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プロレスラー回顧録②~スタン・ハンセン~

プロレスファンのみならず、日本で最も有名な外国人レスラーといえば、スタン・ハンセンではないでしょうか。
実際、自分自身もハンセンについて語ると、とても文字数が足りません。
その日本での露出の多さだけでなく、ハンセンには様々なエピソードが有り、推しとはまた違った尊敬の念も有るからです。
今回はそんなハンセンについて、自分流に書き綴っていきたいと思います。
なお今回は選手名が多いため、一部敬称略とさせていただきます。

ウエスタン・ラリアット

さて、ハンセンの代名詞といえば、何といっても「ウエスタン・ラリアット」。
ハンセンはラリアットの創始者にして元祖なのですが、実はハンセンが使う以前にも、ラリアットに似た技は使われていました。
腕を水平に上げてそのまま相手に突進する、いわゆる「クローズライン」の事ですが、ハンセンの場合は腕を振り抜く事で、必殺技にまで昇華しています。
野球に例えると、ダウン→レベル→アッパーという、最も打球に飛距離が出るホームランのスイングです。
そこにダッシュによりハンセンの140kgの体重が加わる訳ですから、喰らった相手は、吹っ飛ばされて後頭部から落とされる物凄い威力です。
レベルスイングのクローズラインとは、もはや別の技になっています。
ハンセンが使用して以降、今や猫も杓子もラリアットを使う選手が増えていますが、その殆どの選手はクローズラインだと思います。
今やラリアットの使い手と呼べる選手は、ハンセンからラリアットの打ち方を直伝された小島聡選手くらいで、同様の腕の軌道で一撃必殺の技として使っています。

アメリカでのハンセン

ハンセンのプロレスキャリアは、殆どが日本でのものですが、実はアメリカでも一定の実績を上げています。

リック・マーテルからは、AWA世界ヘビー級王座を奪取しています。
当時のマーテルは新進気鋭で、真の実力の程は定かではなかったものの、ジャンボ鶴田から王座を奪取してきており、ハンセン初の世界王座は快挙だったと思います。
ちなみに、この時の決め技は逆エビ固め。
ハンセンの体重が乗っていて、強烈でした。

またWCWでは、レックス・ルーガーからWCW USヘビー級王座を奪取しています。
この時の決め技はウエスタン・ラリアットで、当時、WCWのトップの一角だったルーガーからのピンフォールは、これも快挙だったと思います。

WCWではその他にも、ビッグバン・ベイダーとも壮絶な激闘を見せていましたし、ハンセンの活躍は、日本だけのものではありませんでした。

ハンセンの名勝負

とはいえ長年、日本を主戦場としていたハンセンですから、その名勝負は、やはり日本での試合になるでしょう。
アントニオ猪木、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、天龍源一郎、三沢光晴、川田利明、小橋建太…
ハンセンと名勝負を繰り広げた選手を挙げるとキリがありません。
ハンセンは1981年に新日本プロレスから全日本プロレスに電撃移籍していますが、そのキャリアの中から、名勝負として新日本時代と全日本時代の試合を1試合ずつ挙げたいと思います。

【新日本時代】
1981年9月23日 田園コロシアム
アンドレ・ザ・ジャイアントvsスタン・ハンセン

当時、プロレスを見ていた人にとっては、説明不要ですね。
2人合わせて約350kgの肉体がぶつかり合った、今や伝説の試合です。
ハンセンが200kg超のアンドレをボディスラムで投げたシーンと、ウエスタン・ラリアットでアンドレが場外に吹っ飛んだシーンが印象的でした。

【全日本時代】
1990年4月13日 東京ドーム
ハルク・ホーガンvsスタン・ハンセン

WWF(現:WWE)と全日本、新日本の共催による、日米レスリングサミットと銘打たれた興行です。当時、WWFのトップであったホーガンと、全日本トップ外国人選手であったハンセンのシングルという、ドリームマッチでした。
確か自分の記憶では、この試合がハンセン唯一の東京ドームのメインだったと思います。

ハンセンはその他にも、タッグでも多くの名勝負を残しており、特にブルーザー・ブロディとのミラクルパワーコンビは、まさにプロレス史上最強と言えるタッグでした。

ハンセンは近視だったため、試合中もあまり相手がよく見えていなかったと言われています。
そのためか、試合スタイルもラフファイト中心の荒々しいものでした。
それでもシングルとタッグの両面で、ハンセンに名勝負が多いのは、自分は、その人柄によるものだと思っています。

ブロディはもちろん、アンドレやホーガンともライバルを越えた関係であったと言われています。
また、義理人情に厚く、自身を厚遇してくれた馬場さんへの恩義を忘れずに、全日本でそのプロレスキャリアを終えました。
多くの外国人選手が日本での試合をキャリアの一部だと考えていた中で、キャリアの大半を日本に費やしてくれたハンセン。
やはり、最大級に尊敬すべき外国人選手です。

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