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私が統合失調症になってからの来歴

皆さんこんにちは。

今回は、私が統合失調症を発症してからこれまでの来歴について書いていこうと思います。
プロフィールにも思いっきり「統合失調症」と書いていますし、もしかしたら私がどんな症状を経てきたのか気になる方もいらっしゃるかもしれません。
何よりも、私自身が自分の病気について振り返る良い機会となりそうなので、この場を借りて書いてみることにしました。

※なお、プロフィールには「強迫性障害」と「ASD」とも記載していますが、それらについてはまた別の機会に書かせていただこうと思っています


統合失調症とは?

ただ、統合失調症と言ってもどんな病気なのかよくは知らないという方もいらっしゃるかもしれませんので、本編に入る前に簡単に統合失調症の概要に触れておきます。

統合失調症は、こころや考えなどがまとまりを欠いた状態になる病気です。そのため行動や気分、人間関係などに様々な影響が出ます。100人に1人くらいがかかるといわれていて、それほど珍しい病気ではありません。早めに治療するほど症状が重くなりにくいといわれているので、早期発見と早期治療が大切です。

厚生労働省 こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~

引用にもあるように、統合失調症は「こころや考えなどがまとまらなくなってしまう」病気だということが分かりますね。

具体的にどういった症状が出るかと言うと、統合失調症の主たる症状としては「陽性症状」と「陰性症状」が挙げられます。

「陽性症状」とは、健康な時にはなかったものが現れる症状のことで、主に「幻覚」と「妄想」のことです。

「幻覚」は、実際には存在しないはずのものが知覚(見えたり聞こえたり臭ったり)されるもので、中でも「幻聴」は多く見られるようです。
たとえば、誰もいないのに(あるいは誰かいても何も言われていないのに)自分に対する悪口が聞こえてくる、といった状態ですね。

「妄想」は、明らかに誤った内容を信じ込んでしまっていて、周りの人が訂正しようとしても受け入れられない状態のことです。
妄想の例を挙げるなら、「今通り過ぎて行ったあの人は自分を憎んでいる人が放った刺客で、計画的に自分を破滅に追い込もうと動いている」とか「世界中の人が自分を何らかの手段で常に監視していて、皆で自分を笑いものにしている」といった感じでしょうか(あくまで例です)。

これらの症状は特に目立ったものとして現れるため、統合失調症と聞けば上記のような症状をイメージする方も多いかと思います。

一方で、「陰性症状」は上記とは違った様相を呈します。

たとえば、意欲が低下して無気力になったり、感情の起伏が乏しくなっていつも無表情になったりといった症状が現れます。
言わばエネルギーが枯渇したような状態になり、そこから引きこもりがちになってしまう場合も少なくありません。
つまり、健康な時にはあったもの(意欲や感情表現など)が失われるのが陰性症状と言えるでしょう。

こちらについては当事者以外の方にはイメージしにくいかと思いますが、紛れもなく統合失調症の悩ましい症状の一つです。

そしてもう一つ代表的な症状として知られるのが「認知機能障害」です。
こちらは、記憶力や判断力、集中力と行った知的な能力が低下する症状で、物覚えが悪くなったり、特定の対象に注意を向け続けることが難しくなったりするようです。

以上のような症状が現れるのが統合失調症で、基本的には薬物による治療が行われ、それに加えて精神療法やリハビリテーションといった心理社会的な治療が行われます。

発症から診断・通院開始まで

病気の概要説明だけで既に長くなっている気がしますが、ここからが本題(!)です。

まずは、私が統合失調症を発症してから診断を受けるまでの経緯についてお話ししていきたいと思います。

覚えている限りでは、症状が出始めたのは2009年末頃で、私が大学生の時ですね。
きっかけは全く覚えておらず、何故か突然「自分は誰かにいつも監視されている」と思うようになり、その考えが頭から離れなくなりました。
具体的には、「自宅(の私の部屋を中心)に監視カメラや盗聴器が仕掛けられていて、自宅でのプライベートが誰かに筒抜けになっている」といったようなものでした。
統合失調症の症状に当てはめて言うと、陽性症状の妄想の一種である「注察妄想」に該当すると思われます。

注察妄想:常に誰かに見張られていると思い込む。「近隣住民が常に自分を見張っている」「盗聴器で盗聴されている」「思考盗聴されている」「監視カメラで監視されている」などと思い込む。

Wikipedia:統合失調症

まさに、当時の私の症状そのまんまですね。

そこから妄想の内容はさらに発展し、

・(知り合いの中で)特定の人物が犯人ではないかと思い込む(その対象は時々変わる)
・犯人が私に関して撮影・盗聴したものをネタに、脅迫行為をしてくるのではないかと懸念する
・隠し撮りされた私の画像や映像があちこちにばら撒かれているかもしれないと、本気で心配する

