鬼畜系という鎧

好きではないジャンルのことなど書きたくもないのだが、かつてそれで小金稼ぎをしていたものとして思うことがあるので書いておく。それは鬼畜系というある種の鎧について。鬼畜系とは何かについてはWikipediaの同名記事に異常なほど詳しく書かれているのでここでは割愛するが、端的にいえば極端なエログロを求める趣味嗜好といえば分かりやすいかもしれない。

僕自身精神的に弱い人間なのだが、それは他の鬼畜系クリエイターも例外ではなかったようだ。彼らのSNSを見たら評価が少ないことにうじうじ悩んでいたり絶えず不満を述べていた。でもそういう人間でも鬼畜系という鎧を着れば「私はこんなキチガイなんだぞ!」と強さを表明することができる。そしてその弱さというのはWikipediaの同名記事を見ても分かる。記事によればジャンルができたのは1980年代とされているが、それ以前の例えば江戸時代の春画なども半ば無理に関連づけられており、非常に冗長な記事になっている。にも関わらず日本語以外の記事が存在しない。これは鬼畜系という弱さや規模の小ささを無理な関連付けによってカバーしているようにしか見えない。

ジャンルの小規模さに比して鬼畜系の作家というのは大抵悲惨な最期を遂げている。吉永嘉明は行方不明だし編集者だったその妻、青山正明、ねこぢるは自殺。そして村崎百郎に至っては読者を名乗る人物から滅多刺しにされて殺害された。やはり鬼畜系という鎧を着ることに無理があったのではないだろうか?

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