構造審査よもやま話 第13話 ~RC造の鉄筋位置dtのニッチな話~
組手を嫌うと指導。
(本記事の下書きはオリンピック柔道が話題になっていた頃に行いました)
(乗り遅れた感が満載です)
RC造のdt設定には性格が表れる説。
審査に携わって色々な方の図書を見ますと、千差万別ですね。
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先ずはカブリ厚
①設計かぶり厚
まぁ正しい設定です。
言及するまでも無いハズなんですが、最小かぶり厚はかなり強めにNGです。
私の審査経験の中でお一人だけ最小で設定してきた人が居ました。
基準法に書いてある数字だ、とか反論してきましたが。配筋指針くらい読みましょう。
それでも最小と言い張るなら全数検査な。ホントの全数な。
②よゆう設定
設計かぶりには部位ごと、耐久性上有効な仕上げの有無ごとに設定ありますが
最大の値で設定する方法です。
個人的な実感では①とされる設計者が6割くらい、でしょうか
大規模になるほど②が増える気がします。
劣化対策等級3を取得する案件ですと屋上仕上げは梁仕上げに入れれないとか、雨掛かりは屋外とか。また柱も4面のうち2面が屋内側で2面が屋外側とか、あぁもう書いてるだけで面倒くさい。
そうです、私は全て50mm。なにがあろうと50mm。
考えてる時間がもったいない。
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次いで判断が分かれる所で
鉄筋径に採用するのが、①呼び径 か、②最外径 か。
こちらは私の実感では設計者様も半々かと。
私自信はてっきり最外径しか有り得ないと思い込んでたんですが
遠い昔、監査に来られた方との立ち話で「呼び径で良い」と言われました。
※公式な見解ではありません。
確かに深堀して考えると
STPはリブの付く強軸には曲げないですよね、弱軸に曲げて加工するのだからリブの付く最外径ではなく呼び径なのかも。
また主筋にしても、主筋のリブとSTPがちょうど接するようには配置しないですよね、結束したらSTPがズレるか。
あぁ柱主筋のリブの場合はHoopと接することは有り得るかも。
しかし、概ね、で考えると確実ではないものの呼び径として良いのかな、と今では考えています。
ここでの問題視はリブであって、節(ふし)は部分的なので考慮の必要なし、と考えます。
‥‥この判断でも別れる人が居るかもしれません。
居たら、くっそ細かいヤツだと思う。けど、居るんだろうなぁ。
リブに言及した時点で自分がくっそ細かいヤツと自覚しました。
んなもん施工で何mmもズレるの当たり前じゃ。いくら頭で考えてもコン打設で何十mmもズレるの当たり前じゃ。
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そして最後に余裕の取り方。
ギリギリ設定として数値を丸めない、というのもダメではないです。
5mm刻み、10mm刻みで丸める方もいらっしゃいます。
丸めない方が8割9割くらいですかね。
私は5mm丸めでした。
なので主筋D25、STPがD13とすると50+14+28/2=78→80
主筋D29、STPがD13とすると50+14+33/2=80.5→85
比較しますと
40+13+25/2=65.5 で設計してくる方も当然いるので最初は面喰いましたが、法律違反ではないのでね。まぁまぁ。
タイルかどうか、屋外に該当しないか、劣化3か、を考える必要なく
また配筋変わっても、ちょっとくらい荷重増えても、並びきらなくて二段筋に移してもある程度カバーできたりするのですが。
そこは価値観の問題かな、と思います。
おおざっぱ設定かとも思いますが、設計はD35・D38当たり前の物件が主だったもので、細かい設定したところで鉄筋が1本でも減るのか、ちょっと考えづらかったです。
であれば、検定比が0.01か0.02減ったとしても指摘にされず、何らかあった時の言い訳に使え、トータルではお得ではないか、と。
余談ですが機械継手のカプラーは当然、鉄筋より径が太い訳ですが
その分でSTPを1サイズダウンして@細かくする検討をメーカーさんの方でしてくれます。
東京〇鋼の技術力は高い。
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dtに関する指摘は、まぁ多いですね。
上記のように余力・丸めの取り方にも拠るのですが、0.5mmや1mm単位で入力するなら、ちゃんとやれや、と思います。
(おおざっぱ設定に対し細かくしろ、ということではないです。細かい設定のくせに設定が間違えてる時に指摘します。)
「やる」と宣言したことが行なわれてないと、指摘せざるを得ないです。
検定結果に大差ないだろうことは予想するのですが、断面諸元の入力データですのでね。
また、余裕をdtで最初にとるのか最後に検定比でとるのか、そこまで貴方のこと知らんよ。という意味で指摘が多くなります。
そして最後と言いつつラストに大事な話で
組手の考慮
があります。
X方向梁とY方向梁で主筋は実断面を持っているわけですからどちらかがどちらかに重なります。負ける側は当然dt大きくなるわけです。
ここまで来てやっと本題。
最近「組手」という言葉が伝わりづらくて困っています。
X方向とY方向どっちが優先なの?という話なのですが
組手という語句説明から入らないと指摘が伝わらない方が増えている実感です。
そこから始まるので、
上端主筋の上下、と、下端主筋の上下を混同されたり。
物理的な上下関係と優先の上下関係が、共通語で話せない方が時に居るのです。
図面に「先行配筋」とか書いてる設計者もいますね、
先に下(物理的)に置くものを先行と呼んでいるようですが
うーん、施工ベースで考えるのか…。
優先がどちらか施工が考える前に構造図に書いとけ、そういう時代なのかもしれませんね。
サラ監どこいった。
また、梁のX方向・Y方向だけではなく、柱と梁にも当然組手があります。
多くの場合、柱幅>梁幅なので柱勝ち梁負けで問題ないのですが
柱が雁行で梁は斜めでない場合など、梁は両端で負ける場合があり梁幅と並び本数には注意が必要です。
陸立ち柱は見下げ梁勝ちが一般的かと思いますが梁主筋の外に柱主筋が来るなら、梁勝ちと言い張るために水平U字配筋(コの字キャップ)など必要かと。
…ワザとではないんですが恐らく上記の記載、伝わりづらかったかと思います。
ま、文字だけだし。
ただ組手のイメージが付きづらくなっているのかなぁ、と想像しています。
解決策はBIMか、BIMなのか。BIMが全部考えてくれる時代はいつ来るんだ。
当面は来ないので指摘にお付き合いください。出来るだけ図にするから。