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Lesson71 自由とは、人の目を気にしないこと

「輝いていた時のことをイメージして」。
そう言われて、浮かんだ一枚の写真がある。

15年以上前、パリに留学していた時。
ルーブル美術館のピラミッドの近くの階段だったと思う。
真っ赤なコートを着て、振り向く私。
無防備に羽織ったコート。化粧もせず、無邪気に笑っている。
その弾けるような笑顔からは
喜びや解放感が伝わってきた。

ありのままで美しいなんて
幻想だと思うけれど
あの写真に写っている私は
夢や希望に溢れていて、それを隠すことなく魅力的だった。

今年の頭だったか。
服を探していたら、赤いコートを見つけて
あの時のことを思い出した。
赤いコートを買えば、あの時の自由さも戻ってくるのだろうか。

40代を目前にして、最近よく年齢のことを考える。
鏡を見て、老けたなぁとも思うし、
何かを買う時に「いい歳して」って言葉が浮かぶ時もある。

何日も迷っているうちに、赤いコートは売れてしまった。

長いこと、取り戻したいと考えている、あの頃の自由さ。
あの頃のエネルギー。
なくなってしまったわけではなく、私の奥底には確かにあって。

何度も現れて、見えているのに
私は手に取るのがこわい。
取り戻したい気持ちは嘘じゃないのに
年齢や体力のせいにして、変化を恐れていた。

私にとっての自由は、年齢とか、周りの目とか、
そんなことに縛られずに、自分がほしいものを手に入れること。
常識とか、普通とか、そんなもの忘れてる状態。
40代になるならば、あえて年齢を忘れてみるのもいいかもしれない。

一度きりの人生。
もっと欲張りたいし、もっと楽しみたい。

今年の冬は、赤いコートを買おうと思う。

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