といった思考に陥っており、その詳細なストーリーまで妄想で組み立てていました。
加えて、暇さえあれば盗撮・盗聴防止関連のサイトなどを片っ端から見て、しまいには通販で盗撮カメラや盗聴器を発見するための機器まで購入してしまいました(と言ってもプロが使うような本格的なものではなく、学生でも買える安物でしたが)。
それを用いて家中隈なく調べましたが、怪しい反応は一切ありませんでした。
しかしそれでも完全に安心することはできず、結局前述の妄想が私の中から消えることはありませんでした。
怪しいものが出てこなかったという結果が分かったところで、「この機器が反応しない類のものが仕掛けられているかもしれない」という思考に切り替わってしまいましたので。

という感じで、当時はそんな強固な妄想に取りつかれた状態で残りの大学生活を送っていたわけです。

ただ、私の場合はそれでもまだ比較的症状が軽かったのか、その思い込んでいる内容を周囲に話したり、支離滅裂な言動を見せたりすることは(自覚している限りでは)なかったので、誰からも「なんか最近ちょっとおかしいよ?」などと指摘されることはありませんでした(それが結果的に病気だと気づくのを遅らせたのかもしれません)。

しかし、問題だったのは、大事な場面でも例の妄想が頭の中を駆け巡っていたことです(大事な場面というのは、たとえば大学における定期試験やゼミでの発表、就職活動時の採用試験等です)。
ただでさえ緊張しやすい性格なのに、目の前の大事な物事と妄想の内容が頭の中で溢れ返ってこんがらがり、過度の精神的負担を強いられて思うようなパフォーマンスができない、といった場面が多々あったのです。

当然、新卒での就職活動も上手くいきませんでした。

その後、大学を卒業した年の終わり頃になって、このままの状態が続くと本当にどうにかなりそうだと思い、ようやくメンタルクリニックの門を叩いたのです。
別の精神疾患を持っていた幼馴染が以前から通っていて、評判が良いと聞かされていたクリニックです。
そのクリニックにて、何度かの診察と心理テスト等の検査を経て(もちろん妄想の内容等も詳細に話して)、「統合失調症」との診断を受けました。

通院開始から長期療養期間まで

通院を開始してから、すぐに薬が処方されました。

メインの治療薬となる抗精神病薬と副作用止めが出され、加えて不安感が強かったため抗不安薬も処方されました。
精神系の薬を服用するのは初めてだったので正直抵抗はありましたが、そんな事を言っている余裕もなかったので、ひとまず指示通りにしばらく薬を飲み続けました。

細かい記憶ははっきりしていないのですが、飲み始めて1~2ヶ月ほど経った頃、あれほど私を苦しめていた注察妄想がかなり収まったように思いました。
これといった副作用もなく(後に色々ありましたが)、幸い処方された薬が私に合っていたのかもしれません。
それ以前に、統合失調症に対する最近の抗精神病薬は「陽性症状」には優れた効力を発揮するため、その例に漏れずきちんと薬が効いてくれたようです。

ただ、陽性症状がある程度収まったのは良いものの、今度は「陰性症状」が強く出るようになりました。
陰性症状と言っても様々な症状がありますが、私の場合は、気力や活動力の低下、疲れやすさの増大、無関心、引きこもり傾向などが見られました。
特に気力・活動力の低下は著しく、一日の半分以上は寝ている状態がおよそ半年ほぼ毎日続いていました。

それでも、最近の抗精神病薬は陰性症状にもある程度効果があるようで、半年以上はかかったものの、2014年の夏頃には就労に向けた活動ができるほどに回復しました。
程なくして、障害者雇用を前提にした上で段階を踏んで就労を目指そうという意図もあり、精神障害者保健福祉手帳を取得し、就労移行支援を利用することにしたのです。

そんなわけで、通院は定期的に続けながら支援事業所に通う日々が始まりました。
事業所での日々は、実務的な内容から対人関係まで色々なスキルを身に付けられて勉強になりました。
また人間関係の面でも、有り難いことにスタッフさんや多くの他のメンバーの方に好くしていただき、大きなストレスを感じることなく通所することができました。

が、唯一にして最大の問題だったのが私の体調面でした。

基本的に週5日の通所だったのですが、元々身体が弱いことも相まって頻繁に体調を崩し、度々欠席をしていました。
雇用されているわけではないので欠席に関してはそんなに厳しくはありませんでしたが、自分としては情けない気持ちになりました。
それでも長期的に休むようなことはなく通所を続け、しばらくして就労に向けた活動にも取り組み始めました。
しかし残念ながら良い結果は出せず、体調面でも相変わらず不安定な状態が続いていました。

