見出し画像

ポール・ジェンキンス Paul Jenkins [19/30]

その画家の作品を観たのはオランダのアムステルダム市立近代美術館でのことだ。


大きな青い絵画。絵の具をビャーッとぶちまけていい感じにゆらゆらさせた、みたいな感じの抽象絵画である。


抽象絵画にはありがちなスタイルだろうと思うが、私はこういった手法で描かれた絵が大好きだ。


液体がほとんど無作為に動いてできた流れの跡がとても美しいと感じる。


離れて見たり、近くで見たりして、作品に浸る。


ユーミンがモネの睡蓮を見て涙している場面を何かの番組で見たことがある。


大物アーティストともなると感受性が豊かなもんだなと感心していたが、前述のような絵を見た時、私も目頭が熱くなることがある。こんなに少ない情報量の中から一体何を読み取っているのか、自分でも不思議である。

作者名をみてみるとポール・ジェンキンスと書かれている。

はて、誰だろうか。

画家の名前にそこまで詳しくはないが名の知れた30人くらいはわかるだろうか。

だが、そのリストにはいない。

日本に帰国してから、美術館にも度々足を運んでいるがポールジェンキンスの作品に出会う機会はなかった。

ネットで調べても日本語の画集が出ているわけでもない。英語の画集がAmazonで高額販売されているくらいで意外と情報の少ない画家だった。


またあの感覚に触れたいなと心のほんの片隅で思っていた頃、夫から連絡があった。


今、神保町にいる。

何か欲しいものはないかと。


神保町といえば古本。

アート本も充実している。


今だと思い、ポールジェンキンスの画集を所望してみた。


すると30分後くらいに連絡があった。


画集を見つけたらしい。

さすが神保町。(さすがだ夫)


家に帰ってきた夫は分厚くて、大きくて、カビ臭い、ポールジェンキンスの画集を持ち帰ってきた。(でかした、夫)

早速ページをめくる。


実物よりサイズが小さいので迫力は劣るが、印刷も申し分ない。なかなか良い資料だ。


私が見た絵はかなりシンプルなものだったようで、カラフルな作品も多い。


具象的な絵から着想を得て、抽象画に落とし込んでいるということもわかった。


うん、やはり良い。だが実物には及ばない。

どんな絵画もそうだろう。


是非また実物を拝みたいものである。


編集者のコメント


神保町はいいぞ〜。

いいなと思ったら応援しよう!