【ワールドトリガー】アフトクラトルの異質さについて 〜ハイレインの魅力と私的考察①
はじめに
この記事は、筆者がタイトルの通り『ワールドトリガー』に登場する『ハイレイン』という『鳥さんやお魚さんをいっぱい出してくるふわふわでつよつよなわくわく動物メルヘンおじさんにじゅうきゅうさい』の沼に嵌り、抜け出せなくなってしまった狂った一人のオタクによって生み出された怪文書である。ここまで読んで危険を感じた場合は即座に引き返してほしい。
考察記事になる予定だったはずが、上述の熱い思いが災いして語り始めたらあれよあれよと文章が長くなってしまい「全然書きたいことに辿り着かねえ!!」となったので今回は仕方なく
・筆者のワールドトリガーとの出会い
・アフトクラトル、そしてハイレインの第一印象
に絞ることにした。魅力も考察もまだできていない、タイトル詐欺である。どうか石を投げないでください。
今更のことかもしれないが当たり前のようにネタバレをしているので、閲覧の際は充分に注意されたい。
ハイレインって誰?
まずはこの画像を見てほしい。
筆者の推し、ハイレインのプロフィールである。色々ツッコミどころが満載である。
ワールドトリガー オフィシャルデータブック BORDER BRIEFING FILE p237より引用
http://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-880704-1&mode=1
まず見た目からしてやばい。
物々しい黒マントに後頭部に角、この時点で「あれ? ワールドトリガーってSF漫画では?」と疑問が浮かぶ。
一緒に書かれているセリフも「さぁ 雛鳥を捕まえようか」である。「この人は畜産業を営んでいる人か何かなのか。逃げ出した鶏の雛を捕まえようと必死なおじさんなのか?」と疑問に思っても仕方ない。しかし安心して欲しい。この人はこれでもれっきとした敵国の偉い人なのだ。
どれくらい偉いのか。彼の肩書をまとめると「アフトクラトル遠征部隊隊長、及びアフトクラトル四大領主の一角であり、黒トリガー『卵の冠』の適合者」である。ふうんなるほどそうですか。初見だとおそらく何だか全然分からないので簡単にいうと『敵のめっちゃえらくてつよいひと』である。
続いてこちらの欄にも注目しよう。
好きなもの: 優秀な駒、陽動、分断、家族、穏やかな暮らし
ほうほう、『優秀な駒』、『陽動』、『分断』……何だか物騒な言葉が並んでいる。きっと血も涙もない冷静な策略家に違いない。では後半は……『家族』、『穏やかな暮らし』。
この時点で既に矛盾の塊である。前半と後半が噛み合っていない。これだけ見ると一体この人は何がしたいのか全然分からない。
ちなみにステータスもやばい。比較すると主人公の一人である三雲修の合計ステータスは32。主人公側の組織であるボーダーのA級No.1アタッカーである太刀川さんだって56である。一方ハイレインが率いる部隊6人の平均値は100を遥かに越えているのである。
そんな意味不明なつよつよおじさん率いる愉快な仲間たちは、主人公チームに明確に敵対する初めの大きな敵として立ちはだかるのである。どう考えても初めの敵として出て良いスペックではない。三国志で言うと虎牢関で呂布に出くわすくらいの絶望感(※)がある。
呂布: 中国後漢末期の武将。『人中の呂布、馬中の赤兎』と言われ三国志時代最強の武将の一人として名を馳せた、超つよつよ武将である。
ハイレインに注目したきっかけ
明確なきっかけは、実をいうと多分ない。
正確には、はっきりと覚えていないが正しい。
多分、ただ何となく、純粋に気になったのだと思う。
後々考察しようと考えている内容ではあるが、恐らくこれは
ハイレインの持つギャップや矛盾によるものだと筆者は考えている。
そしてそのギャップが、どうしようもなく想像力を掻き立たせるのだ。
これはワールドトリガーのキャラクターあるあるだと思うが、
「このキャラクターはこういうタイプだよね」という
セオリーを意図的に外しているのである。
型に当て嵌まるようで当て嵌まらないキャラクター性。ワールドトリガーはこの要素を持つキャラクターが非常に多いが、その中でもハイレインは少ない登場期間にも関わらず、抱えるギャップが異様に多いのだ。
というかそもそも、後に後述するがSFアクションの時点で彼の所属するアフトクラトルというファンタジックな国自体がギャップなのだ。加えてハイレイン本人も+αのギャップを沢山抱えているものだから、この時点で既に属性の大渋滞を起こしている。
つまり、この国、そしてこのハイレインというキャラクターは実に想像力を掻き立てる余地がありすぎるのである。
これが彼らの初登場シーン。はっきり言って異様だ。
『ワールドトリガー 6』p67 より引用
とここまで語っておいて何だが、一旦引き戻ってそもそもの基盤の説明をしていこう。物事には順序というものがある。焦らずにいこうではないか。
ワールドトリガーについて
ハイレインの詳しい話をする前に、
とても今更だが、彼の登場するワールドトリガーという作品紹介をさせて頂こうと思う。
皆さんはワールドトリガーを読んでいるだろうか?