そして、気付けば就労移行支援の利用期限である2年(事情によっては1年の延長が可能)が経とうとしていました。
そこで、メンタルクリニックの主治医や事業所のスタッフさんとも話し合った上で、体調面も考慮し、就労継続支援A型を受けることになりました。
就労継続支援A型事業所は雇用契約を結ぶため、一応は労働者になるわけですが、障害福祉サービスでもあります。
そのため、一般企業等の障害者枠と比べても配慮が行き届いているので、当時の自分には適していると考えました。

移行支援事業所を退所した月の翌月から、気持ちを新たにA型事業所への通所を始めました。
仕事は最初こそ戸惑うこともありましたが、比較的早く慣れて無難にこなすことができるようになりました。
人間関係についても、当然ながら初対面の方ばかりでしたが、皆優しくすぐに打ち解けることができました。
ただ体調面は相変わらず不安定で、やはり時折欠勤することもありましたが、移行支援の頃ほどではなかったため何とか通うことができていました。
よって、当分の間はそのA型事業所に通い続けて体調面も含めてある程度社会生活に慣れた上で、一般企業等の障害者枠でフルタイムで働くことも検討しよう、という心づもりで通所を続けました。

しかし、そう順調にいくほど現実は甘くなかったようで、上記の見通しは打ち砕かれてしまいました。
A型事業所に入った翌年の春頃、それまで少しずつ蓄積していた鬱憤やストレスなどがある出来事をきっかけに爆発してしまったのです(詳細については、恐らくあまりに精神状態が乱れていた故に記憶が曖昧なため、申し訳ありませんが割愛させていただきます)。
結果、かつてない程精神的に不安定な状態に陥り、自傷行為に走ったり、(家族等を除く)あらゆる人との連絡手段を遮断したり、所有していた各種アカウントを抹消したり・・・といった普段の私では有り得ないような行動を次々に起こしてしまいました。
そして、そのままの流れでA型事業所をあえなく退所という結果になりました。

それからしばらくはかなり不安定でふさぎ込んだ状態が続き、とても就労を考えられる状態ではなかったため、2017年の春からおよそ3年半に及ぶ療養生活が始まったのです。

夏頃になると、上記の不安定な状態は幾分か落ち着いてきて、少しずつ趣味の活動や好きな事をするくらいの余裕は出てきました。
とは言え、当時は無職で暇を持て余していたこともあって、何か日中活動ができる所でもあればいいのにと思っていました。
そこで思い出したのが、かなり前に主治医が言っていた「地域活動支援センター」の存在です(以下「地活」)。
当時私が住んでいた市の隣の市に良さそうな地活があったため、思い切って足を運んでみることにしたのです(なおその地活はⅠ型です)。

見学に行った日に、ひとまず利用登録だけはしました。
しかしながら、職員さんも利用者の方も当然ながら全員初対面で慣れない所でしたので、行ってすぐに馴染むことはできませんでした。
加えて、当時の住まいからその地活までは通うのに結構な時間がかかったため、2、3度行っただけで足が遠のいてしまいました。

「結局そこも居場所にはならなかったか・・・」と落胆していましたが、その頃から、我が家ではその地活がある市へ引越しをするという話が持ち上がっていました。
地活の件とは全く関係ない事情によるものでしたけどね。
そして、その引越し先の住まいがなんと、例の地活からかなり近い所だったのです。
近くなら割と気軽に行けますし、これは嬉しい偶然でした。

引越しが終わってからは再度地活に足を運ぶようになり、少しずつですが仲良くお話しできる人も増えてきて、それからは足繁く通うようになりました。
2018年の終わり頃~2019年初頭のことでした。

そういうわけで、当分の間は週に2~3日ほど地活を訪れる日々を過ごしていました。
2020年春頃にはまた大きく体調を崩すこともあったのですが、薬の変更等を経て何とかそこから立ち直り、再度就労の事を考えられる程度には回復しました。

A型事業所通所開始から強迫性障害発症まで

2020年も夏の盛りを迎えた頃、病気をして以降では一番と言ってもいいほど体調は良くなっていました。
上に薬を変更した旨を書きましたが、この変更した後の薬が私に非常に合っていたようです。

就労するにあたっては、私は当初からオープンで行こうと思っていたので、選択肢は一般企業等の障害者雇用かA型事業所になるわけですが、約3年半のブランクがある状態でいきなり一般雇用でやっていける自信はなかったため、A型事業所に絞って求人を探しました。

