見出し画像

地方WEBマガジンが続かない8つの理由

2012年から8年以上にわたり、とある地方WEBマガジンを立ち上げ、サイト運営していました。いまは、コンセプトを変更し、自社ECサイトのオウンドメディアとして、方向転換して運営しています。

この8年のうちに、地方WEBマガジンが生まれては消えていく、蜃気楼のような幻象を横目で見ていました。完全に消えてなくても、1ヶ月以上記事が更新されていないことなんてザラです。

正直言ってWEBマガジンは誰でも始めることができるんですが、続けるのが難しい。そんな経験から見えた「地方WEBマガジンが続かない理由」を書いてみます。

1.PV頭打ち問題

KPIをPVで図るのもどうなの?という意見もありますが、狭い地域(カテゴリー)を攻めると早めにPV(ページビュー)の限界を迎えます。小さな島国ニッポンで、さらに該当の地域の人口比率を考えれば、すぐに気がつきそうなものです。

私達がターゲットとしていた地域が人口約80万人。日本の人口全体の0.63%程度にすぎません。

政令指定都市ですと、人気メディアで数百万PVに届くようですが、それからアドセンス等の広告収益を予想しても、ビジネスとしてスケールしないですよね。

画像1

わたしの場合、最高20万PV程度。100万PVですら夢のまた夢かも。PVベースの広告ではすぐに限界が来てしまいます。

2.書き続けられない問題

狭いカテゴリーだと新しい記事のアイデアに煮詰まります。
わたしの場合、最初の1年で出し尽くしました。

画像2


ただし、ライターを雇えばこれに限りません。でも、クラウドソージングで安価に集めた記事の品質に、未来はありません。そして記事を書けない結果、カワイイ女の子のスナップ写真を掲載しはじめるのです。

3.予算の問題

記事を書くのにも時間がかかります。さらに撮って出しのイメージまで用意するとなおさら。個人の趣味なら空き時間に書けますが、企業活動として取り組むには原資が必要です。

画像3

広報活動の一貫として割り切れる収益源があるなら問われませんが、少人数の組織の場合、あまりリソースを割けない課題も。ここが「地方」WEBマガジンのネックかもしれません。どこも少人数の組織が多いように思います。

自治体案件として取り組む場合は、さらにシビアに判断され、年度予算とともにWEBマガジン自体の消滅も。このあたりは民間で運営を引き継ぐ契約などがあっても良さそうですが、どうでしょうか。縦割りの弊害による「似たようなサイト乱立」問題もあります。県観光連盟と市観光協会で似たようなサイトやってませんか?

4.ビジネスレベルが怪しい問題

提携して記事提供していたメディアやアプリが突然クローズしていた。なんてことはザラ。

RSSなどで自動化したばかりに、自分たちも提携していたことを忘れている。つまりその程度しか、提携によるビジネスのインパクトがないのです。

5.マネタイズできてない問題

数十万程度のPVしか見込めないのに、広告モデルのマネタイズを想定していたり、マーケティング視点の目標設定があやしいケース。ただ、地方限定でなく、ネイティブ広告やアフィリエイトが仕掛けられるような専門ジャンルだとこれに限らないかも。

画像4

私はECサイトのオウンドメディアとして、割り切って運用するように方向転換しました。

6.影響力がない問題

SEOに強くても、即効性のある影響力がない。
イベントや企画など、すぐに成果をあげたいときにイマイチ パンチ力がない。インフルエンサー、ユーチューバーの爆発力に勝てない。

7.長いものに巻かれてわかる無力さ問題

過去8年間で最も人気(PV)の記事を調査したところ、某有名アニメのイベント告知記事でした。がんばった主催イベントや取材記事はカスらず、無力さを感じました。PVやブックマーク数だけがKPIではないんですけどね。わかっていても、寂しい気持ちがあります。

そして、これを教訓に、長いものに巻かれる精神で運営した結果、地方独自色が薄まったり。

画像5

8.目的や目標があいまい

何のためにWEBマガジンをスタートして、何を何件の目標にしてるのか決めてないか、忘れてしまったか。「地方を盛り上げる!」でごまかしてませんか?

■ ■ ■

わたしも当初は「TIME OUT」を目指す!などという、志(たわごと)を持っていましたが、計画どおりにコトが運ぶなんコトはなく、現在ではまったく方向性の異なるWEBサイトとして運営しています。

周りの状況を冷静に見れるようになり、ふと思い出したように本件をまとめてみました。そんな状況ですから、いまでも地方WEBマガジンを継続して運営している方々には、ほんとうにリスペクトを持っており、心から地域への想いがあるのだと思います。

もしかすると、私にはこの想いが足らなかっただけなのかも。お金の勘定ばかりしていました。

これからは、うっかり広告を踏むくらいのサービスはやっていこうと思っています。

いいなと思ったら応援しよう!

Akihiro Toriya|シェア株式会社
ネット通販、WEBマーケティングのお手伝いをしています