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第18講・年の終わりに
今年もいろんな案件を担当し、いろんな事をみてきました。
今までとちょっと違うのは、ご愛読のみなさんにもその一部を仮想体験していただいた、ということでしょうか?
まあ、1年のしめくくりということで、今回はつれづれなるままに。
借金とりの今年
今年は金融破綻だの何だので、なにかと「金融」というものが脚光をあびてました。
取立人は、その「金融」というショーバイのいちばん後ろの方の仕事をしているわけですが、わたくしのご厄介になる人々は、最近だいたい3つぐらいのパターンに別れてきたように思います。
① 根はまじめなんだけどねー な人
いえね。ホントまじめなんですよ。裁判所には出てくるし、出てくればきたで
「何が何でも、どうにかして払います」
って言ってくれるわけですよ。
だけど、そのクソ律儀なとこがアダなわけですよ。
どうしても払います!を繰り返してるうちに、月収25万ぐらいなのに月17万も返済に回しちゃったりして支払不能になったりカラダ壊して命までとられちゃう人もいたりして。
真面目なのは美徳ですがね、人間、取立人のよーに多少いいかげんにズブトく生きた方がいいんじゃないかねえと思うのですが。くどいようですが「払えない」と「払わない」は違うんだからさー(^^ゞ
② 詐欺じゃねーのか な人
①と打って代わって、みつけたら腎臓と肺と目玉に値札つけて飛行機に乗せてやりたくなる奴らもいます。
カネ借りて、1回も払わずに破産しちゃったりするのはいい方で、逃げるやつがおる。
すると、マニアックな取立人が出動して、とってもマニアックに取立てられちゃうわけです(^^)
③ マジでカネがない 人
第13講の仮差押やった打ち上げのとき、なかよしの弁護士と飲みにいって
「退職ゥの5秒まえ~(^^)」
などという替え歌を唄って遊んでおりました。
それはともかくとして、やっぱり失業したり銀行がカネ貸してくれなかったりしてほんとにカネない人が今は多いんですね。
はいるアテがないのにカネなんぞ借りるから、払えなくなるわけです。
うちらカネ貸しは、やばいと思った相手からは、とにかくまだ資金繰に余裕があるうちに、サッサと取り立ててしまう。そして自分の会社がババを引かないようにするのが商売です。
ウケた
カネ貸した2週間後に債務者に弁護士がついた。
彼は、やっぱり1回も払ってない。
私;ねー、うちのカネって先生の着手金かもよー(^^)
弁護士;さあ、それはどうですかねえ
私;破産するとき、共益費用にしてね(^^)
弁護士;わははは!
桃のひみつ
山梨へ現地調査に行くと、債務者のおばあさんが桃を出してくれた。
桃といえば、取立人は毎朝毎晩食っても飽きないくらいの大好物である。
とてもうまい桃であったので、ひと箱おみやげにもらった。桃狩もさせてもらった(^^)
そこでもうひと箱は家へ送ってもらい、大した未収額ではなかったから全額うちの会社へ振り込んどいてあげた(^^ゞ
裏技
給料の仮差押は、裁判所がいやがる。やったら、債務者が食い上げになっちまうので。
私は余程のことがない限りは給料の仮差押はやらんのですが、どうしてもやらんと回収できない場合は、用意周到にやります。
私;まず、自宅の不動産がこんなんでー(謄本をみせる)
裁;はあ?
私;で、市役所の固定資産の評価証明これでー
裁;へえ!
私;だから、家叩き売ってもだあれも喜ばないわけよ
裁;ほー!
私;そういうわけで、他にやりようがないからやるわけよー。いやなんだけど。
裁;なるほど!
このヤなんだけどさーがポイントなわけです。
すると、むこうもワケわかってんじゃないのと思ってくれて、話が早いわけです。
それでは、よいお年を…
言いたい事言ったところで、今年のアップはこれでおしまいです。
来年も、別に頼まなくてもヘンな奴やヘンな案件にぶちあたるでしょう。
都度、おもしろいと思ったことをアップしてゆきたいと思いますので、引き続きご愛読のほどをお願いいたしまして、今年の更新を終わらせていただきます。
それではみなさん、よいお年をお迎えください。