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しなやかに したたかに⑤

 近藤郁夫先生は、とにかく、はじめて出会ったタイプの方だった。名古屋弁と関西弁がミックスされた軽妙な語り口。いつもどやされるように話しかけられるのが新鮮だった。

 近藤先生は、よくこうおっしゃっていた。

「かさかさになっとらんか〜?」

 勿論、お肌の状態ではない。心の状態のことだ。当時、うきうき大学生だった私は、笑顔で「大丈夫でーす!」
と答えていたが、もし、今、そう聞かれたら同じように答えられるだろうか…。うーん。社会情勢も絡んではいるけど、自信がない。

「めちゃくちゃおもろいやないかあ」

 これもよくおっしゃっていた。様々な取り組みの中で、学生達がアイデアを出す。それに対して、いっぱいいっぱい褒めてくださるのだ。だから、自信がもてる。自分のことが好きになる。今思えば、近藤先生が魔法をかけてくれていたのだな。
 話はそれるが、私達教員も常に魔法使いでありたいと思っている。今年、魔法を目撃した!運動嫌いの子が思わず頑張っちゃう魔法。若い魔法使いさんだったけど、そりゃあ見事な魔法だった。見事な魔法というのは、即効性は、普通だが、持続性がハンパないのである。だから、例えば、鉄棒運動で魔法にかかった子は、数ヶ月後に行う跳び箱運動でも意欲的に取り組めたりするのだ。
 4月から出会う子ども達には、これから生きていくためのちょっとした支えとなり得るような魔法をかけられるといいな。

 近藤先生、私がいつかお空の国に行った時には、大好きだった日本酒を飲みながら、聞いてもらいたい話がたくさんあります。

「なかなか、やるやないかあ」

 そう言っていただけるように、目の前の子ども達と、今の私にしかできない営みの風景を描いていきますね。
 かさかさにならないように、心の栄養クリームたっぷり塗って、楽しく、頑張ります。

 近藤先生、私が人間らしくいられる場所に導いてくださり、ありがとうございました😊



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