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コラム 信頼関係が築けていない場合の伝え方

(今回のコラムは、「叱り方を間違えた」【エピソード編】【考察編】を受けて書いています)

教師が子どもたちと接する上で、もし全員との信頼関係を築くことができたら、もう言うことはない。

だが、人間、合う合わないは必ず存在する。「自分とは合わないな」「あの子は自分のことをよく思っていないな」という場合だって少なからずあるだろう。

一方で、この仕事は、信頼関係が築けていない子どもにも、注意を与えたい場合というのがある。

そんな時、「あなたはこれがいけなかった」という、ユー・メッセージで伝えてしまうと、返り討ちに合う可能性がある。「あの先生が言うことだから聞きたくない」となったら、その指導は逆効果だ。なわとびクラブでやってしまった叱り方は、まさにこれだった。

今の私が信頼関係を築けていない子どもたちに話すならば、「私はこう思うよ」という、アイ・メッセージで伝える。主語が「I(=私)」というのがポイントだ。教師自身の思いをただ伝えているだけなので、その指導に対して、子どもたちの反発が生まれにくい。

今回のなわとびクラブの例をもとに考えてみよう。

そもそも今回のケースの子どもたちは、とりたてて悪いことはしていない。子どもたちの発表に向かう気持ちを、教師である私がうまくつくってあげられず、結果うまくやれなかっただけの話である。だから、

「あなたたちは何であんな態度で演技したの!?」

というスタンスではなく、

「あなたたちのために(私が)一言言うね」

というスタンスで言ったらよかっただろう。そして、それに続けて、

「今日の発表で、失敗したときに笑っている人、いたよね。あれってどうなんだろう。今日は、全校の人が見ているまたとない機会だったんだよ。それなのに、全力を出さずに終わってないか。本当にそれでよかったのか?先生は、みんなの全力が見たかった。だから少し残念だな…」

という感じで言ってみたら、どうだろう。

「私」を主語にして語ることで、自分の思いを率直に伝えることができる。そして、教師の思いの乗った言葉たちは、間違いなく子どもたちに響くだろう。

若い頃の私は、叱っている途中で何を話したらいいか分からなくなることがよくあった。だから、指導のゴールが分からなくなって、結果、長い時間指導する羽目になっていた。

この「アイ・メッセージ」というのを知ってから、自分の指導の仕方も変わっていった。これからも大事にしていきたい方法の一つである。



このブログでは、現役教員としてたくさんの失敗を積み重ねてきた私が、当時の失敗を今ならばどうするかという視点をもち、書いています。教師として働いている皆様に向けたヒントとなることがあれば幸いです。
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