2013年より週刊少年ジャンプで連載された、SF(すこしふしぎ)アクション漫画である。キャッチコピーは「遅効性SF」「やがてその意味に気付く物語」。
とても面白い漫画なので、もし未読でこの記事に迷い込んでしまった方はこれを機に読んでみては如何だろうか。そして今も連載中なので、一緒に追おうではないか。
少年ジャンプ公式サイト『ワールドトリガー』より引用
https://www.shonenjump.com/j/rensai/world.html
ただし
「Twitterでワールドトリガー興味あるなぁ……。でもどうしよう、今から追いつけるかなぁ、」と呟いてみると、どこからともなくワートリヤ◯ザが現れて単行本フルセットを押し付けられてしまうかもしれないからくれぐれも注意してほしい。あなたのすぐ側にワ民(※ワールドトリガーの民)はいる。
ワールドトリガーの魅力については沢山の有志がプレゼンをされているので最早語るべきことでもないように思うが、筆者が一番ツボに嵌っているところは『膨大な設定と、それが生み出す想像の余地』にあると思う。
とにかく妄想もとい想像の種、不穏の種が随所に散りばめられており、この先の不吉な予感やわくわくする展開の予感を想像せざるを得ないのだ。
筆者がハイレインというキャラクターの沼に嵌まったのももれなく同じ理由だ。とにかくアフトクラトル周りは不穏の種のオンパレードである。どう転んでも悲しい結末になりそうな未来しか待っていない。希望が見えない。
尤も、この記事を読んでみようと思った稀有な人はそもそもワールドトリガー読者、しかも相当コアでマイナーな方だと思うので余計な御世話かもしれないが……。
ワールドトリガーとの出会い
ハイレインを語りたい。しかし筆者は焦らない。
なぜこんなnoteを書くまでに沼に嵌ってしまったのか、順を追って説明させていただこう。
筆者は少年ジャンプを小学生の頃から毎週購読している熱心な少年ジャンプ愛読者である(数年間離れた時期はあるが)。
当然、ワールドトリガーとの出会いは連載開始一話時点だ。
しかし当時は「普通に面白い漫画だな」と読んでいる程度で、まさか後々になってこんなnoteを書くレベルにまでどっぷりハマるとは思ってもみなかった。人生何が起こるか分かったものではない。
アフトクラトルとの出会い
今ハイレインと言うキャラクターの魅力を語るnoteを書いている現時点での筆者は、当然彼の出身国(というか統治国)であるアフトクラトルが好きで様々な妄想もとい想像を膨らませている。
しかし、初めからアフトクラトルに対してこのような目線で見ているかというと、否。
……というか、好意的な視線ですらなかった。
……さらに言えば、彼らが出てきた瞬間何か恥ずかしくなってしまって一旦ジャンプを閉じてしまった。
一体何が起こったのか?
アフトクラトルは、主人公たちの世界とは異なる近界という世界の国である。主人公に明確に敵対する初めての大規模な組織であり、作中において描写されるの初めての本格的な戦の相手である。
今まで戦ってきた自動で動く意思なき兵士、トリオン兵たちだけでなく本物の人間、『近界民』が敵として出てくる。
一体どんな敵なのだろう、やっぱりSF漫画だしサイバーサイバーしているのかなと、何とはなしに想像しつつもページをめくっていると、ある日突然彼らは現れた。
……。
………………。
どうしよう、いきなり何か始まったんだが……。
まず画面が黒い。とにかく黒い。着てる服も雰囲気も、おまけに枠まで黒い。作者である葦原先生の画風か、ワールドトリガーは比較的画面が白い印象があったのが一点。突如として物々しいよく分からない奴らがいっぱい現れたのである。
再掲するがなんだこの集団!? 明らかに異様である。
『ワールドトリガー 6』p67 より引用
よく分からない模様付きの黒マント、頭には角。おまけに謎の機械を囲んで円卓会議みたいなものが始まった。お前らは悪の組織か。いや悪の組織なんだけど! え!?
