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第51講・仮差押傑作選

すきな仮差押では、申立書に「保全の必要性」を書いて「どうして仮差押せにゃならんのか」を説明するくだりがあります。 しかし、ただ書くだけではつまらない。それでは職人の名が泣くというもの。
そこで、私は「保全の必要性」が「うける」か「うけない」かに命をかけ、仮差押をたのしんでおります(^^) 


脱サラ失敗!(^^ゞ

債務者は、平成10年10月10日に従前の勤務先を退職し、軽貨物運送業を開業した。 ところが、思うように受注が得られず、平成11年1月1日頃からは電話料も払えずに通話停止が続いて最後は電話が不使用となる程に資金繰が悪化。平成11年11月頃、債務者はついに家族と共に所在不明となった。 債務者は、同人名義の自宅を所有するが、既に他債権者が強制競売開始決定を受けて現在競売中である。

ご覧の通り、脱サラに失敗して夢も生活も破れちゃった男です。 不動産が落ちてしまうと回収不能になりますが、競売中の物件も「配当要求の終期」までに仮差押決定の紙か、判決などを添付して「ぼくにもカネくれ(^^)」と、競売申立した人に要求できる手続があります。これを配当要求というのですが、配当要求するために急いで仮差押することにしました。
思うように受注が得られず」「最後は切られちゃった」「ついに夜逃げした」という太字部分は別に書かなくてもいいんですが、あえて副詞を用いて惨状に具体性を追加することで取立人の書く保全の必要性は臨場感を増しております。
裁判官との面接は、こうでした^^;

裁;国敗れて山河あり、の趣ですな(^^)
取;夢破れて負債あり!ですね(^^)


離婚加速計画

配偶者によれば、債務者には17社540万円にのぼる負債がある。 平成10年1月、債務者は他債権者から給与差押を受けて従前の勤務先を退職せざるを得ぬ状況となった。以後、債務者は定職に就かぬ経済的破綻状態の中で賭博に伴う新たな借入を続けており、たとえ破産申立したとしても免責を受ける可能性はない。また、かかる状態に耐え兼ねた配偶者からの慰謝料債務が発生する虞(おそれ)もある…

こいつは、死ななきゃ治らないか、へたすると死んだら家族に類が及ぶ系の男(^^ゞ 「もうどうしようもない。ほっといても誰かやるだろう」ということで、誰かやっちゃった時に備える仮差押であります。
試しに電話したら出た奥さんから話を聞くと「離婚したいんですけど、どうしたらいい?」と相談される始末。 最後の部分を具体的、かつ、わかりやすく言いうとこうなります。

「債務者は、プーのくせに毎日競輪と麻雀に明け暮れ、毎日夕方になると迫力のあるおにいさんから催促の電話があり…」

奥さんの言い分としては「あたしは借金に追いまくられてるのに、旦那は遊んでいる。慰謝料を取って仕返しをしてやりたい」のだそうです。

取;ふうん^^;
奥;そうなんです!
取;でもさあ、取るおカネあんの(^^)?
奥;そう。それなんですよ…問題は

や、殺伐とした夫婦だこと(^^ゞ


運のわるい人

債務者はY1證券に勤務していたが、再就職した会社も倒産し、タクシー乗務員として就職したものの業務中の交通事故によって勤続できなくなり…

すさまじい運の持ち主です^^;
次に生まれかわった時はもうすこし楽しい人生でありますようにお祈りいたします。 が、今回の人生は私が担当になったのが運のつきでした。
でも、ここまで来ればもう大丈夫。これ以上悪いことはないでしょう(^^) 何しろ失うものがもうないんだから(^^ゞ

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