若い職人から生まれる新しい伝統工芸を異種クリエイターが世の中へ
博多織りは、西陣織・桐生織と並ぶ日本三大織物の一つで、その歴史は約800年を迎えると言われています。
全国で伝統工芸を守り、継承していく取り組みが活発ですが、職人の育成についても後継者不足などの課題を抱えています。旧来の修行・弟子入りといった形態は減り、一般企業と同じく事業継承の問題も発生しています。
そんな中、伝統工芸においても「専門学校」が、職人を育成する試みが各地で注目を浴びています。これまで入口がわかりにくかった職人への道が、専門学校という形で開放されるのです。
専門学校では、伝統工芸の技術的な指導だけでなく、資格取得へのサポートや、将来の独立に向けた収益化の視点も育成されます。ビジネスのノウハウも提供できるのが専門学校の強みでもあります。
その一つが「手織り博多織」の伝統と技術を継承する唯一の専門学校「博多織ディベロップメントカレッジ」(以下博多織DC)です。
博多織DCでは、成人式を自身の織物で迎えたい10代をはじめ、年代性別を問わず多くの方が博多織職人を目指し織物の技術習得に取り組んでいます
献上博多とは
博多織は、江戸時代に福岡藩黒田氏から徳川将軍家に献上された事から、特に最上の物を「献上博多」「献上柄」と呼ばれ、博多織の代表的な柄となっています。
引用:https://sanui-orimono.co.jp/about/
着物帯などで人気の「献上博多」は、博多の様々なシーンで目にしますが、黒や白、紺といったベーシックな配色が中心でした。
ところが、博多DCでつくられた生徒の作品を拝見すると、伝統的な「献上博多」の柄をベースに、若い感性で鮮やかな配色が用いられた新しい「献上博多」が数多く織られていました。
そこには伝統だけでない、自由な発想のデザインが生まれていました。
しかし、これらの織物は年に数回開催されるバザーや展示会で発表されますが、なかなか一般の方の目に止まることはありません。
この鮮やかで若い感性の「博多織」を有効活用したい!
鮮やかで美しい「手織り博多織」に出会った地元のクリエイターたちが、新しい博多織の才能に気づいてほしいという思いと地元伝統工芸への愛着から、専門学校の生徒の作品を活用した商品化にチャレンジすることとなりました。
普段や着物の帯や、小物入れなどに使われる博多織を、普段別ジャンルのクリエイターたちが柔軟な観点で採用し、多くの方の目に触れることを狙いました。
企画された商品は、自身のECサイトなどを使わず、多くの方の目にとまらせる意図で、クラウドファンディング形式が採用されました。
商品化を目指すアイテムをクラウドファンディング形式で先行予約を受付け、反応が良いものは正式に商品化するというものです。
クリエイターから生まれた商品化のアイデアは、スケートボードやキャップ、キャラクターなど従来の博多織ではイメージされなかったもの。
地元の伝統工芸から生まれる新しいアイデアに、普段は別の分野で活躍するクリエイターたちのアイデアが糸のように交わり合うことで、新しい商品が生まれました。
厳しい職人の世界でも、若い世代の自由な発想に目を向けてみることも、新しいヒントになるかもしれません。
▼博多織の若い才能に注目「博多織を日常に」商品開発プロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/view/241921