しかも『ククク……プレーン体(※)がやられたか……』『奴はラービット(※)の中でも最弱の一人……』『この程度の敵にやられるようではトリオン兵の面汚しよ……』みたいなことまで言っている。
ていうか玄界(ミデン)って何ですか!!!??? 勝手にこっちのこと変な名前で呼ぶの、そもそもその変なルビ振るのやめてください! 分からないことだらけで困ります!!!
※プレーン体: ラービットには様々なタイプが存在している。プレーン体は元となる一番オーソドックスなタイプ。
※ラービット: アフトクラトルが独自開発しているトリオン兵。A級でも一人だと苦戦する。スゴクツヨイ
なんだ。なんだこれは。
なんというか、そう、世界観。世界観が違う。
SFから一気にファンタジーに引き戻された筆者は、何だか恥ずかしくなってジャンプを閉じてしまったのだ。そして千載一遇のビックウェーブを逃したのである……。今考えると本当に口惜しいばかりである。
筆者はここで、ワールドトリガーを読むことをしばらく辞めてしまったのだ。
出会い再び
心の内なる獣、黒歴史がそうさせてしまったのか、なんだか心がとてもザワザワしてしまった筆者は、一旦ワールドトリガーを読むことを辞めて離れてしまった。そして伝説の「敵の位置を教えろ!」も当時の盛り上がりを体感することができなかったのである……。今思えば、本当に無念である。
ワ民ならば誰もが知っているであろう名シーン。当時の盛り上がりは凄かったそうだ。凄かったろうなぁ……。(筆者無念の未参加)
そして右側で走っているのが我らがハイレイン。ハイレインダッシュ。
『ワールドトリガー 9』p187 より引用
とはいえ、黒歴史は時間が経てば回復するもの。しばらくして、「そういえば最近読んでないな、また読もう」と何で読むのを辞めたかという理由すら忘れた(アホすぎる)筆者はしばらくしてまたワールドトリガーを手に取った。
うーむ、面白い。
めっちゃ面白いなこの漫画!!
連続で軽く3周はしました。めっちゃ筆者のツボに刺さりました。
何度も物語を読み込んでいくと、他の楽しみ方が出てくる。
単純に物語を楽しんで展開を追うだけではなく、個々のキャラクターに次第に注目し始める。
初めは主人公側を純粋に応援していたが、読むうちに戦う相手も意識するようになったりと、楽しみ方、視野が広がってくるのだ。
ワールドトリガーには沢山の魅力的なキャラクターがいる。最初はどれも皆同じくらい好きだった。強いて誰だろうと挙げるならと遊真とか、三輪さんとか、出水くん辺りが好きだったように思う。
しかし読む回数を重ねるうちに、いつの間にか筆者はハイレインが一番気になるキャラクターになってしまっていたのだ。
アフトクラトルの異様さ
ハイレイン本人のことを語りたいこと山々なのだが、まず彼の異様さを語る前にアフトクラトルの異様さを語ることにする。ハイレインを語る上で、彼の出身国であるアフトクラトルは外せないからだ。
しつこく2回も紹介してしまった登場シーンでも充分異様だということは多分伝わっていると思うが、改めてまとめさせて欲しい。というか、します。
それは何といっても「世界観の違い」、という言葉に集約されると思う。
まず第一に、彼らは紛れもない侵略国である。
彼らは他国を襲う。全てのエネルギー源、文明の根幹であるトリオンは人由来のエネルギーなので、人は文字通りの資源である。
よって敵国の人を攫い、自分の国戦争のために使うことに何の違和感も抱かないどころか、むしろそれが当たり前の世界観の中で生きている。
なかなかにえげつない台詞。それが淡々と語られるのもワールドトリガーの一つの魅力だと筆者は思う。
『ワールドトリガー 3』p13 より引用
近界最大級の軍事国家であるアフトクラトルは、そうして他国を踏み躙り自国の糧として暮らす。彼らは強者であるからして、自分たちが他国から資源奪うことは当たり前なのだ。
大航海時代の一歩手前の世界観だ。
現代の常識からしたらとんでもないが、彼らは彼らの世界の常識に従い生きている。それが彼らの当たり前なのである。
