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第23講:やばい弁護士
最近、週刊誌あたりで「債務者を食い物にする弁護士」などという特集が組まれてますが、そういう弁護士ってほんとにいるんです。うちの顧問弁護士の先生いわく「あのねー、弁護士ってだけで信用しちゃダメさ~」だ、そうです。また、そういった弁護士による被害対策をされている宇都宮健司先生も、被害があった時は東京弁護士会の相談窓口へ速やかに連絡してほしい、とのことでした。
あぶない弁護士
昨年暮れ、新宿に事務所を構えていた弁護士A・Y氏が「非弁提携」で東京弁護士会から氏名を公表され、先月末に事務所を閉鎖しました。非弁提携というのは、「弁護士じゃない者から客を斡旋してもらう」ということで、弁護士法で固く禁じられておるのです。
A弁護士の所行
A弁護士は、いわゆる「整理屋」という集団から借財しまくって首のまわらん債務者たちを送りこまれ、これらの人々の債務整理を行っておりました。債務整理は、弁護士かクレジット産業協会や貸金業協会の相談室以外はできません。そんなわけで、A弁護士は整理屋に自分の名前を貸し、その見かえりとして一説には月300万とかいう「ハンコ代」を受け取っておりました。この事務所は弁護士が間に入って債権者との間で借金の整理について合意できた場合は、一旦弁護士事務所へ債務者から送金させ、それを事務所が債権者へ送るのですが「まずは弁護士費用の分割払いだ」とか、いろいろな理由をつけてピンハネし、残った分を債権者へ送っていたのであります。
ところが。A氏は債務者からのおカネに手をつけてしまい、使ってしまった(らしい)。当然、債権者への支払いも止り、毎月10万とか20万とかいう金額を弁護士へ送金している債務者のところへ「払え!」という支払督促や訴状がバンバン舞い込むようになり「これはおかしいぞ!」ということになったワケです。
整理屋とは何か?
それは、文字どおり借金の整理という名目で、債務者からピンハネする連中のことです。大概はA氏のような弁護士を抱えて「和解金」ということで法律事務所名義の口座へ送金させ、その一部を債権者へ払ってるんですが、その弁護士たちを束ねる集団がいまして、その集団を「整理屋」と呼ぶのであります。整理屋には、東京を中心にいくつか大掛かりな組織があり、その収入たるや月に5千万から2億とのことで、どうも暴力団の資金源にもなっているようです(by宇都宮先生)。
そして、整理屋の「集客方法」というのが、駅の便所や公衆電話においてある「低利で一本化」というチラシ。ここへ電話すると「審査するからまってください」といわれ、実際は何もしちゃいませんが、15分ぐらいあとから「あなた、どブラックでダメ」といいます。しかし、その後「そんなに借金あるなら、整理しなよ」と、一見親切ないい人風のことを言い「ところで、いい弁護士を知ってるから、そこへ相談に行ったら?」と。その「いい弁護士」というのが「提携先」の弁護士なワケで、そっから不幸が始まってゆくのです。
整理屋の事務所の特徴
これは、当ページをご覧の一般人の皆さんがひっかからないため、というよりは数多くのメールで激励してくださっている同業者のみなさんへ。
① 事務所は一等地にあって、やたらきれいだ
② 電話しても弁護士が出てくることはない
③ 事務員が「事務局長」等という肩書のついた名刺を持っている事が多い
④ 面談に行っても、弁護士が出てくることがない
⑤ 弁護士1人なのに事務員が30人もいたりする
⑥ 事務員が和解案についてやたら深く介入してくる
こういうのは、かなりアヤシイです。
A弁護士対策に取立人登場!
それは、去年の5月頃のことでした。後輩が「なんか、この事務所が関係した債務者に督促したらみんな弁護士事務所へ払ってるって言うんす」と相談にきたのが始まりでした。しかし、支払は確かに遅れておるのです。私は和解契約書など仔細に調べてA事務所へ電話し「○○さんの件、2回遅れてますので懈怠約款に抵触してます」と言うと、しばらくして事務員から電話があり(!)「遅れ分はこれこれこうして、秋にはおいつきます」
との回答でした。
ところが。その直後。全部で4件あった案件の債務者のひとりが電話してきて「Aのヤロウに送金してんのに、○○(会社名)から訴状がきた!」「もう5ケ月分も延滞してんだって!」彼は、殊勝にも振込みの控えを持っており、FAXしてくれた。
確かに、彼は毎月25日頃に送金している。私は、A弁護士に何かあると直感し、真相を知りたい興味を持った私は、彼をヒットマンに仕立てたのであります。
私:クレジット会社ですう(^^)
男:見てくれた?
私:見た見た!でさあ、今FAXで送ったのがうちの会社の入金状況
男:払ってねーじゃんよ!
私は、債務者へ何月何日にナンボ入金したかを一覧表にして送り、債務者を煽る。債務者の炎がめらめらと燃え上がり
男:俺、事務所乗り込んでカネとり返してくる!
私:おいおい・・・あんた(わ~い)
数日後、記録上は一回も電話に出たことのないA弁護士より電話がきました。最初事務員がかけてきて、それから代わったんですが。
弁:取立人さまでいらっしゃいますか?
私:はあ、そうですが
弁:弁護士のAでございます。大変お世話になっております。
私:あ、どうも(クソ丁寧で気味わりいな)^^;
弁:○○の件では、ご迷惑をおかけいたしました
私:あ、それでどうなりました?
弁:本人が来月より2ケ月分送金すると申しておりますので、ごかんべんを
私:ん。わかった。
ところが、送金してきやせんのです。そこで私は担当しているすべての債務者へ電話をかけ「二重払いで、気持ちはわかるが、あんたを訴えさせてもらう」とかたっぱしから連絡。最初に電話してきた男に至っては「損害賠償するから早くしてくれ」という始末。彼の場合は直にやりましたが、なにぶんにも相手も弁護士ですので(腐っても鯛という)、とりあえずその他の件についてはうちも弁護士に委任し、かたっぱしから提訴したのであります。
訴状がついた頃、A弁護士から電話。同時に、私は顧問弁護士を使ってA弁護士の調査を済ませており、その結果A弁護士は少し前までやはり非弁提携で業務停止を食っていたことも判明。顧問弁護士から「債務整理をする代理人の資格がない」というアドバイスを受け、A弁護士に対しては強硬策を取ることにしておりました。
弁:債務者5人から連絡がありまして・・・なんとか和解させていただきたいのですが
私:ハッキリ言わせていただきます。当社は先生に債務者代理人の資格を認めません。
弁:そうですか・・・
私:ただし、裁判上の和解については、応諾してもよろしい
弁:ありがとうございます
これが、A弁護士からの最後の連絡でありました。それから半月ぐらいあとに、弁護士会からのA弁護士の処分がなされ、今では廃業してしまっておるのです。
そういうわけで。弁護士の紹介は、きちんと弁護士会で受けましょうね。