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私の原点。『梅光軒』の醤油ラーメン

春の旭川はまだ寒い。

 受験を終え、お祝いも兼ねて旭川に来ていた私は、当然、旅程にこの店を含めていた。初めて出会ったのは、確か年長か、小学1年生の頃。当時まだ小さかった私は、その場所がどんな店かもわからないまま、母に分けてもらう形で食べていた、ような気がする。確かなことが言えないのは、色々ありすぎて記憶が混在しているから。けれども、その店が『梅光軒』であると明確に知ったのは、小学4年生ぐらいであると記憶している。

 『梅光軒』のラーメンの特徴は、動物系、魚介系の2つのスープが合わさった〈Wスープ〉と、拍子木のように太く、口の中でほどけるメンマ。麺も特注らしい。初めて食べた私は、その美味しさに圧倒された。そして、それまで特にこだわりなく食べていた食べ物たちに、明確に「こだわり」というものが、この時芽生えたと思う。「美味しいものを追求する」という私の密かな楽しみは、ここで生まれたと言っても過言ではないだろう。

久しぶりに食べる本店の味。

 受験があったから、旭川に来るのは久しぶりだった。一応、東京にもかつては支店があり、KITTEビルの高層階からJRの線路を見渡せるおしゃれな店だったのだが、コロナがきっかけに閉店してしまい、近場で梅光軒のラーメンを食べる機会は失われていた。それに、やっぱり私は本店の味が好きだったから、梅光軒での食事を旅程に入れないなどという選択肢は無く。家族に無理を言って、実現してもらった。

醤油ラーメン。学生証を見せれば、学生ラーメンにする事もできる。

 届けられた醤油ラーメンを見て、ああまた変わらない、あの日のままのラーメンに再会できたと、幸せな気持ちでいっぱいになった。前回旭川から東京に帰ってきたその瞬間から、「梅光軒に行きたいなあ」という思いを少しずつ膨らませていたのだが、その思いがついに成就したというわけである。まずはスープから。私がいつも食べているラーメンの中では濃い部類に入るが、他では味わえない旨味というものがあって、ついつい飲み干してしまう。メンマはとても柔らかく、少し噛めばすぐにほどける。またチャーシューもかなり大きく、学生ラーメンにするとこれが大量についてくるから、幸せだ。味玉をつけるのもおすすめだが、今回はオーソドックスに行きたかったので、敢えてつけないことにした。食べ進めれば当然だが、量が減っていく。食べ終わるのが惜しい! もっと食べていたい! と思えるメニューは、日本中探しても、片手に収まるくらいの数しかないと思う。

食べ終わってしまった……。

 今、私は東京にいるわけだけれども。
 今、既に食べたい。梅光軒に行きたい。
 書いていてまた食べたくなってきてしまった。
 昼は行列だから、少し時間帯をずらして行くといいと思う。少食な方はハーフサイズもある。実は醤油ラーメン以外もある。
 また、梅光軒は全国に支店があり、買物公園にある本店以外にも、旭川には3店、札幌には2店、それから横浜に1店存在し、海外にも、香港に2店、タイ、ベトナム、ハワイに1店舗ずつ存在するため、お近くにお住まいの方は訪れてみてほしい。
 願わくば、東京にもまた支店ができてほしい。
 また、食べに行けますように。
 今回はこれにて。


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