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甘みの中の深さ
僕は中学2年生から3年生になる春、彼女がいた。
その彼女は隣町の中学校に通っていたとてもキュートな女の子で僕が今まで出会った女性の中で一番顔が小さい女の子だ。
顔は丸く、小さく鼻付近にあるキュートなホクロ、黒髪の長く艶のあるストレートヘアが特徴だった彼女を今でも昨日のことのように思い出す。
彼女は僕のファーストキスだった。
その当時はラインなどはなく、今で言うガラケーでメールをしていた。
携帯の通信制限があったため家のパソコンのメールアドレスも彼女に教えていた。
パソコンは父親のだったため、彼女のメールを僕以外の家族に見られないよう、苦労したのを思い出す。
13年たった今でも心に残ってる思い出だ。
そんな彼女とは喧嘩別れのような形で終わった。
その当時の僕は。女性関係にだらしなく、女の子を取っ替え引っ替えしていた。いろんな女の子にだって告白した。
いまだにその時の自分を後悔する。
その彼女との思い出といえば家の近くの大型スーパーで中学生ながら二人で食事に行った。
食事後、彼女のお母さんが合流し、買い物をしている最中にもかかわらず彼女は僕の手を握った。中学生の僕にはすごく刺激的でドキドキが止まらず心臓の音が彼女に聞こえるんじゃないか、と思うくらい高鳴っていた。
中学生ながら少し背伸びをして北千住や、原宿デートにだって行った。
原宿デートの帰り電車の中で後ろからハグされた。
ウブな中学2年男子にはかなり刺激的で、誰かに見られてるんじゃないか。
という羞恥心でいっぱいだったが、離れようとなんて微塵も考えなかった。
その彼女とは長く交際は続かず、数ヶ月で別れ、また付き合い、の繰り返しをし、最後は僕が大好きで振られてしまった。
僕は高校生活、専門学校生活でも引きずった。
彼女僕と別れた後、塾の先生と交際をしていた。
僕は必死に追いつこう、大人なろうと少し分厚い本を読んだり、ファッションを大人ぽくしたりしたが。。。
到底中学2年ウブな男子は大人になんかなれずずっと子供のままだった。
彼女は高校卒業後パティシエの道に進んだ。
とにかく努力家だった。
そんな彼女が作るケーキは絶品で、その中でもチョコレートケーキはどこか初恋を感じさせられた。
僕の個人的感情が多く含まれているかもしれないが、彼女のお家までトレーニングだ。と言って夜こっそり会いに行った夜を鮮明に思い出した。
彼女はどんどんとキャリアを積み、
今じゃ有名ショコラティエになっていた。
今日彼女が作ったチョコレートが特別に販売される。ということで買いに行ってきた。
もちろん彼女に会うのはとても緊張する。
でも今回は少し違った。もちろん緊張はするんだが恋心という面で見てなかった。
なんとも言葉にできない感情だった。
彼女の1ファンとして、彼女のプライドや努力を食べたい。という気持ちが何より強かったんだと、彼女を目の前にして知った。
そのチョコレートは優しさで口の中を包み込んでくれる反面、深さをすごく感じた。
甘すぎない大人のチョコレート。
恋心とチョコレートは少しほろ苦い方がいい。とはよく言ったものだ。
毎度彼女の作る洋菓子には影響を受ける。
今でもその彼女はすごく大切な人だし、大切な存在。
ライバルなのか、わからないが僕の心で思う彼女は、世間一般の言葉で表せられない特別な感情だった。