すると、タイミングのいいことに、私の希望する条件をほぼ全て満たした事業所の求人を見つけたので、早速ハローワークに行ってまずは見学の申し込みをしました。

それから体験利用を経て、やはり「ここに行きたい!」という気持ちは変わらなかったので、その後面接を受けて無事採用となり、その事業所への通所を開始しました。

その事業所は、当時はまだ新しく開所したばかりだったため初めは手探りの部分も見受けられましたが、可能な限りの配慮をしてくれましたし、こちらの就業条件等の希望もできる限り通してくれたため、とても働きやすい環境でした。
また、当時はコロナ禍真っただ中ということもあり、在宅での勤務がメインとなっていて(業務内容や本人の希望等により出勤する場合もありましたが)、私個人としては毎回通勤しなくていいのは楽でした。
業務内容も、たまたまではありますが私の所持している資格を活かせるものがあったりして、自分に合った事業所を選ぶことができたと思っています。

そんな感じで、体調を崩して休むこともなく順調に通所できていたのですが、通所を開始して1年と少し経った頃思わぬ事態が起こりました。

私に強迫性障害の症状が現れるようになったのです。

この時に出るようになった症状をざっと挙げると、

・自宅の戸締りを何度も確認する
・ごみを捨てる時に何か大事な物を捨てていないか何度も確認する
・水道の蛇口から水が出ていないか何度も確認する
・外を出歩いている時に何か物を落としていないか何度も振り返って確認する
・外出した先から帰る際忘れ物をしていないかどうかの確認に長時間かかる
・自分の持っている端末(PCやスマホ等)で自分の知らないうちに何かおかしな事をしていないか何度も確認する

といったものでした。

これらの症状が生活する上で気にならない程度に留まるならよかったのですが、困ったことに、仕事中にも上記のものを含めて業務とは全く関係ない事が強迫観念を伴うくらい気になるような時が度々あったのです。

しばらく様子を見ていましたが改善する気配がなかったため、やむを得ず事業所の管理者の方に休職を申し出ることにしました。

休職期間中は、薬の服用に並行して専門の方のカウンセリングなどを受け、事業所の方とも時折連絡を取っていて、自分としては当初は復帰するつもりでいたのですが、2ヶ月ほど休職しても症状はほとんど改善しなかったので、結局退職という形となりました。

というわけで、またもや体調を崩して退職する羽目になってしまったわけですが、今までのところその事業所が私が最後に勤めた職場ということになります(ちなみにその事業所は私が辞めた年の末頃に潰れました・・・)。

そして現在は、薬を変更したりして試行錯誤した結果、今の私の症状にある程度効く薬が見つかったため、それを服用して様子を見ているところです。
ただ、その薬をもってしても私の症状を完全に抑えることはできていないので、未だ強迫性障害の症状と闘いながら日々を過ごしているのが現状です。

なお、この強迫性障害の症状については、主治医や臨床心理士の方が言うには「統合失調症の症状がより軽い形になって出てくるようになった」とのことですが、これは私の統合失調症は一応は軽くなっていると捉えていいんでしょうかね・・・?
それと、先日の診察で主治医から私の状態が「うつ病のグレーゾーン」とも言われたので、そちらも気になるところですね。

といったようにいくつか疑問も残りましたが、これらの事も含めて強迫性障害を軸にした来歴についてもいずれ別の記事でお話しさせていただくつもりです。

終わりに

以上、大変長くなりましたが、私の統合失調症発症から現在までの来歴を書かせていただきました。

終盤の方を読んでも分かるように、最近は強迫性障害の症状の方が主に出ていて、現在統合失調症の際立った症状(特に陽性症状)が出ることは滅多になくなりました。
もちろんそれは喜ばしいことなのですが、一つ調子が良くなったと思ったら今度は別の不調が出てきたりして、こういった病気の難しさを痛感させられます。

今後も引き続き治療を続けていくことになるでしょうが、少しでも良い状態に回復することを願うばかりです。

最後になりますが、統合失調症の患者はおよそ「100人に1人」と言われるようになって久しくなりました。
この病気を抱えた多くの方がそれぞれの症状に悩み、それぞれの一方ならぬ状況に翻弄されていることと思います。
もちろん私もその一人です。
その複雑さ故に周囲に理解されない場合もあるばかりか、時には自分ですら自分のことが解らなくなる時がある方もいらっしゃることでしょう。
残念ながら、私には「負けずに頑張ろう!」と言えるほどの強さもそれを裏付けるだけの経験・知識もありません。
ですが、私の体験から「こういう事例もあるんだな」と一つの参考例として、皆さんの引き出しのほんの片隅にでも転がしておいていただければ幸いです。

大変長い中ここまで読んでいただいて、本当にありがとうございました。

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