彼らの文明の根幹たるトリオン技術においては圧倒的強者だが、国家としての成熟度合いは現代でいうところの近代以前なのである。まずそこの構造にギャップがある。
帝国が現代にあるようなものなのだ。いや、かの有名なスターウォーズだって帝国があるから案外そういうものなのかもしれないが。May The Trion Be With You。トリオンと共にあらんことを。
この世界観の違いは、随所に現れる。
彼らの外見についてもそうだろう。
彼らの見た目の特異性は、身を包む黒マントの他に何と言っても角が挙げられる。
合法的角っ子の誕生である。いや、エグいが。というか、全然合法的じゃなかった。
『ワールドトリガー 7』p31 より引用
人間に角が生えているのである。
彼らの文明における重要なエネルギー源であるトリオン量を上げるために、人間そのものを改造しているのである。
今回進行してきたメンバー6人のうち、年配のウィザを覗き5人全員角付きである。もちろん、ハイレインもである。
遠征艇内のコマだと暗くて中々見えないが、ハイレインの角は黒い上に結構大きい。
司令官の立場であるはずのハイレインでさえも人体実験の対象になっている国、アフトクラトル
『ワールドトリガー 9』p171 より引用
通称『トリガー角(ホーン)』というらしいこの技術、中々に発展段階で危険だがお構いなしにガンガン人体実験されているのである。
これも、アフトクラトルが強国であるための措置としてまかり通ってしまっている。
そして作中で、実際にハイレインの部下の一人エネドラがこの角を付けられた影響で人格が歪み廃棄処理されてしまうシーンが登場する。
用済みと切り捨てられるエネドラ。作中でも屈指の衝撃的なシーンだと思う。
『ワールドトリガー 9』p35 より引用
これがもし現代の地球のどこかの国がやろうとしていた場合はどうなるだろうか。人権侵害だとして他国からバッシングされまくり、潰されるに違いないだろう。というかいやだ。筆者だったらそんな国に生まれたら絶対亡命する。怖い。
生まれ付き角のある民族ですー! とかではないのである。人為的なファンタジーである。アフトクラトルの異様さの一つの象徴とも言えるかもしれない。
これによって作中に登場する角付きは押し並べてこのリスクを背負っている想像をしてしまう。筆者の推しも、いやあるいは筆者の推しが大切にしている家族である弟、ランバネインもいずれはこうなるかもしれない。そんな展開を想像してしまうと……いやあゾクゾクしますね。今からワクワクが止まりませんよ!
更に彼らのものいいについても、その世界観を垣間見ることができる。
ボーダーの一人前の隊員でない訓練性たちをさして『雛鳥の群れ』という。
なんだその表現!?
『ワールドトリガー 6』p167, 168 より引用
いやいや待て待てどうなんだその表現は。なんだ『雛鳥の群れ』て。芝居劇の台詞かなんかか!? そんなこと言っていいのはFF9のクジャくらいだぞ。
ここでちょっと待ってほしい。こうは思わないだろうか。
彼らは異世界人、近界民なのだから、世界観が違うのは当たり前だ、と。
確かにそうかもしれない。というか筆者もそう思っていた。今後たくさんのファンタジー国が出てくるのだと。
しかし違ったのだ。
後に『ガロプラ』というアフトクラトルとは違う近界の国も登場してその考えは脆くも崩れ去ったのである。
彼らの遠征艇内は狭くてシステマチックで、いかにもSFモノの乗り物内にありそうな空間。多少服装が変とかはあるが、少なくとも、アフトクラトルの遠征艇内から醸し出される異様な雰囲気は感じ取れない。真っ黒マントも着てないし。
多少服装が変なガロプラさん
『ワールドトリガー 23』p118 より引用
ガロプラ遠征艇内。アフトクラトルの艇内と比較してみてほしい。SFモノらしく、普通にありそうな艇内だ。
『ワールドトリガー 23』p98 より引用
やっぱりファンタジーなのってアフトクラトル特有なんですね! 安心しました!!
