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ライブレポ:KASABIAN

単独での来日公演は12年ぶり、現代UKロックが誇る最強のライブバンド KASABIAN 。ここ日本とも特別な関係を築き相思相愛の歴史を歩んできた彼らがまた、最高のロックンロールショーを見せてくれました。
KASABIAN のライブレポートです。

ど頭からアクセルベタ踏み

学校終わりの制服ユニバへと向かう高校生たちに潰されながらも、内には熱い想いを秘めて向かうのは Zepp Osaka Bayside 。ホラーナイトの影響でいつにも増して人だらけの車内ですがユニバーサルシティ駅でその大半が降り、静まり返った車内に残るのは生粋のロックファンだけ。駅から会場までの短い移動ですらみな足早で抑えきれない昂りが感じられます。

開演時間ぴったりに暗転、1曲目は7月にリリースされたばかりの新作「Happenings」から Call 、前方2列目あたりに陣取っていたこともあり背中には車でも突っ込んできたかと思うほどの圧、新作というのにオーディエンスによる大合唱が起こるあたりファン達の洗礼っぷりが伺えます笑。
熱狂を加速させるかの如く2曲目でもう代表曲の1つ Club Foot を惜しみなく投入、鳴り響くあのイントロ、目が眩む照明、両手を掲げるサージ、ライブにおける模範解答を突きつけられ理性は完全に消滅、後は荒ぶるオーディエンスの波に身を任せるだけ。

走り出したら止まらない。Ill Ray(The King)Underdog とキラーチューンのオンパレードでバンドの勢いも右肩上りで増していきます。これまで何回もこの会場でのライブに参加してきましたが、これほどまでに圧と熱気に飲み込まれたのは久しいです。改めて彼らがUKロックシーンを代表するライブバンドであることをまじまじと見せつけられました。原曲の良さはそのままに生演奏で加わる大味なグルーヴ感が常にオーディエンスを刺激し続けます。そもそもボーカル・トムが脱退しそれまでギターを務めていたサージがボーカルとなったことで、ただ歌うだけで原曲にはないライブ感が味わえるのも今のカサビアンの強みかもしれません。
彼らはこれまで世界中のフェスに出演し、ここ日本でもサマソニの常連であり多くの来日公演を行ってきました。そんな中で彼らのライブが盛り上がらなかったという声は1度も聞いたことがありません。今回もまさに信頼にたる圧倒的パフォーマンスでした。

苦難を乗り越え新境地へ

2020年、それまでカサビアンとして苦楽を共にしてきたトムが脱退、これによりバンドの活動は停滞を余儀なくされました。その後、サージが変わってボーカルを務め空いたギターの席を The Music のからロブ・ハーヴェイが加わり新生カサビアンとして活動を再開しました。
以前からライブバンドとして支持されてきたカサビアンですが、そのライブの印象を決めるのはやはりフロントマンの存在が大きいです。トム・ミーガンはまさにカリスマ、ダークな雰囲気でステージ中央に鎮座する姿はライブの象徴でもありました。そんな彼の代わりをどう務めるか、サージがだした答えは ‟よりアグレッシブ”‟より身近な” フロントマンでした。

ステージを縦横無尽に駆けまわり、軽やかな足取りでステップを踏むその姿は新生カサビアンの新たな象徴としてあまりにも様になっていました。
また、常にステージの端ギリギリで歌いファンとの交流をかかさず、バンドのグルーヴを共有して一緒に楽しもうぜと言わんばかりの姿勢にちょっと感動しちゃいました。トムに分けず劣らずでくそ怖い顔してるのに笑。

ライブ値カンストしてるだろ

20年のキャリアを積み重ねた結果、バンドのライブ値は完全にカンストしてます。You're in Love with a Psycho から Coming Back To Me Good と旧作から新作へと鮮やかに繋いでみせ、Italian Horror では大阪コールと特別感ましましで楽しませてくれます。さらには90年代のダンスチューンをちりばめたり、指からレーザーを出すなど遊び心満載で中毒になるほどの高濃度で楽しいが充満してましたね。
Vlad the ImpalerEmpire と終盤だろうと休ましてはくれません。それにサージがジャンプを煽るだけ疲れがゼロにリセットされ、1曲目の盛り上がりを何回も繰り返す、いやどんどん更新されていきましたね。
ライブも佳境となると、この日唯一のアコースティックでの披露となった Algorithms 、台風のあとの快晴のような気持ちいシンガロングで会場の空気を温めつつラスト、初期からの代表曲 L.S.F. へと流れ込みます。オーディエンスの熱唱に包まれながらステージから姿を消すサージ、そこからなんと2階のバルコニーに出現します。2階席へのファンサもしっかりやりにいく、お前もう最高じゃねーかと下で笑いながら見てましたね。てかそこ行けんねやと何回も来てますけどここにきての新情報でした笑。

一撃必殺のチート技

L.S.F. のシンガロングでアンコールを催促するというなんとまーカサビアンらしい形で再び姿をあらわすメンバーたち、Reason Is TreasonBless This Acid House と会場に再び火をつけると最後は文字通り Fire させます。
カサビアンと言えばの最強の必殺曲、しかもご丁寧に1サビ、2サビときてラストの前にはためるためる笑。さらには座らせてバネを限界まで縮めたおしてから一気に開放、もう大正解!!笑。
こういう一撃必殺の優勝ソングを持ってるのもライブバンドとして強みですよね。しかも一番の代表曲がこれってんだからもう優勝間違いなしの出来レースみたいなもんですよね。

SETLIST
Call
Club Foot
Ill Ray (The King)
Underdog
Shoot Runner
Re-Wired
You're in Love With a Psycho
Coming Back to Me Good
Italian Horror
stevie
STARGAZER
treat
Vlad the Impaler
Empire
Algorithms
L.S.F. (Lost Souls Forever)
Reason Is Treason
Bless This Acid House
Fire

UKロックが誇る最強のライブバンド KASABIAN 、その真髄を見せつけられて見事にぶっ飛ばされた、そんな最高のライブでした。
去年のこの時期に来日していたアーティストにサマソニの声をかけてたクリマンさん、ぜひぜひ今回もお声がけよろしくお願いします笑。

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