重みよりエモみ〜「ソウルパワー」レビュー(ネタバレ
モハメド・アリとジョージ・フォアマンの伝説のファイトに先立ち、ザイール(現.コンゴ民主共和国)の首都・キンシャサで開催された音楽祭のドキュメンタリー
1974年に撮影されてから時が流れに流れ、2008年(日本語字幕版は2010年)に完成・公開された音楽祭メインの映像です
奇しくも同じ2006年に旅立ったアリとJBへの鎮魂ムービーと言えるでしょう
尚、アリをメインにしたドキュメンタリーは1996年に完成・公開(音楽祭シーンも少々
フォアマンの怪我で試合が延期され、その間アーティストやスタッフ達も拘束され、回し続けたフィルムは膨大な数に上るとかで…何とかして全編観ることは出来ないものか😭
音楽祭の主役は勿論ジェームズ・ブラウン(以下JB)
彼を筆頭に'70年代をときめくblack music のアーティストが集結してゴージャスに盛り上げます
恥ずかしながらこの作品で殆ど初見のJB(41歳)は多少の演出を差し引いても大人でカッコイイ✨
そんな今作のテーマは一貫して“ルーツ(母なるアフリカ)”への想い
アリもJBも参加アーティストもアフリカンアメリカンなので十分説得力はあります
が、同時に対戦相手のフォアマンもアフリカンアメリカンで、何なら経歴に於けるインパクトはアリ以上かもしれない…
でもアリには“かつての王者が挑戦者としてリングに立つ”というドラマ性と圧倒的なスター性があるのでした
そんなアリが(演出込みで)大口を叩くのもこの作品の見どころかもしれません
音楽界のトップスターに対して「白人プロデューサーやスポンサーの言いなりで満足しているのか?」と突き付けるのですが、本作の制作・スタッフも白人というのが何ともチャーミング🎀
肝の音楽祭も一流アーティストの競演に眼福・耳福です
楽屋裏のお茶目な一面もしっかり捉えられていて、チャーター機に乗り込む前からプチ音楽祭が始まっている辺りはエモかわの極み♪
トリを飾るJBのステージは誰よりもエネルギッシュで圧巻!
そして私がこの作品を推す最大の理由は愛するスピナーズがフィーチャーされている点✨ 決して贔屓目ではなく使われているシーンが多い!
個人名こそアナウンスされていませんが「スピナーズ=フィリップ」という構図が一目で分かる編集に、早逝したフィリップへのリスペクトも汲み取れて胸熱🔥
膨大な量のフィルムが残る中でこうした編集が為された背景には、公開当時健在だったボビーとヘンリーの想いも少なからず乗っているのではないかと思います
同い年のアリとフィリップの子供っぽい口撃から始まる公開スパーリング&期待と不安の入り混じった眼差しで見守るメンバーの画には思わずふふっとなってしまいますね
…と最後はやはり俺得案件で締めるのが私のスタイルでございます(ドヤ
Spinners/One of a Kind(Love Affair)/Zaire '74