やっぱりアフトクラトルは近界の中でも異様だったのだ。いやー、危ない危ない。危うく騙されるところだった。
まだまだある。ボーダー側に主人公の一人である雨取千佳ちゃんという、生まれつきトリオン量が莫大な子を発見した暁にはこんなことも言う。
「思いもがけず金の雛鳥か……」
『ワールドトリガー 7』p13 より引用
「……もしかすればここで 新しい神を拾えるかもしれない」
『ワールドトリガー 7』p14 より引用
もう駄目だ。やりたい放題である。
なんだ金の雛鳥て。なんだ新しい神て。何の話で何のこっちゃ!?? 今時のRPGの幕間で出てくる悪の組織ですらこんなことは言わないぞ。
想像してみてほしい。急に赤の他人が土足で勝手に家に入ってきて『金の雛鳥を渡してもらおう』と言ってくる様を。怖すぎるし、意味不明である。
このように、現代を舞台にしているにも関わらず圧倒的な『別世界の住民』感を突きつけ、凄まじい違和感とギャップを残していったアフトクラトル。
実は取り上げたい要素はこれに尽きない。アフトクラトルは10巻である程度の目的を果たして撤退して以降は最新刊の23巻に至るまでほとんど登場しない。そんな短い登場にもかかわらず、様々なインパクトを残していったアフトクラトルについてまだまだ語りたいところではある。ところではあるが、キリがないのでそれはまた機会があれば別の記事に書くことにして、次に行こう。
ハイレイン登場シーンのインパクト
随分と待たされてしまった。というか筆者が一方的に待たされた気分になっていたのだが、ようやくここからハイレイン本人について語っていこうと思う。
早速だが見てほしい。これが彼の登場シーンである。
ハイレインの出撃シーン。一見ファンシーでメルヘンだが、静けさも相まって異様な光景に見える。
『ワールドトリガー 8』p135 より引用
これである。
静けさの中に画面いっぱいに広がる真っ白な鳥たち。
一見して鳩(?)に餌をあげたらたかられている穏やかなおじさんとしての滑稽さもあり、何が始まるのか、何をしてくるのか分からない正体不明の不気味さと恐怖も持ち合わさっている不思議な光景だ。
同じアフトクラトルの隊員たちと比べても、明らかに異様な光景である。
実際に比較してみよう。
隊員であるヒュースとウィザの師弟コンビの例を挙げる。
ウィザの黒トリガー、アフトクラトルの国宝の一つ『星の杖(オルガノン)』
『ワールドトリガー 8』p23 より引用
ヒュースの磁力トリガー『蝶の楯(ランビリス)』。防御にも攻撃にも、そして搦手にも対応可能。
『ワールドトリガー 9』p43 より引用
ウィザは広範囲遠隔斬撃、ヒュースは磁力による攻防援護兼ね備えた万能型と、中々に正統派でかっこいい。
能力のお披露目は隊員である彼らが先だったので、筆者はこう思った。
そんな彼らを率いる隊長であるハイレインの能力、トリガーは「さぞかしカッコよくて強いものに違いない」……と。
蓋を開けてみればこれである。
がっかりしたのか? いや、そうではない。
むしろ「何なんだこいつは!?」 という強烈な関心を持って、筆者はハイレインをマークしてしまった。きっとハイレイン側もたまったものではないだろう。かわいそうに。
さあ、どんどんハイレインの魅力について語っていこうか、と思ったのだがここまで大分文字数を重ねていることに気がついた。
やばい何だこれ。いくらでも書けるぞ。
ここからが本番なのだが……仕方がない。今回はこの辺で勘弁しておいてあげようではないか。筆者は好きな食べ物は最後に食べ、嫌いな食べ物は絶対に手をつけないタイプなので、焦らずメインディッシュは後に回しておくことにしよう。
おわりに
いかがだったろうか。
ハイレインというキャラクターについて注目する機会は、ワールドトリガーを読んでいても中々ないと思う。
「わくわく動物野郎!」
「あーいたよね。敵の悪いやつ」
「黒トリのめっちゃ動物出す人だっけ?」
「ハイハイン?」
おそらく覚えていても、大半がこんなところではないだろうか。
このキャラクター、実に惜しいことに中々に注目する機会に恵まれないキャラクターと思う。
これはハイハイン。おいしい。
http://www.haihain.com/
筆者も初めは「敵のめっちゃ強い人」くらいの印象しかなかったが、読む回数を重ねるうちにどんどん気になり、目が離せなくなってしまった。
これを機に、あなたもハイレインというキャラクターに注目してみてはいかがだろうか。掘れば掘るほど唯一無二の味わいがある不思議なキャラクターなので、是非おすすめしたい。
この記事は筆者が書きたいことの序章なので、本番である考察パートを書きたいところだが筆者の僅かなトリオン量では続きを書けるかどうか不明である。 と思ったらできた(2021/8/5加筆)。
続きができたよ!
実は筆者はこの手の怪文書を執筆することに密かに憧れを抱いていたのでとても満足である。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
最後に、この記事を執筆するにあたって私に多大な影響を与えた記事を載せる。
私の中では勝手に「ベジータの教科書」と呼んでいるバイブルである。
「残忍だった頃のベジータの圧倒的キャラ立ちについて」上田啓太
https://manba.co.jp/manba_magazines/1614
見出し画像はmillowさん(https://twitter.com/milowscope)に描いていただきました。感謝。
シリーズ化してしまった。