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第8講:不動産系のやばい話

私はもめる裁判の他にも不動産の差押と仮差押を専門としているのですが、やっぱり地面というでっかいものが関わるといろいいな事があります。


競売中の家で首吊り自殺があった

その人の家は私が競売にかけたわけじゃなくて、住宅ローンをやっていた東海地方の某債権者が競売にかけましたのですが、それは今年2月ぐらいだったと思います。私のところは、競売が始まる少し前に裁判所の判決をもらって180万円近い支払命令を得ていたので、判決をもとに競売事件にのっかって「売れたらカネくれ」という配当要求という手続をして売れるのを待っていました(ちなみに、配当要求は一度裁判所に申立してしまうと後は何もしなくていいんで好きです)。
ところが…なんと。借り手のおっさんは、競売中の家の中で首をくくって死んでしまったのであります。
びっくりしたのもそうなんですが、こちらとしても「競売事件はどうなるんだろうか?」「相続は、どうするのだろうか?」ということで、しばらく様子を見ておりました。

相続についてはまだ話が決まってないようでも、時折おくさんが連絡をよこしますからいいとして・・・競売の方は「物件の損壊」にあたるということで、どうももういっかい値段つけの段階から手続をやりなおすようです。

で、この「物件の損壊」ってコトですが、別に物理的に家をぶっこわしたわけではなく、ヒトが首つって自殺したような家に住みたいと思うヤツはそうはいないわけでして、仮に値がつくとしたら本来の家の値段よりもずーっと安くなってしまうので、値段を暴落させるという意味で物件の損壊になるんですね。まあ、でも考えてみればこれがヤツの最後の抵抗だったんかいなー


売れちゃった家

競売物件は、とかく買い手がつきません。何年もかけて入札しても、結局買手がつかなくて競売手続がおしまいになってしまうケースがほとんどなので、私なんぞは家を売却して代金を得るというよりも競売開始決定を見てびっくりした債務者から有り金ぜんぶ巻き上げて、多少なりとも残金を少なくさせるためにやっております。程度の差こそあれ、どこの会社もそんなもんだと思います。
で、2年ぐらい前に関東北部の住宅を、私がみずから競売にかけたことがあります。オヤジの借金で家を競売されているお宅のお嬢さんが早速泣きを入れてきまして「ぶぶぶ分割で払います」とのこと。ただ、その借金の額がウン百万単位の結構でかいものだったのと、そこがすんごいイナカだったんで
”どーせ売れやしないさ”とタカをくくっていた私は「そんならねー、様子見るから毎月払えるだけ払ってみな」と、時々1万円とか多いときで5万円とか送金してくるのを見ておりました。
何分にも、そのお嬢さんは声がかわいくて、ついでの世間話情報によればまだ20代ということで「どんな顔してんだろー(^^)」と同僚とホクホクしながら半年ほど「やー、やっぱオヤジが払えんかったら持って生まれた”資本”で払ってもらうより他ないっしょー」「や、ここは一発代位弁済して嫁にするってのはどーすか?」「きみもワルですなぁ。うわははは!」などとバカな事を言っておりました。
そんなある日。「売却期日通知ってのがきたんですけどー」と、またお嬢さんが電話してきました。「うん。きたね」「すぐ明渡さなきゃいけないんですかぁ?」「だってあーた、どうせその家スグに売れやせんから」結局、どうせ売れないんだろうという前提で話をしておりますと、それからちょっと経って「売却決定」というものが地方裁判所からまいりました。

くどいようですが、まさか売れるとは思っていなかった私は「げげげっ!!!」と思ったものの、いまさら連絡をとると何言われるかわからんので、そーっと売却代金を裁判所から受けとって全額完済の事務処理をし、そーっとファイルを倉庫に送ってしまいました。
お嬢さん、ごめんなさいねーm(__)m

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