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第53講・とったもん勝ち

ニッポンという国では”勝てば官軍”で「言ったもん」と「やったもん」が勝ちますが、借金とりの世界は「先にとったもん」の勝ちです(^^ゞ


熱い年明け

新年があけて、会社が始まりました(^^)
当然、仕事なんぞする気はありません。が、10時過ぎに債務者から電話がきちゃったのでしょうがないから出ました(^^ゞ

取;あけまして・・・(^^)
債;ばかやろう!
取;(何だてめえは?)((^^;
債;年賀状と一緒に競売開始決定がきた!

 今年は年賀状と一緒に債権差押命令を食らった男もおります。
 こいつは、春から縁起がいい(^^)

債;新年早々、こんなもの届けるやつがあるか
取;うちは郵便局じゃないんですがねえ(-_-;)

どうも、債務者はよっぱらっておるようです。正月や盆暮れに多いタイプの電話。ひまな時でよかった(^^)「おれんちはなあ、去年親会社が倒産して・・・」と、やはり事情を縷縷説明し始めました。

債;何も払わないと言ってるんじゃないんだ。そういう事情があるのだ
取;あんたおととしから未収してんのよ?
債;だから、そういう事情があるのだ!
取;去年の倒産とおととしの未払関係ないでしょーが^^;
債;あ・・・^^;


交渉

さて。こうして、あっというまに債務者は沈んでしまいました(^^ゞ

債;すいません、分割にしてくだせえm(__)m
取;やでえ(^^)
債;今度は命にかえても払いますm(__)m
取;ほいじゃ、生命保険入るかい(^^)?
債;そんな~(T_T)
取;ほれ。心にもない事言うからだ
債;・・・(T_T)
債;どうしたら、勘弁してもらえますか?
取;ぜんぶ払ったら(^^)
債;でも、お金ないんです
取;じゃあ、競売(^^)
債;10万じゃだめですか?
取;(すかさず)だめです(^^)
債;だから、いくらならいいんですかっ?
取;じゃあ、いくらあるのだ(^^)?
債;50万!・・・いや、30万!(T_T)
取;そこでどして減るのさ?あ?(^^)
債;一体幾らならいいんですかっ!
取;ぜんぶ!(^^)/


交渉妥結

ひまだから楽しいのはいいんですが、明日の朝になっても終わりそうもないので話をまとめることにしました。

取;事情はあいわかった(^^)
債;(ほっ)(^^)
取;元金相当額で手を打ってあげよう
債;はい!
取;但し、残りは分割にせよ(^^)
債;はい!
取;毎月2万。よろしいな?
債;いや~、そりゃあちょっと(^^ゞ
取;そうか。では競売を続けよう(^^)
債;払います!払いますって(T_T)!

こうして、その日の夕方に7桁(いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひええ・・・)のお金が「ただいま~(^^)」と、うちの会社へ帰ってまいりました(^^)


ここからが佳境

どえらく前置きが長くなりました(^^ゞ
「さあ、競売の取下でもしてやっか」と書類を作りはじめると、会社のおねーちゃんは何やらそそくさと封書を置いて逃げてゆきます。関係ない書類を置いてゆくと取立人にめちゃくちゃ怒られるからでしょう(^^ゞ

「ったく最近のムスメは・・」と封をあけると二重開始決定の通知が入っていました。「おんや(^^)?」そこには、同業他社が同じ物件に2本目の競売を申し立てたという通知がございます。とはいえ、競売が2本あるから先にやった方が得かといえばそうでもなく、按分比例で配当されるから受け取る金額もぜんぜん変わりません(^^ゞ
ただし、2本目の債権者は1本目の債権者が裁判所へ預けた費用で競売ができるので、モロにやる7分の1の費用ですみます(^^)

「カネは来ちまったし、下げるって言っちまったし、どうすべ?」と思ったのですが、ふと妙案が浮かびました(^^)

債務者との約束通り、うちの競売は下げます。が、下げたら同業他社の競売に配当要求します(^^)そうすれば

「約束通り競売は下げた(^^)」「万一物件がおちても、配当の路はある(^^)」「しかも、印紙代300円ですむ(^^)」

となるわけです。つまり、債務者には恩着せがましく分割払させておき、同時に物件が落ちても配当はしっかりいただけるので、わたしゃ高みの見物してればよいのです(^^ゞ
おそらく同業他社は「やすく競売したろ(^^)」と思っていたのでしょうが、うちに梯子を外されてしまったので「・・・ひどい(T_T)」と思っていることでしょう(^^ゞ
そのうえ、今度は配当要求という形でケツに食いつかれてしまい「いたいよ~(T_T)」「ひどいよ~(T_T)」と、二重苦であります(^^)

しかし。そこは、同業のよしみ。配当要求書には、しっかり同業他社へのメッセージがこめられております(^^)

請求債権目録
債権者と債務者間の平成11年(ハ)第1号判決正本に表示された下記債権。
① 元金  555,555円
② 損害金
上記①に対する平成12年1月3日から支払いずみまで年30%の割合による金員(債務者は、平成年月日に金○万円の一部弁済をした

この太字部分がミソ(^^ゞ
要は「うちが競売やったら、○万円払ってきたぞ(^^)」「こいつ、きっとまたカネつくる(^^)」と、暗に「こいつに競売は効く」「むしってしまえ」と教えておるのです。なお、本件の法律上の請求額は上記のとおりですが、経理上の残はもっと低いので、回収できようができまいがどうって事はないです(^^ゞ
従いまして、同業他社さんには競売を隠蓑にした一括回収の成功をお祈りしまして、債務者にはがんばって資金繰してちょうだいとお祈りするばかりです(^^ゞちなみに、その資金繰を借金でやると定番The借金地獄にはまってゆきます。

やあ、サッサと金つかんで逃げちゃってよかった(^^ゞ

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