新日本プロレスの世代交代
11月5日の衝撃的な結末!
まだ余韻が残っています。
当日は成田蓮選手がSANADA選手に勝ち、メインのIWGP USヘビー級王座戦、ウィル・オスプレイvs内藤哲也の試合後には海野翔太選手が名乗りを上げるなど、新日本プロレスにも確実に、新たな時代の流れが押し寄せています。
今回は、そんな新世代の選手達について、取り上げてみたいと思います。
次世代の選手達
成田選手は今年10月に凱旋帰国を果たして以降、NJPW WORLD認定 TV王座決定トーナメントでは順調に勝ち星を重ねていき、挑発的な態度で「世代交代」をキーワードに上げています。
この「世代交代」。
成田選手の目指す方向性としては悪くはないと思うんですが、一方で、自分にはちょっと違和感があります。
そもそも「世代」とは、同年代の者の集まりのことを言います。
ですが、今、世代交代に向かっているのは成田選手だけです。
直上の年代の選手となると、
マスター・ワト選手
グレート-O-カーン選手
となるわけですが、彼らはもう、それぞれの目標に向かって一本立ちしています。
もう世代交代を目指すような立場ではありません。
また、直下の年代となると、
辻陽太
上村優也
の2選手になりますが、彼らは現在、海外遠征中です。
そうなると、世代闘争に加われるのは、結局、同期の海野選手だけということになります。
その海野選手ですが、オスプレイ選手のUSヘビー級王座への挑戦が決まりました。
この王座戦に勝った後の挑戦者に内藤哲也選手を指名するなど、上を狙う意向は示しているものの、その発する言葉は丁寧語で、上に噛みつくという感じではなく、むしろ、世代交代には否定的なコメントを残しています。
↑東京スポーツの記事
こうしたことから、結局、現状を見る限り、本来の「世代」という言葉の意味程には、世代交代は拡大しないのではと思っています。
当面は、成田選手独りでやっていくこととなりそうです。
過去の世代闘争
さて、過去の新日本でも世代交代を目指して、世代闘争はおこなわれてきました。
真っ先に思い浮かんだのが、NOWリーダーとNEWリーダー抗争です。
当時は、新日本にUWF、ジャパンプロレスと、リング上は現在のユニット抗争のように混沌としていました。
新日本のアントニオ猪木、藤波辰巳(現:辰爾)ら
UWFの藤原喜明、前田日明ら
ジャパンプロレスのマサ斎藤、長州力ら
これら3派が抗争していたものが、世代闘争により一気にシャッフルされ、
NOWリーダー
アントニオ猪木、藤原喜明、マサ斎藤ら
NEWリーダー
藤波辰巳、前田日明、長州力ら
の抗争へと移り変わりました。
リング上の景色が一気に変わった瞬間であり、刺激的な時期でもありました。
その後も、闘魂三銃士(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也)も上の世代であった藤波辰爾、長州力と世代闘争をしていますし、第三世代(天山広吉、小島聡、中西学、永田裕志)も、闘魂三銃士と世代闘争をしてきています。
このように新日本の歴史において、世代闘争、世代交代というのはキーワードとなってきました。
ストロングスタイルの申し子と言われる成田選手ですから、彼が目指すのは、こうした過去の熱かった戦いを再現する、ということなのかもしれません。
世代闘争の結末
さて、過去におこなわれてきた世代闘争ですが、意外にも、どの世代闘争も実は短期間で終了しています。
前田選手の退団や、蝶野選手の狼群団結成など、理由は様々ですが、結局のところ、世代闘争とは一過性のものでした。
このため、どちらの世代が勝ったというような、明確な決着もありません。
ただ、私見を言わせてもらうと、どの世代闘争も現世代側が優勢だったのではと感じています。
これは決して新世代側が劣っていたからというわけではなく、むしろ勝敗や試合内容では、互角以上のものを見せていました。
ただ、プロレスは長く続いていくストーリーです。
例え一時期、上の選手を越えたからといって、一気に団体の顔としてトップになれる程、甘い世界ではありません。
新世代側が足りなかったのは、実力ではなく、単にそれまでの実績と定着度だったと思います。
そしてその世代闘争を経たからこそ、後に、新世代側は団体の顔としてトップに立つことになっていきます。
プロレスとはその繰り返しです。
現在で言うならば、オカダ・カズチカ選手でさえ、本当の意味で上の世代の棚橋弘至選手を越えたのにも、何年もの月日を費やしています。
いかに世代交代が大変かということでしょう。
世代交代を敢えて口にし、例え独りでも下剋上を狙う成田選手。
世代交代とは言わないものの、団体の一員として下剋上を狙う海野選手。
彼らはトップへの階段を登り始めたばかりです。
まだ、結果に一喜一憂する時期ではありません。
これから様々な爪痕を残していくと思いますが、ここは敢えて長い目で見ていくべきなのではと思っています。