バッハ「フーガの技法」の活用方法を考えてみた

先日、バッハ「フーガの技法」の楽譜(ピアノソロ完全運指版)を買いました。私がこの曲をピアノで弾ける、というわけではないのですが、ただ漫然と音楽を聴いているよりも、楽譜を見ながら聴いた方が何か発見があるかと思い、音楽のお勉強と思って購入した次第です。今のところ、「フーガの技法」の解説書や対位法の本などは用いずに、各曲を順番に聴きながら日々、ピアノ譜を眺めています。

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楽譜を見ていて気づいたのは、全ての曲がニ短調で書かれているということ。ニ短調というと♭(フラット)が1つ。譜読みがまったく得意でない自分にはちょうど良いなと感じました(ちなみに、あの有名な「トッカータとフーガ」も二短調)

各曲の主題は似ているというか違っているというか…。「伝言ゲーム」でもやって、途中の人がちょっとずつ間違う中で、変化してでてきたoutput、という感じでしょうか。

主題を出発点とし、それを囲む周辺のフレーズがまるで季節や天候が違う時の海の波のような、さまざまな差異の中に巻き込まれていくその結果、それぞれに違う曲に仕上がっていきます。
いかにバリエーションをつけて曲を豊かに展開させていくか?というところに、バッハの職人技の凄さを思い知らされる作品です。

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専門的な音楽教育を受けたわけではないので、詳しいことは何もわかりませんが、すこしだけこの曲の構成について触れてさせていただきます。

まず、楽譜本の冒頭にあった解説を読みますと、それぞれのテーマは12音で構成されているとのこと。12という数字はキリスト教では重要な数字だそうです。こういった制約事項(縛り)をあらかじめ決めておくと曲のネタ出しするときに良さそうに感じました。

いろいろなタイプの曲がありますが、例えばコントラプンクトゥス1は大まかに3音のポリフォニーで構成されています。だいたい4小節ずつくらいのフレーズに区切って眺めてみると、それぞれに似ていたり違っていたりして、どこか生物の構造を顕微鏡で見ているような気分になって面白いです。

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さて、せっかく「フーガの技法」の楽譜を入手したので、これを音楽の演奏能力の向上や理解を深めるために、何か役立てたいと考えています。

<思いついた活用法>
①譜読みの練習(→譜読み能力の向上)
 テンポを実際の半分くらいにして、自分の口で音名を歌ってみる
②フレーズの学習(→作曲ネタの蓄積)
 ひとかたまり4小節ずつくらいのフレーズの抜き出してみる。
 弾いてみたり譜面に書き出して分析したりしてみる。
③縦の音の間隔に着目する(→和声感覚を養う)
 縦にならんだ音の間隔を調べて、瞬間的に生じるコード感について考えてみる

こんなところしょうか?ミクロに見てもマクロに見たときと同様の構造がある、フラクタル的な構造を持った音楽なので、どこをどう切り取っても何か得るところがあるように感じています。まだ楽譜を読み始めたばかりですが、(飽きずに)末長く取り組んでいきたいと思っています。