ライブレポ:GMO SONIC 2025
GMOインターネットグループがクリエイティブマンとタッグを組んでおくる大型音楽フェスティバル GMO SONIC 。2023年の初開催から今回で3回目、ユースカルチャー支援を銘打つだけあって、会場となるさいたまスーパーアリーナには今年も多くの若者が集まり、1月の寒さを忘れる盛り上がりを見せました。自分もEDMのライブでしか味わえない ‟楽しさ” を求めて今年も2日間参戦ぶちかましてきました。GMO SONIC 2025 のライブレポです。
3回目にして限界突破したメンツ
初開催からその豪華なラインナップで注目されてきたGMO SONIC。初開催の2023年には Marshmello や Steve Aoki、The Chainsmokers や Armin Van Buuren とEDMのトップスターたちを終結させ華々しいスタートを切ると、続く2024年 Zedd や Kygo といったEDMアーティストに加え Black Eyed Peas と世界的ポップグループが出演し話題を呼びました。さらに日本人アイドルグループやK-POPアーティストも多数出演するなど、この2年ですでに幅広いラインナップを見せてきました。
そして3回目となる今回、ヘッドライナーは、EDMの垣根を飛び越えて業界全体で活躍し、世界中のフェスでヘッドライナーを務めてきた実力派DJ Skrillex と、DJ Mag によるDJランキングで5度の1位を獲得するなど、言わずと知れたEDM界のスーパースター Martin Garrix 。さらに脇を固めるのは、ラスベガスに創設された球体型ライブ会場 sphere でのパフォーマンスが話題となっている Anyma や、韓国に生まれ今や世界中のクラブシーンで重宝されるダンス界のニュークイーン Peggy Gou といった新時代のDJ達。さらに大人気 K-POPグループ BLACKPINK のメンバー ROSÉ がスペシャルゲストとして出演するなど例年通りK-POP界からもスターの名前があがります。しかし、今年のラインナップでひときわ異彩を放つ存在が1つ、ケンドリックやフューチャーなど、これまで名だたるヒップホップ・アーティストの作品を手掛け ‟世界で最も需要のあるヒットメーカー” とも評されるヒップホップ・プロデューサー Metro Buumin 。3回目にしてヒップホップ畑のアーティストを読んだかと思えばいきなりこのレベルかいと笑、イベントの性質上あの並びなのは仕方ないですが、間違いなくラインナップで一番のビッグネームでしょう。まさか日本でメトロのライブを見る日が来るとは思ってもいなかったので、今回の貴重な体験はまさに必見でしたね。
Day 1
Peggy Gou
一昨年、去年の感じを見て後ろ3人以外はK-POPやアイドルになるかと勝手に決めつけて飛行機を予約したせいで Hamdi に間に合わないという大失態を犯しつつも Peggy Gou のステージにはぎりセーフで間に合いました。
彼女はこれまでウルトラやフジロックに出演してきましたが、どちらも行ってたけど見れてないとすれ違ってばかりだったのでGMOでようやく拝めました。クラブシーンを代表するニュークイーンの完成されたハウス・サウンドに終始踊らされました。Nanana で踊るという念願も叶って自分にとってはトップバッターだったこともあり、ここから始まる2日間に向けて気持ちよいスタートが切れましたね。
Anyma
GMOの今年のステージは、3回目にして巨大なスクリーン1枚とシンプルかつ大胆なセットで、これまでステージ中央に鎮座していた熊ちゃんもお留守番です。
ここまでくるともはやこいつの為に用意されたといっても過言ではないステージ、そんな主催者と参加者の両方の期待に応えるが如く Anyma のステージは、音と映像でオーディエンスに圧倒的没入感を与え ‟アニマワールド” へ引き込んで離しません。GMOではあの映像がないんじゃないかといった説もありましたが、蓋を開ければ2日間の中でも明らかに頭一つ抜けた映像演出。理解不能の映像美と洗練されたメロディアステクノで、まさにEDMの新時代を体感させられました。
Skrillex
第1段発表で Anyma の名前がでてヘッドライナーにしては攻めすぎじゃね?と不安に思ってたましたが、後に最強のカードがめくられました。
2024年のグラミー賞でダンス/エレクトロニック・レコーディング賞を受賞し、その後多くのフェスをヘッドライナーとして盛り上げてきた彼がGMOにもヘッドライナーとして出演。Anyma のステージとは対照的にロゴしか写らないスクリーン、本人にも照明をあてず余分なものはそぎ落としたまさに音特化のステージを披露。超絶技巧の変態DJによってオーディエンスは熱狂に次ぐ熱狂、予測不能のセットリストでアンセム級のヒット曲も突然ぶっこんできて休むすきを与えてくれません笑。さらにヘッドライナーだけあってプラチナエリア前方はガチ勢で構成されており、最新曲から往年のヒット曲まで何でも対応可能で熱が冷めることはありません。アーティストとオーディエンス両方で作り上げた至極の時間でした。
