VCはService as a softwareと読んでいる。略してSaaSなのでネーミング的には違うかなと思うが、意味するところは腑に落ちやすいと思う。
現状の記録するだけのCRMであってもユーザーあたり1万円/月くらいはチャージできていることを考えると、実際の労働を補完するようなものが生まれれば5万円/月くらいはチャージできてもおかしくないだろう。
また、労働サービス市場は米国ではソフトウェア投資の35倍と言われているが、日本も同様の構造があるはずなので、パイは圧倒的に広がると考えている。
まとめ
AIネイティブな◯◯について考察してみたが、いずれも大きな付加価値の向上が見込めることは明白であると思います。今事業を立ち上げるのはベストなタイミングでしょう。
今後は海外のAIプロダクトの深堀りなども行っていくので、フォローしておいていただけると助かります。
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