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<会話のテーマ>怖いものは何ですか?

日本語会話のテーマを考えるのは、楽しみでもあり、時に苦しくもあります。人によっては、まったく盛り上がらなかったり、あっという間に会話が終わってしまうことも。予想外の反応が返ってくると、うれしくなります。

先日、Sさんに振った2日後のテーマは「怖いもの」。

私は「高所恐怖症」「ジェットコースター」「独りでいること」といった類を予想していましたが、彼女の答えは「葬儀館です」。聞けば、寮から日本語学校に向かう途中に3つも葬儀館があって、その前を通ること、そこから「死」を連想してしまうことが怖い、ということでした。

彼女は今まで親族のお葬式に出たことがありません。祖父はがんで亡くなりましたが、その時彼女は体調があまり良くなかった上に、大事な試験を控えていたため、彼女のお母さんは葬式に出席させなかったのです。

私は軽い衝撃を受けました。人生で、身内と最期の別れをする以上に大事な用事があるのでしょうか。親族の別れと向かい合う経験を先延ばしにすることで、彼女が「死」を忌み嫌う感情は、潜在意識で膨れ上がってしまったのではないでしょうか。

その後Sさんは更に、夏に相応しい怪談もどきの実体験をしてくれました。なんとも薄気味悪い話で、後味の悪い思いが後に残りました。。

テーマを伝えたからには、どんな内容が返ってきても受け入れる度量がなければいけませんね。


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