Vol.2-#32 大仏の目に涙
ジジのお葬式。
ジャミ子とジャミ兄は葬儀場で弔問客を出迎えた。
ジャミママは上の階にある宴会場で飲んだくれていた。まったく、どんな時でも彼女はブレない。アッパレ宴会番長!
生前のジャミジジは身内を自分の職場で働かせた。
叔父(ジャミママの弟)とジャミパパは、ジジのコネで水道関係の仕事に就けたのだ。
そんな訳で職場仲間も葬儀にやってくるのだが、その一団にはもちろん、ジャミパパがいる。
ジャミ子は10年以上ぶりに父親の姿を目にした。
遠くで同僚やジャミ兄と談笑しているジャミパパの元へ歩みを進め、話しかけた。
「久しぶり」
以前、成人式の写真を送ったとき、それをスルーした父親は、ジャミ子を前にしてモゴモゴした。
「成人式の写真見てくれた?」
「既読無視されたのは流石に悲しいから、スタンプくらい返しなよ~」
ジャミ子は笑ながら伝えた。すると、
ジャミパパは涙を流し始めた。
なんでもジャミパパの今の妻(ハンギョドン)はとても嫉妬深く、前妻との娘であるジャミ子とは、連絡をとる事すら許さないそうな。
ナルホド、、そういうことか。
複雑なキモチだが、こんなに泣いている人間を責める事はできなかった。
なにより理由を知って納得した。だが、
なぜか兄の頬をつたう一筋の涙。
感受性の豊かな兄は父親の涙に感化され、ジャミ子に感情移入していた。
二人の男たちはおいおいと泣いた。滂沱の涙はやがて海になり、ジャミ子の存在感を飲み込んだ。
二人の涙に溺れながらジャミ子は叫んだ。
「泣きたいのはこっちや!」
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