Vol.2-#37 ハネムーン紀行④
アルバート、お前もか…!
ジャミ子には外国での理想の過ごし方があった。それはそこに住んでいるかのように過ごす事だ。
そのためにホテルはキッチン付き、バストイレ別、35㎡の物件を押さえた。調理道具や食器も常備されているし、コンロやレンジもあった。パーフェクトである。
ここで新生活が始まる。この国に住んだらどんな毎日を送るのだろう。
日本で旅の準備をしながら、ジャミ子は夢を膨らませていた。
さて、チェコに来て3日目、まだ初々しいジャミ子のさわやかな朝。
こんな日はスタバでコーヒーでも飲もうじゃないか。
ホテルの向かいにあるスタバへ行くと、、、なんと閉まっている。
「おや?」…まぁこんなこともあるか。隣にマクドナルドがあるから、朝マックを、、、「おや?」
閉まっている。。。
そうだ、スーパーで食材を買ってブレックファーストを作ろう。プラハには3つの大型スーパーマーケットがある。
1.アルバート
2.ビラ
3.テスコ
ホテルの近くにアルバートがあったので行ってみる。
「おやおや?」…閉まっている。スーパーも?!
入口の貼り紙を見て、ジャミ子は顎が外れかけた。
ーーー今日はクリスマス。
そう、夫婦はクリスマスをチェコで迎えた。しかし海外のクリスマス事情を知らない上に、旅行というのは不思議なもので、非日常を過ごしているため日にちの感覚も失ってしまう。
アルバート、ビラ、テスコ。スーパー3社の休業日時は同じだった。
12月24日の午後:休み
12月25日:休み
12月26日:休み
明日も休みなの?!!
グーグルマップを血眼になって探したところ、ホテルの近くに個人商店のような小さなスーパーマーケットを見つけた。
ジャミ子はそのお店でスティックコーヒーを買った。レジの店員は軽快に仕事をしながらこう言った。
「I love Japan」
その言葉はジャミ子の心に深く刺さった。スタバ、マック、アルバート、、、どこもジャミ子を受け入れてくれなかった。だが、彼だけが扉を開けてくれた。そんなあなたに恩返しがしたい。
ジャミ子は日本から持ってきたキットカットの抹茶味をプレゼントした。
「I love you」