第30講・鬼になった^^;
まあ、普段でもじゅーぶん鬼かもしんないですけど、今日の取立人は
「おぬし、ワルじゃのう(^^)」
と思うぐらい強烈な鬼でした(^^ゞ
相続
本日のネタは、相続債務です。
とある奥さんは、死んだダンナの遺産を相続してしまいました。子供たちは、相続を放棄しとります。
なんでそんな事をしたのかといえば、ダンナの遺産の家を守りたかったからだそーです。言っちゃ悪いんですが、とっても浅はかな奥さんです。
相続をした、ということは、もちろん家ももらえますが、ダンナの残した負債も相続しちまうということになります。
相続のというのは、プラスの財産もマイナスの財産もどっちも引き継いでしまうもんで。。
ほしいもの
は、家です。
ダンナが死んで無抵当になった家。
なんでいきなし攻撃的かというと、奥さんは予備折衝の段階で
「家は売りたくない。お金はない」
などとのたまって、世の中ナメきってます。
当然、不動産競売大好き&自分にひざまづかない債務者は徹底的に攻撃する取立人は、売りたくなってしまうのであります(^^ゞ
法廷にて
さあ、戦闘開始です。30分ぐらい平気で待たされる東京簡裁へは、10時の弁論には10時15分に行く(それでも番がくるのは10時30分頃だ)のですが、この日は奥さんが来るだろうと思ってたんで定刻に登場。
まあ、一応モッタイをつけてしぶしぶ和解のための話し合いへ。
奥さん、もう泣いております。
「まあまあ・・・」
と、割って入ったのが司法委員の先生。
簡易裁判所の裁判では、和解の斡旋をするため司法委員という人がいて、弁護士のボランティアだとか退官した職員などの方々がやってくれております。そこで、双方の法律上の権利義務関係について説明をしてくれるのです。
解説はじまる
「・・・・ずるずる!」
「・・・ち~ん!」
奥さんに相続の何たるかを説得するため、司法委員の先生が話してくれてます。わたしゃ外でお留守番ですが、室内からはそんな音ばかりが聞こえてくる。
そうやって、小一時間もたって愛用のフィリップモリス・スーパーライトを3本は吸ったかという頃、ようやくお呼びがかかりました。
ぬうっと出てきたのが、髪の毛ぼさぼさにして目を真っ赤にした奥さん。
思わず
「おわっ!」
といいそうになってしまった。
裁判の結末
「こ、こんど生まれる時は絶対お金もちになってやる!」
という悲痛な叫びを残して、奥さんは法廷を去ってゆきました。
しまいにはですね、住宅ローンは保険で外れたからうちのカードローンもそうしなかったのはおかしいだの何だのと抜かし、あげくのはてには担当者が人間的ではないから払わないなどといいたい放題を言う。
奥さんは、私をただの担当者だと思っていることが根本的な間違いだ。
確かにわたしゃ担当者ではありますが、この商売を「仕事」としてやってるんじゃなくて「趣味でやっている」事に気がついとらん。
それが、悲劇のモトですな(^^ゞ
取立人は、自分の満足するように債権の取立をしてますので、たとえばこの場合なんかは
「お金ないんです。月1万円でなにとぞ、なにとぞ~」
と、平身低頭としれば
「よっしゃ、よっしゃ(^^ゞ」
と、泣くこともなく終わったのですが。
いずれにしても、家は売りたくないわカネは払いたくないわでは世の中ハナシになりません。なんかを解決するにはカネを払うか血を流すかどっちか。
個人的には充分同情しますが、カネ貸しも慈善事業ではありません。吉と出ようが凶と出ようが、債権を処理してナンボの世界。
奥さんには気の毒ですが、あと2ケ月もしたら家は売らせてもらいます。
廊下で泣く女(ひと)
延々1時間40分にわたる裁判が終わって煙草を吸っておりますと、知り合いの同業者がきました。
「なんかよー、そこで泣いてる女の人いるぜ?」
「ああ、あれうちの被告」
「あんた・・・^^;」
「気の毒なんだわー。親父の遺産相続したばっかりに」
「ああ。相続かー。それに当たった担当もわりいよな(^^ゞ」
「や~(^^ゞ」
お昼の時間になりましたので、わたしら
「そ~」
と、その場を後にして地裁の食堂へ。
Bセットを前に一同(ったって二人ですが)揃って
「おかあさん、ごめんなさい」
とハシを割った私らでした。
いくら商売とはいえ、かわいそうですねえ・・・しかし、借金残して死んだ親父。あんたが一番悪い!