THEFIRST 古家蘭という存在
そんなに真面目に見ていたわけではなかった。
出勤前には大抵準備しながらテレビを流してるし、元々海外のオーディション番組がわりと好きで、見ながら『この子いいなぁ』とか『この人残るといいなぁ』とか応援するとともに勝手に審査員になった気持ちで好みの参加者を選ぶのを楽しむのが好きだったから。
実はSKY-HIさんが誰なのか最初よく知らなかったし(ごめんなさい)
NiziUのボーイズバージョンを日本人がやるくらいにしか見てなかった。
なんとなく残ってほしい!とずっと思っていた参加者がメンバー外になったその瞬間。
その時の喪失感を忘れることはできない。
『失う』ということ。
生きてきた中でこんなことに敏感になってしまうのは、いろんなモノを失った1年半を過ごしてきたからかもしれない。
自由にどこかへ出かける。
会いたい人に会う。
人生をかけてもいいと思っている事を思うようにできなくなった世界。
コロナは世界中を変貌させた。
失ったモノは、計り知れない。
同時にそれを思う存分できていたほんの数年前の出来事がキラキラと煌めいて、まぶしくて、貴重な時を過ごしていたことに気づく。
ここへきて、また大切に思うモノを失ったような気持ちの既視感。
それくらい彼が堕ちたときはショックだった。
人生で敗北とか挫折とか負けることは、何度も訪れる。何度も。何度も。
目の前にタイトルが見えたとき、それを掴みとれなかったときの失望感。
ジャンルは違うけれど、似たような体験を何度もしてきて、気持ちは想像がつく。
自分も何度もそれを見てきた。
その瞬間を全国放送されているのだ。
目の前にはメンバーに選ばれた勝者がいる。これほど残酷な映像ってない。
涙が止まらなかった。
受かるって信じていたから。
でも、選ばれなかった。
デビューメンバーに入れていたら、こんな気持ちになっていなかったかもしれない。
そういう人はワタシだけではないんじゃないかな。と思う。
そんなことまで番組や社長は考えているのかもしれないと、思ってしまうことすらあった。
選ばれなかったというショック。同時に違う形で事務所には残ることができた喜び。喜びは正直その時は少なかったけど(笑)
音楽や芸能の世界のことは全くわからない自分がいいと思う『何かを持ってる人』なので、どんな形かはわからないけれど、必ずまた表舞台に立つ日がくることだけを信じてその日は仕事に向かった。
その日からなぜ外されたのか?について
『 Why?』が消えない数日を過ごしているうちに、頭から彼のことが離れなくなってしまった。
YouTubeを見まくり、Huluを最初から全部みて、事務所の会員になり、何があったのかを遡って読みまくった。
答えは正直わからない。
いろんな説を自分なりに仮説してみたけれど、『実力不足』という言葉では収まりきらないので、
『彼は1人でも稼げるから』という雑な言葉で自分を納得させることにした。
その時から1ヶ月。
想像していた以上に自分の世界も変わった。
音楽にまた触れあう生活。
それはちょっと驚くほど鮮やかに世界が広がった気持ちになる出来事だった。
東京へ出かけるということが深い罪のような生活をしていたけれど、勇気をだして渋谷のタワレコに行き、堰を切ったかのように止められなくなり自分の中の何かが動き出した。
暗闇に閉じ込められるような生活をみんながしてきた。
それまでやってきた普通は全部否定され、新しい生活を求められて、探り探り生きてきた。みんなが生き残るために。
今もまだ何をするにも、何も考えずに行動することは難しいけれど、少なくとも風穴が開いたというか、楽しみながら生きてもいいのだと自分を許せるような気持ちになりつつある。
人生観すら変えてしまうほどの衝撃をワタシは受けた(ちょっと大袈裟だけど)
自分が受けた衝撃により生活がどう変化したのかは、またの機会に。
挫折とか負けるとか、落ち込むことは、成功し続けることよりも、人生に与える影響は大きい。
全て順調に進んでいたら、気づかなかった大切なモノを見つけることができる。
見つけられたと今は信じていたい。
この1ヶ月1人でずっと考えていたことだけど、何か忘れたくなくて、残そうと思ってこの方法を取ろうと思った。
残すことで、気持ちが整う気がするし、もしも、これを誰かが読むようなことがあって、微かにでも共感するような人がいたら、それはそれで嬉しい。
止まらないくらいの想いが溢れてきたのが、久しぶりだから、これは大切にしたい。
たとえそれが一瞬で消えてしまうような泡のようなモノだとしても、キラキラした感動を残しておきたい。
言葉を残す大切さも教えてくれたことに感謝。
by torokumamon