さいたまスーパーアリーナという大きな会場で強大なスクリーンがありながらも、DJプレイだけで魅せきってしまえる変態技巧に改めて感服しました。キャリアの中で常に変化してきた音楽性、その中で生まれた多様な楽曲を100分のセットでさばき切るそのスキルは、数多くのDJのなかでも唯一無二のものでしょう。多くのEDMアーティストがDJと言えどもある程度は固定の流れを持っているのに対し、Skrillex は常に変化するセットリストで何が流れるかか直前まで分からないこともしばしば笑。ドロップから急にぶっこんできて興奮すら超えてもはや笑うしかない場面もありました。特にラスト10分の異次元の流れは無我夢中すぎて ‟ヤバかった” という記憶しかありません、現代最高峰のDJによるフルスケールのライブを余すことなく堪能したせいで当分は脳内にEDMしか流れなさそうです笑。
Day2
R3HAB
正直この日の目当てではなかったですが完全に食らいましたね笑。
あの頃のEDMでノスタルジー全開のセットで、思い出に浸りながらひたすら飛び跳ねてました。周りの反応も良く一体感あふれるステージで日本との相思相愛っぷりが感じられます。最近はEDMですら小難しいものが増えてきましたが、何も考えずただひたすらばかになれたあの頃も、それはそれで最高だったな思う次第です笑。
Metro Boomin
完全予想外の奇跡的ブッキングで、この日の個人的大目玉だったがこの人。
‟世界で最も需要のあるヒットメーカー” とかいうかっこよすぎる肩書をもつヒップホップ界のホープですが、ラインナップをみると完全にアウェー笑。EDMとK-POPに挟まれてお通夜状態を覚悟しましたが、流石のステージでアウェーの環境でも魅せてくれました。
Father Stretch My Hands Pt. 1 から始まるとのっけから大きなシンガロングを起こし、Bad and Boujee で大爆発。その後も Mask Off、Type Shit、Like That とあまりにも強すぎる楽曲の数々、中でもこの日一番の大発狂を巻き起こしたのは絶賛世界席巻中の FE!N 。突然の巨大アンセムの投下で盛り上がるを超えた異次元の発狂っぷりで2日間含め最大瞬間風速をたたき出した瞬間でしたね。
改めてヒップホップ界のビッグネームを招集したGMO・クリマンの手腕は流石すぎますね。サマソニの流れをみてもクリマンがヒップホップを推しているのは分かりますがGMOもここまで大胆に踏み込んでくるとは思いませんでした。会場には熱いヒップホップリスナーが集まりしっかり盛り上げていて他アーティストに全く引けを取らない熱があったと思います(むしろちょっと勝ってたか?笑)。今後の日本でのヒップホップ状況に、新たな可能性を感じさせるライブになったんじゃないかと思います。
Martin Garrix
EDM界のスターであり、日本のEDMファンもみーんな大好きの存在。
EDMを代表するような特大アンセムをいくつも抱えながら、それらを最高峰の演出と共に繰り出すことで、ヘッドライナーに相応しい圧巻のライブとなりました。映像演出だけを見れば Anyma に軍配が上がるかもですか総合的な演出でいくとこっちでしょうね。なによりも運営も気合をいれたというレーザーは異次元で、Virus ではあまりにも凄すぎたせいか感動すら超えて大爆笑してましたね笑。(皆さん Breakway に反応してますが個人的にはここが1番でした)
KOSOKU ではかなり前で見れた反面レーザーを堪能できなかったので、今回は潔く後ろに下がりましたが正解だったと言えますね。なによりあのクオリティーの演出を見せられると前とか後ろとか関係ない気もします笑。
楽曲自体も分かりやすいので後ろでも自然とのれますし、スペースがあるぶん気軽に体を動かせて快適に楽しめました。
EDMの醍醐味が詰まった最高のライブで、何回見てもいいもんですね笑。
ただ1つだけ残念なことが…
最前の方で陣取っていたマーティンガチ勢の方たちがかなり印象悪かったです。Metro Boomin のライブ中、ぼったちどころか携帯触って知らんぷり、あげくのはて少しでも当たろうもんなら即肘鉄と自分勝手と言わざるを得ない行動が目立ってました。勿論一部というのは分かってます、実際にマーティンTシャツのお兄さんと肩組んで FE!N を合唱しましたから笑。
ただ、これまでのGMOでK-POPファンの地蔵っぷりへの文句を見てきた中でこれじゃ人のこと言えないだろと思うところもあり、アーティストのライブは素晴らしくてもファンの印象が悪いと後味も悪いです。複数のジャンルのアーティストが集まるフェスという環境だからこそ、アーティストへのリスペクトは忘れずにいてほしいと強く思います。
まとめ
改めて今年も最高のラインナップで2日間共に最高に楽しめました。
大きくは触れませんでしたが ROSÉ も思ってたよりしっかりライブしてくれて好印象でした。ないより APT. も聞けましたし笑。
今回のGMO SONIC、EDMは勿論のことK-POPに加えヒップホップにまで手を伸ばしたという事で今後にもますます注目といきたいところですが…。
正直やっぱり集客が良かったとは思えませんでしたね。数字で見ても1日目が17000人、2日目が20000人みたいでキャパに対して空きはあったと思います。プラチナで参加しましたがエリアが埋まり切ったこともなく EDM という全盛期が過ぎたジャンルの厳しい現実を痛感しますね。
神がかったラインナップを最高峰のステージで届けてくれる、個人的には神イベントなだけにどうにか盛り上がってほしいとは思いますね。ただ来年は会場となるさいたまスーパーアリーナが補修工事のため使えないみたいで、去年今年の集客からも見て暗雲立ち込める雰囲気はありますが、ぜひとも頑張っていただきたいです。